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NASAが持ち帰った小惑星ベンヌの岩石から驚きの発見、太古の海洋世界から分裂した可能性

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(著) (編集)

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 NASAが小惑星ベンヌから持ち帰ったサンプルを分析したところ、この小惑星が、かつて存在していた海洋世界から分裂した可能性を示す、驚くべき痕跡が見つかったそうだ。

 それは岩石サンプルに含まれていた水溶性の「リン酸マグネシウム・ナトリウム」で、これは我々の知る生命活動に欠かせない成分でもある。

 アリゾナ大学のダンテ・ローレッタ氏は、「ベンヌにおけるリン酸塩の存在と状態は、他の元素や化合物とともに、この小惑星を生み出した惑星が、かつて豊富な水を持っていたことを示唆してます」と、説明している。

NASAが初めて持ち帰った小惑星の岩石サンプル

 今回分析された岩石サンプルは、NASAの宇宙探査機「OSIRIS-REx(オサイリス・レックス)」が2023年に小惑星「ベンヌ」から持ち帰ったものだ。

 NASAがこのサンプルリータンミッションの標的として直径約500mのベンヌを選んだ理由は、地球に衝突する可能性は非常に低いものの、潜在的に危険な小惑星の1つだからだ。

 NASAの2021年の研究によると、2300年までにベンヌが地球に衝突する確率を平均すると約1,750 分の 1 (0.057%) で、衝突の可能性が最も高いる2182年9月24日の衝突確率は 2,700 分の 1 (約 0.037%) と予測した。

 ベンヌのサンプルから様々なことを学ぶことで、衝突確率の精度を上げ、将来的にこの小惑星の軌道を変える取り組みに役立てることができるかもしれない。

 だが研究者であるアリゾナ大学のダンテ・ローレッタ氏らがベンヌのサンプルに期待することは他にあった。

 これまでの分析でそこから豊富な炭素が見つかっているからだ。それは生命の”素”が含まれている可能性があるということでもある。

 新たに発表された研究では、実際に炭素・窒素・有機化合物といった生命にとって不可欠な成分が発見されたと報告されている。それらは太陽系の誕生に関係する重要な物質でもあるという。

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NASAの宇宙探査機「オサイリス・レックス」が2023年に持ち帰った小惑星「ベンヌ」のサンプル/Credit: NASA / Erika Blumenfeld and Joseph Aebersold

生命の宇宙起源説を解き明かすヒントに

 地球上のすべての生命は、アミノ酸や糖といった特定の化学物質を持っている。じつはこうした化学物質の”素”となる分子が、これまで実際に小惑星から発見されてきた。

 この事実から考えられるのは、そもそも地球上の生命は、宇宙に起源があるのではないかということだ。

 大昔、地球に隕石が衝突し、それによって生命を作り出す材料がもたらされたのかもしれないのだ。

 ベンヌから回収されたサンプルは、こうした生命の宇宙起源説を考察するうえで貴重なヒントとなる。

 小惑星に含まれる化学物質は、どのようにして生命誕生につながる物質に進化したのだろうか?

 たとえばローレッタ氏は、「私が知りたいのは、メタンのような単純な炭素分子から、タンパク質を作るアミノ酸や遺伝物質を構成する核酸のようなものまで、どのようにして進化したのかということです」と、語っている。

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小惑星ベンヌ / image credit:NASA/Goddard/University of Arizona

ベンヌは海洋世界の一部だった可能性

 今回の分析では、ベンヌのサンプルから「蛇紋岩」をはじめとする粘土鉱物がたくさん見つかっている。

 これは地球の生命誕生の地ではないかと推測されている「中央海嶺」にある岩石とよく似たものだ。

 さらにサンプルに含まれていた「リン酸マグネシウム・ナトリウム」は、土星の衛星「エンケラドゥス」にあるリン酸ナトリウムに似ているという。

 エンケラドゥスはそれを包む氷の下に塩水の海を湛えており、時折壮大な間欠泉を噴出することで知られている。

 また同じようなリン酸塩に富む液体は、地球のカナダにあるソーダ湖でも見られる。

 つまりベンヌは過去に豊富な水を持っていることが示唆されており、太古の海洋世界の一部だった可能性があるのだ。

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左上は、1mmほどのベンヌの粒子。明るいリン酸塩の外殻を確認できる。他の3つは、走査型電子顕微鏡で撮影された、リン酸塩を含む明るい鉱脈に沿って分裂した粒子の断片を3段階に拡大したもの / Credit: Lauretta & Connolly et al. (2024) Meteoritics & Planetary Science

 サンプルの初期分析により、炭素、窒素、有機化合物を豊富に含む塵があることも明らかになっており、これらはすべて、私たちが知る生命にとって不可欠な要素だ。

 今回の論文では、ベンヌとエンケラドゥスの間につながりがある可能性が指摘されているが、これが本当かどうかはさらなる調査が必要になる。

 このことは、ベンヌのような小惑星からサンプルを回収することの重要性も伝えているだろう。

 この研究は『Meteoritics & Planetary Science』(2024年6月26日付)に掲載された。

追記(2024/07/10)文章を一部補足して再送します。

References:Surprising Phosphate Finding in NASA’s OSIRIS-REx Asteroid Sample – NASA / Surprise in NASA’s asteroid rocks hints Bennu came from ocean world | Mashable / written by hiroching / edited by / parumo

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この記事へのコメント 9件

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  1. 地球外の岩石も別に未知の物質とかじゃないんだな

    • +3
  2. ベンヌを選んだ理由は・・・・貴重なヒントを得ることができるだろう。
    ↑ここの意味、分かる人教えて

    • 評価
    1. >>2
      今後数世紀以内に地球に衝突する可能性が極めて低いから、着陸時の衝撃で軌道がズレても地球に落ちてこない・将来また採りに行きたくなった時に「もうどっかに落っこちて無いよ」ってならない、ってことかなあ?
      あるいは地球と軌道が交差していない小惑星のほうが地球由来隕石の可能性が低いからとか?
      説明不足だよね。

      • 評価
    2. >>2
      とりあえず”ベンヌ”でのサンプルリターンの目的は二つ。主目的は「A」
      A.小惑星の組成を調べて、地球防衛研究材料とする
      B.生命がどこから来たかの謎にたいする研究材料とする

      流れ的にはたぶんこんな感じ

      1.元々のサンプル回収目的が衝突確率の高い小惑星(この場合は”ベンヌ”)の形状や組成を詳細に知ることだった
      2.衝突の可能性がある小惑星の組成がわかれば、その質量などをさらに正確に知ることができるので、軌道計算などの役に立つ
      3.将来的には”ベンヌ”のように地球への衝突確率が顕著に高い小惑星の発見や追跡、破壊、軌道変更などの研究材料にもなる
      4.それはそうとして回収したサンプルを調べれば、「命の宇宙起源説を考察するうえで貴重なヒント」にもなるかもね

      • +1
    3. >>2
      誤訳を指摘したので、「地球に衝突する可能性は非常に低いものの、潜在的に危険な小惑星の1つ」と訂正されました。

      原文にはこの箇所の記述はないので、別のアーティクルから引っ張ってきたものでしょう。2182年頃、地球に大接近するということから、衝突を回避するヒントがえられないか、というのがこのミッションのもう一つの目的だというわけです。

      • 評価
    4. >>2
      この記事内の、2023年に小惑星「ベンヌ」から持ち帰った
      てとこにあるリンクから過去記事に飛んで
      ベンヌは2182年前後に地球に危険なほど接近すると予想されている
      とかいう記述があったから、前から地球にぶつかる可能性が高い惑星としてマークされてるんだなって勝手に思ってた
      ひょっとしてリンク見ない人なのかな

      • 評価
  3. 本文内では「オシリス」、写真キャプションでは「オサイリス」となっているのは直したほうがよさそう。
    原文の読みならオサイリスの方が正しいかな。

    • 評価
  4. 私たち生物の素は地球に降り注いだ隕石群によってもたらされ、それが海深く熱水噴出孔あたりで変化に変化を繰り返し、そして私たちが生まれたってワケ?!

    • 評価
  5. 太古の海洋世界っていうか地球から分離したもんの可能性はないんかな

    • +1

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