メインコンテンツにスキップ

史上最大の正確な宇宙地図が完成。現代の宇宙論を覆す可能性を秘めている

記事の本文にスキップ

33件のコメントを見る

(著) (編集)

公開:

この画像を大きなサイズで見る
Advertisement

 研究者たちは史上最大の正確な宇宙地図を作成した。それによると、宇宙の膨張を加速させていたダークエネルギーが時間とともに変化している可能性があるそうだ。

 現在の標準宇宙モデルでは、ダークエネルギーは場所や時間に関わらず、常に一定不変であるとされている。ゆえに新たな発見が本当ならば、これまでの宇宙論がくつがえることになる。

 ダークエネルギーの変化は、今の時点では最終的な結論ではなくあくまで予備的なものだ。

 だが、もし今後も同じような観測が続くのならば、天文学者はΛ-CDMモデルや、それ以外の宇宙モデルを再検討する必要があるかもしれない。では詳しく見ていこう。

宇宙の膨張を加速させるダークエネルギー

 この宇宙はビッグバンによって始まった。そして誕生以来、ずっと膨張し続けてきた。

 宇宙に存在する物質には引力があるので、それらが引き合うことで膨張はやがて勢いを失うはずだ。

 ところが、現実の観測からは、勢いを失うどころか、膨張は加速していることが明らかになっている。

 この宇宙の膨張を加速させる謎の力が「ダークエネルギー(暗黒エネルギー)」と呼ばれるものだ。

 エネルギーと言っても、その発見から20年が経った今も真の正体は不明のまま。それは力かもしれないし、空間そのものに内在する性質である可能性もある。

 米国アリゾナ州キットピーク国立天文台にあるメイヨール望遠鏡には、このダークエネルギーの謎を解明するための装置「DESI」が装備されており、毎月100万個の銀河の位置をピンポイントで観測している。

 宇宙の”街灯”にも喩えられるこうした銀河を利用することで、過去110億年の間に加速した宇宙の膨張率を測定することができる。

 これがダークエネルギーの謎を解く手がかりになるはずだ。

過去最大となる宇宙の三次元マップが完成

 4月4日、DESI共同研究チームによって、DESIの観測から作られた過去最大となる宇宙の三次元マップが公開された。

この画像を大きなサイズで見る
史上最大の宇宙の地図。地球はその中心にある。拡大すれば、宇宙の構造が手にとるようにわかるだろう/Image credit: Claire Lamman/DESI collaboration; custom colormap package by cmastro:

 この最新の地図は、糸の結び目のように集まった無数の銀河のほか、「バリオン音響振動BAO)」と呼ばれる初期宇宙のかすかなパターンをもしっかりととらえていた。

 この繊細な三次元の”しわ”は、宇宙最初の38万年の間に存在した物質を飛び越え、その当時の痕跡を現在にとどめている。

 これを利用することで、さまざまな銀河までの距離を推定し、各時点において宇宙がどれくらいの速さで膨張していたかのか知ることができる。

DESI VR Flight Stereoscopic

ダークエネルギーは時間とともに進化する?

 そこから明らかになったのが、ダークエネルギーが時間とともに進化しているらしきことだ。

 だが、まず述べておくべきは、これが最終的な結論ではないことだ。

 今回の結論は、DESIのデータだけでなく、ほかのデータも併せて分析して導かれた。どんなものであれ、単一のデータセットだけでは、ダークエネルギーが時間とともに変化していることはわからない。

 ところが、さまざまなデータセットを組み合わせると、その痕跡がほんの少しだけ強く浮かび上がってくる。

 また、その痕跡は「Λ-CDMモデル」(現時点での標準的な宇宙モデル)が間違っていると言えるほど強力なものでもない。

 それでも最新の分析によるならば、これまで宇宙を強力に加速さてきたダークエネルギーが、多少なりとも弱まりつつあるようなのだ。

現代の宇宙論を覆す可能性を秘めている

 繰り返すが、この結論はあくまで予備的なものだ。

 だが、もしも同じことが今後も観測されるようならば、天文学者はΛ-CDMモデルに潜む不確かさを探らねばならなくなるだろう。

 さらに、いくつもあるΛ-CDMモデル以外の宇宙モデルを検証し、現実の観測結果に一番うまく一致するものを探る必要もあるかもしれない。

 「これが本当なら、宇宙論はくつがえります」と、ボストン大学の天文学者ディロン・ブラウト氏は第三者の立場からコメントしている。

 この発見は「この宇宙についてのもっとも適切な理解についてのパラダイム・シフト」になるかもしれないそうだ。

References:First Results from DESI Make the Most Precise Measurement of Our Expanding Universe / Largest 3D map of our universe could ‘turn cosmology upside down’ | Live Science / written by hiroching / edited by / parumo

📌 広告の下にスタッフ厳選「あわせて読みたい」を掲載中

この記事へのコメント 33件

コメントを書く

  1. めっちゃマップが広いけど、1マスしか行けるところがないゲームみたいな

    • +1
  2. 一番端っこはどうなってるんだ
    壁があるのか?
    不思議だ

    • +2
  3. 理論予想と観測結果とが違う結果が一つならば、予測が違うかは微妙なことだけど
    理論予想と観測結果とが違う結果が複数あるならば、それは元の理論を直さないといけない
    面倒くさいだろうけど、学者さんは笑顔で頭抱えていそう

    • +2
  4. この宇宙地図で扇子を作り、売り上げを各望遠鏡の維持費に
    充ててくれ

    • +1
  5. 何かよくわからない物を、とりあえずダークエネルギーと呼称しているのは科学的に正しいのか?実在するのかどうかも怪しいのに。

    • -11
    1. >>5
      考え方が逆なの。
      理論的に考えられる物理現象と観測値にズレがあるの。
      そこでそのズレをダークエネルギーという『力』のせいと仮定してそれが何か探しているの。
      方程式で言うXやね。エネルギーX。

      その正体は観測値のズレかもしれない。何らかの計算上の誤差かもしれない。まだ見つかってない『力』なのかもしれない。
      だから、ダークエネルギーという呼称は科学的に正しい。

      今回の記事では、そのダークエネルギーが時間とともに変化しているんじゃね?という更にややこしくなりそうな発見があったんだって。

      • +14
    2. >>5
      「ダークマター」や「ダークエネルギー」は二次創作でよく凄いモノ扱いにされるけど
      この場合の「dark」の正しい訳は「分っていない、分かりにくい、曖昧、無知」とかの方のdarkなのよ
      だから呼称としては何一つ間違えていないし、日本語訳にすると助長になるので「ダーク○○」にしているだけ
      だから、とくに宇宙系で「ダーク○○」という単語が出て来たら、「○○じゃね? 知らんけど」と言っていると脳内翻訳すればOK

      • +5
      1. >>14
        助長 冗長のことかな?
        「不確定要素」じゃだめかな

        • -1
        1. (不要な力添えをして、かえって害になること。好ましくない傾向をいっそう強めること。)
          助長でもあってるよぉ。
          駄目かなって思うなら、科学者になって命名しなぁ

          • 評価
  6. なんかすごそうだけどよくわからないのであった

    • +1
  7. 宇宙誕生は200億年以上前だって説どうなんだ

    • 評価
    1. >>7
      始まりの前には何がとか考えると、時間など有って無いようなもの

      • +1
  8. 空間がくびれているところ…
    イゼルローン回廊ですか?

    • 評価
  9. 全ての謎が解明された瞬間にリセットかかってビッグバンからやり直しになるんだろ?
    トランプタワー壊すの好きなタイプの創造主やな

    • 評価
  10. ひも理論とM理論と多元宇宙とホログラフィックと
    様々だけど宇宙の端っこも外側も光速を超える膨張速度で
    観測さえできない手の届かない謎、原理どころか全体像さえ
    把握できない膨大な謎にやる気無くならないのは凄い!

    • +1
  11. ダークサイドパワーを手にれるのじゃ

    • 評価
  12. 宇宙地図としては当たり前だけど地球が中心になっている。ビッグバンで始まったんだからその爆心地がセンターでもいいと思う……けど、それがどこかわかってないんだよな。

    • 評価
    1. >>13
      ビッグバンの中心はこの宇宙の全ての場所だよ
      宇宙マイクロ波背景放射が地球という何の変哲もない場所から観測しても向きによる違いがゆらぎ程度しかないからほぼ確実だとされている

      • +3
  13. 宇宙に端があるとしたら、その端はどうなってるのか気になる。

    • 評価
    1. >>17
      宇宙がビッグバンで始まったなら物質は有限のはずだよね

      • 評価
      1. >>20
        ビッグバンの中心がこの宇宙の全ての場所だとすると
        ビッグバンが無限を生み出したのでない限り
        空間、物質、エネルギーなんかは有限だということになる
        風船の表面を宇宙を二次元表面に簡略化したものとして表現した説明が正しいとすると宇宙に端なんかない
        その風船の表面を光の速度で制限されている「アリ」が這いまわるとする
        一周して元の場所に戻れたとしても時間がたちすぎていて元の場所に戻れたかどうかがわからないだろうね
        宇宙の大きさと言われているものがそんな状態なら本当の宇宙の大きさはもっと小さいとかあるかもしれないよ

        • 評価
    2. >>17
      地球をいくら歩いても外には出れないだろ。
      それと同じように、宇宙は4次元空間的な球形なので、いくら3次元的に移動しても外に出ることはできない。

      • +2
    3. >>17
      宇宙に端は無いと言うのが主流みたいよ
      超ひも理論とかマルチバース(多元宇宙論)だと
      専門家じゃないから厳密な話は出来ないが
      時間や空間の本当の性質は人間と感覚と異なるから「広がってる?→端がある」って自然に思っちゃうけど

      • +1
  14. でも本当に正確にわかるとしたら数億年単位だよね…

    • 評価
  15. 銀河系の中心方向から先は星が密集しすぎてて地球から観測できないので他の方向の地図

    • 評価
  16. そもそも宇宙空間の中での時間の進み方は一定なのだろうか?
    それが違えばすべてがずれる

    • -1
    1. >>23
      秒速7キロで動く人工衛星は時間が遅く進むのでそれを計算にいれて設計されている

      新幹線に乗るとわずかに時間が遅くなる

      身近でも時間は進み方が違う

      • +1
    2. >>23
      宇宙空間の中での時間の進み方は一定ではありません
      それは地球上でも正確な時計を使って検証できていますよ

      • +2
      1. >>27
        スカイツリーの上と下に正確な時計置いて実際にズレを確認した研究もあるレベルだものね

        • +1
  17. 実は内側からのエネルギーによる膨張ではなく、負圧の中の風船のように引っ張られているだけかも

    • +1
    1. >>24
      それは風船が内側の陽圧によって押し広げられているということなんやで

      • -1

コメントを書く

0/400文字

書き込む前にコメントポリシーをご一読ください。

リニューアルについてのご意見はこちらのページで募集中!

知る

知るについての記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。

自然・廃墟・宇宙

自然・廃墟・宇宙についての記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。

最新記事

最新記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。