
恐竜のお尻の穴の復元に成功 image by:c Bob Nicholls/Paleocreations.com 2020
今から1億3,000万〜9,960万年ほど前、「プシッタコサウルス」がまだ地上で生きていたころ、まさか後世になってお尻の穴をまじまじと観察されると知っていたら、どんな顔をしただろうか?『Current Biology』(1月19日付)に掲載された研究では、この恐竜の肛門を詳細に再現してしまったそうだ。ここから彼らがお尻でディスプレー(求愛や威嚇)を行っていた可能性があることが明らかになったという。
オウムようなクチバシを持つ草食恐竜「プシッタコサウルス」
プシッタコサウルスは、中生代白亜紀前期に現在のモンゴルや中国あたりに生息していた草食恐竜だ。1〜2メートルの小型恐竜で、オウムのようなクチバシが特徴だった。そんな彼らのお尻の穴は「総排泄口」という。おしっこもウンチも卵も全部出てくる便利な器官で、現代でも鳥類、両生類、は虫類、ごく一部の哺乳類が持っている。
しかし恐竜の総排泄口は未知の領域だ。そんな研究者にとってはたまらない部分が、ドイツ・ゼンケンベルク自然博物館の標本に残されていることに、イギリス・ブリストル大学の古生物学者ジェイコブ・ヴィンター氏らは気がついた。
その化石は、皮膚や色のパターンまで残っている非常に保存状態が優れたもの。
残念ながら総排泄口の内部までは保存されていないが、外側の保存状態は良好で、生きていた当時にどのような形状で、どのように使われていたのか推測する貴重な手がかりが残されていた。
そんなわけで、ヴィンター氏らは化石の総排泄口を現生の動物のそれと比較してみることにした。

image by:Vinther et al., Current Biology, 2020
ワニと鳥、両方の共通点
プシッタコサウルスの総排泄口は、現生のどんな動物とも違っていたようだ。それでもワニや鳥と共通する特徴が見受けられたという。たとえば鳥の総排泄口に見られる隆起部(dorsal lobe)があった。鳥のオスは繁殖期になると、丸い開口部を囲むふくらみに精子をためる。ただしプシッタコサウルスもそうかどうかは、内部構造が分からないために確かなことは言えないとのこと。
また外側唇(lateral lip)もあった。これはワニの多くに見られる特徴だ。ただプシッタコサウルスのそれはV字型だった。このことから開口部は鳥のように丸ではなく、スリットのような形状だったと推測されている(こちらも定かではない)。

image by:Jakob Vinther, University of Bristol and Bob Nicholls/Paleocreations.com 2020
恐竜は仲間にお尻でディスプレーをしていた可能性
もう1つ驚きの特徴は、ワニと同じようにふちが小さなウロコに覆われ、濃い色素の沈着があったことだ。ちなみにワニは、この部分にあるニオイ腺からフェロモンを分泌し、社会的なディスプレー(求愛や威嚇のための動作)を行う。そして色素はそれを補う役割を担っているとも考えられる。
つまり一部の恐竜もまたそうしたディスプレーを通じて、仲間にメッセージを送っていたかもしれないということだ。
何しろ、総排泄口が残っている化石は1つしかないので、そうしたディスプレーがたとえば求愛のようなものだったのかどうかは分からない。また外見からだけでは、その化石の性別も判別できないという。
しかしカラフルな隆起部が、鳥と恐竜の祖先が同じだったことを示唆していたとしてもおかしくはないとのこと。研究チームは今後、化石のお尻の穴から、恐竜の暮らしについて探る予定であるそうだ。
References:Current Biology / livescience / sciencealert/ written by hiroching / edited by parumo
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コメント
1. 匿名処理班
鶏じゃん
2. 匿名処理班
ぷぅ〜 したんか?
3.
4.
5. 匿名処理班
ここまで保存状態の良い化石とか、いままでとは違う観点からの研究があるのは当たり前だけど、おもしろいところに目をつけるもんだなぁ
6. 匿名処理班
素晴らしい研究成果!これが尻たかったんだよ!!!
7.
8.
9. 匿名処理班
めっちゃ凝視されてる最初のイメージ画像が面白すぎて記事の内容が頭に入らなかった
10. 匿名処理班
そもそも何で哺乳類は水分専用の排泄器官を持つようになったのだろう?
総排泄口でいいじゃん!って気もするが。
進化の結果固形物と水分を分別するのが良いということになったのなら、次世代の人類はオナラ専用の器官を持つかもしれない。
固形物・水分・ガス
3つ別々の器官で出す!
11. 匿名処理班
恐竜のうんpだけで大爆笑できる我が息子にぜひ教えたい記事だw
12. 匿名処理班
この恐竜もはるか未来の変な生き物に尻穴をまじまじ観察されいじくり回される運命にあるとは思いもしなかっただろうな
13. 匿名処理班
※12
俺たち人類も次世代の地球の覇者に観察されてナニ言われるか分かったもんじゃ無いけどね。
「この旧人類オナラ専用の器官持ってないぜ!」とか言われそう。
14. 匿名処理班
※12
次は我々の番だ
15. 匿名処理班
判る事がどんどん増えて行くのが凄いな
骨の形状のみを頼りに系統立ててた昔とは世界がまるで違ってる
16. 匿名処理班
※15
昔の化石採取と形態研究と無数の誤謬及び解明との、長い長い積み重ねがあるからこそ、現在があるんだけどね
17. 匿名処理班
>>13
いや、逆に次世代の地球の覇者は、ひとつの器官で合理的にすませるのかも知れんぞ。
「この絶滅した古代の生物は、何と!食事とウンPは別々の穴でするらしい事が解った。原始的な生命体だ。」
18. 匿名処理班
排泄物の跡にしかみえない
19. 匿名処理班
尻穴ネタブーム到来?
20. 匿名処理班
※17
食べた口からウーチンするのはすでに通った道よ。
最初期の多細胞生物・チン渦虫とか、クラゲやヒトデウニもそう。
ちなみに最初期の生物に出来た口と肛門、進化の途中で入れ替わってるんだよ。
肛門だった方に歯を生やしてケツから食って口からウーチンしてるのが脊椎動物。
元々のとおり口から食ってケツからウーチンしてるのが昆虫やらイカタコやら。
我々、彼らのことをよくキモーイて言うが、彼らからしてみたらケツからメシ食ってる
我々のほうがキモすぎる存在なのかもしれない…
21. 匿名処理班
※10
どうしてもまとめて出すとゲリ状になる。
ペンギンがブピュ〜てンコしてるGIFとかみたことないかな?
道の鳥のフンの跡もベチャッ!てなってるでしょ。
地上に生きる毛むくじゃら生物になる道を選んだ哺乳類にとってそれは不衛生に過ぎたんだと思うよ。
両生類は水に浸かってるからすぐキレイになる。
爬虫類はウロコに覆われてるし皮膚やられても脱皮で何とかなる。
鳥は空から発射しとけば汚れない。
22. 匿名処理班
これは商機!
そのうちこいつを象ったジョークグッズがAmazonで見つかりそうだ。
23. 匿名処理班
あ、なるほどね〜。
24. 匿名処理班
プシッタコプシッタコ…
何回言っても口に馴染まない不思議な名前だなぁ
25. 匿名処理班
運が悪いと
この過去に存在した猿に似た二足歩行の生物の肛門はって晒されるのかよ
26. 匿名処理班
人間なんて二足歩行のために衛生面を犠牲にしてるからな
なんで出口なのに引っ込んだ配置にならなきゃいかんのか
27. 匿名処理班
※20
へー
入れ替わってたんだ
まあどっちでもいいわけで違いなどないわけだし
とは言え、入れ替えたこと自体は不思議だなー というか
前後シンメトリーを目指して、いったん完成して機能してたってことになるね
でなければ入れ替えることは不可能だ…
ロマンあふれる少年の夢のようなデザインの生物が居たんだ・・・
28. 匿名処理班
※10
※21も言ってるけど、糞便は尿以上に重篤な感染源。
それを水溶きにしてしまって、垂れ流しにしていた種族と、
固形化して一箇所にまとめていた種族。
生き残る可能性が高かったほうが今につながっている。
29. 匿名処理班
>>1
ティラノサウルスは糞便そのもの
鶏肉として食べられてる反面存在はウンチのティラノサウルス
30. 匿名処理班
恐竜のお尻の穴という言葉にこれほど惹かれる理由は何だろうw?
31. 匿名処理班
※30
ものすごくザックリした書き方しますが、どう排泄してたかも重要なヒントだからです。
最新のティラノサウルスの肛門は縦型みたいですが、これも研究してる方々真剣に検討や議論してたりします。