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科学者たちが5億4000万年にわたる海面変動を詳細に再現

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(著) (編集)

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Photo by:iStock
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 地球の海面は、海が出現して以来、絶えず上下してきた。だがそれがいつ、どのくらいの規模で起きていたのかを正確に知ることは容易ではない。

 これまでの科学では100万年単位のおおまかな再現が限界だったが、今回、オランダ、ユトレヒト大学をはじめとする研究チームは、5億4000万年間にわたる海面変動を、千年単位のより細かなスケールで再現することに成功した。

 この成果は、地球の気候変動モデルの精度向上に加え、地下資源の開発や安全な廃棄物の貯蔵計画、生物進化の研究にも大きく貢献する可能性を秘めている。

 この研究は、『Earth and Planetary Science Letters』(2025年7月3日付)に掲載された。

岩石が伝える海面変動の歴史

 大昔の海面の高さが変化していたことは、堆積物や化石を分析することで分かる。

 たとえば粘土岩は主に深海で作られるし、砂岩なら海岸近くで作られる。だから、樹木の年輪のように、大昔の砂岩や粘土岩の堆積層から海の深さが読み取れるのだ。

 そうした研究からは、海の高さが200mも上下することが明らかにされてきた。とはいえ、それも100万年単位の大まかな期間での話だ。

 実際には、もっと短いスパンでも海面の変動は起きていると考えられるが、それを推測するためのデータがこれまでは不足していた。特に古い時代の変動となればなおさらだ。

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image credit:Pixabay

気候と氷の関係から海面の高さを推定

 そこでオランダ、ユトレヒト大学をはじめとする研究チームが考案したのが、地球の気候と氷床の大きさとの関係を手がかりにするという新たな方法だ。

 海面の高さを左右するのは主に2つの要素だ。1つは、大陸間の「地形の深さ」を決めるプレートの動き。

 もう1つは「海水の量」を決める陸上の氷(氷床)の量だ。したがって陸上の氷床の大きさがわかれば、海水の量を推測することができる。

 そのために研究チームは、5億4000万年前までさかのぼって、気候と氷床の関係を解析し、この関係をもとに、千年単位の短期的な海面変動を推定したのだ。

 そこから導き出された海面の高さは、過去の研究で推定されてきた海面の高さとよく一致しており、その信頼性の高さがうかがえたという。

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海面の長期的変動(濃い青の線)と短期的変動(薄い青の領域)を表したもの。海面は主にプレートの活動と陸上の氷の形成・融解によって変化する/Credit: Douwe van der MeerCredit: Douwe van der Meer

恐竜時代や氷期に見られた多様な海面変動

 それによると、過去数百万年には氷期の到来とともに海面は最大100mも変動していた一方、恐竜が生きたジュラ紀や白亜紀には、陸上の氷が少なく、海面の変動も小さかった。

 これと対照的に、約3億年前の石炭紀後期には、南半球に大きな氷床が存在し、当時の海面は非常に大きく変動していた。

 なお、この頃のオランダに相当する地域には、湿地帯が広がり、巨大なトンボが飛び交っていたそうだ。

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太古の地形を再構成したもの。
A)最終氷期最盛期(約2万年前):氷床が最大に広がり、世界の平均海面は低く、多くの大陸棚が露出していた。
B)現在:間氷期にあり比較的海面が高い。
Credit: Earth and Planetary Science Letters (2025). DOI: 10.1016/j.epsl.2025.119526

気候モデルの精度向上や生物進化の研究に役立つ可能性

 この研究によって、各時代の海面の高さが判明したことで、その時代のより正確な地図を描くことが可能となった。

 こうした地図は、気候変動や生物進化の歴史を紐解くヒントになるという。

 さらにこの研究は、現在注目されている二酸化炭素の地中貯蔵や放射性廃棄物の候補地選びにも役立つと期待されている。

 なぜなら、海面が低い時期に形成された砂岩は「貯蔵層」として、高い時期に形成された粘土岩は「密閉層」として機能するからだ。

 研究の中心人物であるドウエ・ファン・デル・メール博士はこう述べる。

もしある時代に海面が高かったと分かれば、その時期に粘土岩層が堆積していたと推定できます

この情報を使って、世界的な砂岩と粘土岩の地層マップを作成すれば、地中利用を安全に進めるうえで大いに役立つでしょう(メール博士)

References: Scientists reconstruct 540 million years of sea level change in detail / Sciencedirect

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この記事へのコメント 12件

コメントを書く

  1. これだけ長い時間であれば、地軸や極の移動とか、ないんだろうか?

    • +1
    1. 小さな地磁気移動は常に起きているし、地磁気逆転も結構な頻度で起きている
      自転軸は大規模地震などで少しぶれることはあるみたいだけど
      「移動」と呼べるレベルの大きなブレが起きたのは、いまのところ”ジャイアントインパクト仮説”の時のみっぽいですね

      • +4
  2. 5億4000万年前までさかのぼった平均の海面位置が、現代とそう変わらない(もちろん記事にあるように上下の変動はあるとしても、あくまでも5億年の期間での平均を考慮する)のであれば、数億年後に海水がマントルに全て飲み込まれるなんていう仮説は当てはまらない事になるだろうね
    もしその仮説を立証するなら、もし過去5億年以内に膨大な量の海水がマントルに飲み込まれていたとしても、海面の平均位置が現代とそう変わらない事の説明を考えないといけない(氷床の存在だけで説明可能か?)

    • +4
    1. 6億年後に海水がなくなるそうですね
      それが一定のペースなら
      6億年前には今の倍の海水があったことになりますよ

      • 評価
      1. 飲み込まれているのと同時に、溶岩となって吹き出しているので必ずしも6億年後とは限らないんじゃないですかねぇ?

        • -1
        1. それって溶岩の中に水分が含まれてるって意味なんだろうけど、それなら尚更のこと、数億年後に海水がマントルに全て飲み込まれるなんていう仮説はあり得ないって話になるんだけどね

          • 評価
    2. その仮説はほぼあり得ないでしょうね
      30億年ほど古代の地層からストロマトライトの化石が発見されていますが、ストロマトライトは太陽光の届く岩石に付着したシアノバクテリアによって生成されるので、30億年前には浅瀬が存在しないとならないのですが、その仮説だと30億年前は地球全体が深い海洋で覆われていないとなりませんから

      • +3
  3. ネパール辺りはデータ取れないのかな?
    なんで白いんだろ

    • 評価
    1. 現在より平均温度が2~3度高い縄文海進時代には埼玉近辺まで海があったそうですよ
      そして過去100年間で世界の平均気温が約0.8℃近く上がっているみたいだし
      上昇速度も上がっているみたいなので、このままいけば2世紀後ぐらいには埼玉にも海ができそう
      なお。関東平野の4~5割ぐらいは海に沈む模様

      • +4
  4. >これと対照的に、約3億年前の石炭紀後期には、南半球に大きな氷床が存在し、当時の海面は非常に大きく変動していた。
    なお、この頃のオランダに相当する地域には、湿地帯が広がり、巨大なトンボが飛び交っていたそうだ。

    パンゲア大陸の時代だけど、それ前提で考えなくて大丈夫なのかな。
    海面どころか大陸の位置や存在の有無からして全く状況違うのに。

    • 評価
  5. 今を生きてる人の生活が大事であり
    将来の人類の事はその時生きてる人で解決してほしい
    今の状況は150年好き勝手生きてきた先人の責任だし

    • 評価

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