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宇宙の膨張が加速している理由はワームホールによって説明できるかもしれない

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(著) (編集)

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 宇宙の膨張が加速していることは、現代宇宙論における最大の謎の1つだ。ギリシャ、テッサリア大学をはじめとする天文学者チームは、それを解く鍵は量子効果によって絶えず生成・破壊される亜原子レベルのワームホールによるものだという新たな説を提唱している。

 ごく小さな「ワームホール」が宇宙の膨張の加速を引き起こしているというのだ。なんか、私の好きなマーベル映画「アントマン」を彷彿とさせる

 少なくとも今の時点では検証不能な理論ではあるものの、現在の標準宇宙モデルよりも加速しながら膨張する宇宙の姿をうまく説明してくれるという。

宇宙の膨張が加速する謎

 これまでの観測によれば、この宇宙の膨張スピードは加速している。

 だがもしも宇宙にあるものがすでに知られている粒子と放射だけなら、膨張が加速するはずがないのだ。少なくとも一般相対性理論的にはそう予想される。

 だから物理理論と実際の観測結果との帳尻を合わせるために、天文学者たちはこの宇宙には目に見えず、検出することもできない謎の何かがあるというアイデアを捻り出した。

 その謎の何かは「ダークエネルギー」と呼ばれている。

この宇宙の物質や場とごく弱く作用し、それによって宇宙の膨張を加速させる、とされているが、実際に直接確認されたことはない仮説上のエネルギーだ。

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ダークエネルギーの正体はワームホールであるとする新説

 テッサリア大学をはじめとする天文学者チームらは、このダークエネルギーの正体は原子ほどに小さなワームホール、すなわち空間と空間を結ぶ小さなトンネルではないかという大胆な説を提唱している。

 それによると、このワームホールは量子効果によって宇宙の真空の中に絶えず生成・破壊されている。

 これはブラックホールの事象の地平面近くで粒子が生成されて起きる「ホーキング放射」や、真空中の強力な電場によって電子と陽電子のペアが生成される「シュウィンガー効果」と似ている。

 だが、これらの現象と違って、今回のワームホールを数学的に記すには、重力における量子効果を考慮する必要がある。

 量子重力理論はまだ未完成の物理理論で、そのために今回の研究でもワームホールがどのくらいの割合で生成されているのか具体的に示すことまではできていない。

 だが仮に1秒間に1cm3あたり約100億個のワームホールが生成されるならば、そのエネルギーによって現在観測されている宇宙の膨張をうまく説明することができるのだという。

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現時点では検証不能だが、将来的には検証できる可能性

 さらにこの仮説から導かれる結果は、標準宇宙モデルのものよりも観測された宇宙に一致しているという。

 現在の標準宇宙モデルでは、ダークエネルギーの密度は時間に左右されないとしている。

 一方、今回の仮説は時間が経過するにつれてダークエネルギーは変化するとしており、そのために宇宙の膨張率が変化していることをうまく説明できる。

 なお最近の研究では、ダークエネルギーなしで宇宙の膨張加速を説明するものもある。

 とは言え、どれほど優れているように思える仮説も、実際に試すことができなければ物理理論としてはあまり意味がない。そして今回の仮説は今のところ検証不能だ。

 将来的に宇宙の膨張率やダークエネルギーの性質がもっと正確に把握されれば、それを検証することもできるかもしれない。

 それまで研究チームは理論的な分析をさらに研ぎ澄ませていく予定であるとのこと。差し当たりは、ワームホールの生成率を計算するモデルの開発に取り組んでいるそうだ。

 この研究は『Physical Review D』(2024年4月5日付)に発表された。

References:Huge cosmological mystery could be solved by wormholes, new study argues | Live Science / written by hiroching / edited by / parumo

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この記事へのコメント 13件

コメントを書く

  1. ダークマター、ダークエネルギー無しに理論を考え直してみて欲しい。

    • -3
    1. >>1
      無いと考える方が超えないといけないハードルが多すぎる。
      最近、YouTuberがそういうニッチ理論を
      あたかも真実のように発信することが多いので話半分でね。

      • +3
      1. >>13
        このとんでもなく広い宇宙の謎を解き明かすハードルが高いのなんてわかりきった話。
        だからこそ色んな説を聞いてみたいんじゃないか。
        それこそメジャーだろうがなんだろうが今のところ仮説にすぎない話を事実で確定みたいな前提にはしないでほしい

        • 評価
  2. 宇宙の膨張速度の「減速が緩むから」じゃないのか?
    減速の要素は万有引力なり(物質などの)エネルギーの拡散やらで
    「減速が緩む」(=加速している)ように観測されて当然なんじゃないかな?

    • -3
  3. ワームホールすら発見されていないのに
    それがあるとした前提で理論を構築しても全く意味がない

    この研究者がやるべきことは宇宙の膨張を考えるより前に
    ワームホールを発見しろよ

    • -3
    1. >>3
      あとから役立つからじゃないの
      先に考察しておけば、いざ見つかった後に考察済みの内容を使えばこういう考え方があると早くわかる
      捕らぬ狸の皮算用だが、入手後に狸って捕まえて何に使えるんだろうなと考えても困る

      • -2
      1. >>6
        ワームホールは非現実的な架空の対象でありながら、現代物理学の中心に位置するとても深いテーマのようです。一昔前に世界最高の物理学者と言われたウィッテンから「今アクティブで最高の物理学者」だと名指しされたマルダセナという人が、ワームホールに関する深い論文を沢山書いています。そういう物理学的な深い洞察を内包するワームホールが、強烈に謎とされる宇宙の加速膨張を自然に説明する可能性を持っているのは、とんでもなくエキサイティングな事だと思います。

        • +2
    2. >>3
      この理論がなくちゃ、たっくさんワームホールが生成されている可能性に気づくこともなかったのでは?
      望遠鏡構えて宇宙人がワープする瞬間を待つより発見に近づいたのでは?

      • -1
  4. みなが書いてるように
    ダークエネルギー、ダークマター、ワームホール(ホワイトホールも)
    これらは見つかってない
    仮説に仮説を重ねてもねー

    • -2
    1. >>4
      モノポールのように現実に見つかっていなくてもその物理的な重要性から、物理の基本原理に深く組み込まれている対象は色々あります。また陽電子のように当時は実在が確認されていない粒子がその後実験的に確認されたケースもあります。陽電子はディラック方程式から自然に導かれるものなので、実際に存在が確認される以前から、沢山研究されました。また、ワームホールがもし完全に非現実的であっても、ワームホールの研究で得られた成果のいくつかはその後も違う形で生き延びる可能性が十分あります。

      • +3
  5. 科学とは仮説を立てることから始まる
    コメント欄の自称物理学者は違う意見らしい

    • +3

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