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ヨーロッパウナギはすべてバミューダトライアングルから来ている。だが誰もそれらを見たことがない

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(著) (編集)

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 ヨーロッパウナギはすべてサルガッソー海に位置するバミューダトライアングルで生まれたものだという。

 たとえ、ヨーロッパの内陸部に棲んでいるウナギでも、海はもちろんのこと、なんと陸地!を何千kmも旅してサルガッソー海までたどり着いて産卵するというのだ。

ヨーロッパウナギはサルガッソ海で繁殖

 ヨーロッパウナギはスカンジナビア半島・バルト海から、地中海および黒海沿岸にかけて、ヨーロッパ全域の河川に生息する他、モロッコなど、北アフリカの一部にも分布する。また、日本にも一部に移入分布する。

 近年個体数が著しく減少しており、2007年にワシントン条約の付属書に記載され、2009年から貿易取引が制限されてる。

 『Nature』誌(2022年10月13日付)に掲載された論文によると、ヨーロッパウナギの成魚がサルガッソ海の繁殖地へ移動していることを示す最初の直接的な証拠が発見されたそうだ。

 サルガッソ海は、大西洋の一部をなす海域で、アメリカ東部沖に位置するメキシコ湾流、北大西洋海流、カナリア海流、大西洋赤道海流に囲まれた長さ3,200km、幅1,100kmの範囲にある。

 バミューダ諸島はサルガッソー海の西端に位置しており、魔の海域として知られるバミューダ・トライアングルはサルガッソー海の一部が含まれている。

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ヨーロッパウナギ(Anguilla anguilla)の成体がサルガッソー海の繁殖地に移動
している初めての証拠が示されている地図 / image credit:nature

バミューダ・トライアングルを繁殖地に選んだウナギだが、誰もその姿を見たものはいない

 地質学博士のエミリー・フィンチ氏はウナギに魅了されており、X(旧Twitter)でこのことに関してわかりやすく紹介してくれた。

ヨーロッパウナギはすべてサルガッソー海(バミューダトライアングル内)で生まれたことがわかったそうだ。

例え、ヨーロッパの内陸部に棲んでいるウナギでも、海はもちろんのこと陸地を何千kmも旅してサルガッソー海までたどり着いて産卵する。

ウナギが陸地を移動するには地面に少し湿り気があれば大丈夫だ。ダムの壁!を登ることすらできる。あんな巨大なほぼ垂直の壁をウナギが登るなんて信じられるだろうか?

ウナギは世界中のどこに棲んでいようと、断食しながら産卵場所へと気が遠くなるほどの長い旅を始める。内側から身を削りながら、何千kmも移動するのだ。

ウナギは産卵すると死んでしまうが、生まれた子どもたちは何千kmも離れた親が棲んでいた場所へと戻っていく。どうしてその場所がわかるのだろうか?

1923年、ヨハネス・シュミットという人物が大西洋と地中海を調査し、ウナギの産卵地を見つけた。

より若いウナギがいる場所を順に見つけていって、最終的にバミューダトライアングルでもっとも若いウナギを発見したことから、彼らがサルガッソー海で産卵すると判断したのだ。

しかし、サルガッソー海でウナギが産卵しているという直接的な証拠を見つけることは誰もできなかった。

研究者たちは、追跡装置を使ってウナギの足跡を追いかけようとしたが、不思議なことにいつもウナギにまかれてしまった。

21世紀になってようやく衛星追跡装置によってヨーロッパウナギをサルガッソー海までずっと追いかけることができた。それなのに、ここでウナギの成体を実際に見た者は誰もいない

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ウナギの子孫たちは、たとえ一度も行ったことがなくても、繁殖地に戻る方法を知
っている / image credit:Salvor Gissurardottir/CC BY-SA 2.5

謎に包まれているウナギの生態

 ウナギの繁殖方法とその場所については、古代ギリシアの哲学者、アリストテレスもオーストリアの心理学者、ジークムント・フロイトも頭を悩ませてきた。フロイトは若い頃、ウナギの生殖器官の解剖学を研究していたそうだ。

 フィンチ氏のポストにあるように、100年前、ヨハネス・シュミットの調査で、ウナギの産卵場所が西大西洋の西経65度から48度の範囲に位置するサルガッソー海に絞られた。

 孵化したばかりの幼体ウナギが発見されたのはここだけだったからだ。

 しかし、シュミット氏の研究成果が発表されてから数十年間、ウナギの成体や卵を観察することができた者は誰もいなかった。それなら産卵場所はいったいどこにあるのだろう?

 1970年代以降、研究者たちは回遊するウナギにタグをつけようとしてきたが、これが実現したのは、この10~15年の間にポップアップ・衛星アーカイブタグ(PSATs)が開発されてからのことだ。

 このタグは、所定の時間が経過すると対象から外れて海面に浮上し、データを回収することができるものだ。

 前出の2022年に発表された研究では、このPSATを利用して、バルト海、ケルト海、北海、ビスケー湾、地中海西部から回遊する80匹以上のウナギを追跡した。

 ここから回収したデータからは、出身地が異なるこれらウナギの移動ルートが、ヨーロッパとサルガッソー海の中間にあるアゾレス諸島(大西洋北部のポルトガル領の島群)を通過すると合流する様子がわかった。

 しかし、このウナギたちが最終目的地に到達するのに6ヶ月以上かかってしまい、PSATが謎の産卵場所を特定するのに時間がかかり過ぎた。

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論文では、ヨーロッパウナギの成体がサルガッソー海の繁殖地へ移動していることを示す初の証拠を発見したと報告されている / image credit::nature

交尾、産卵、死を迎えるまでに長距離の旅をするウナギ

 そこで、新たな解決策が編み出された。優位なスタートを切ったウナギにタグをつけることにしたのだ。

 2018年と2019年、アゾレス諸島で26匹のメスのヨーロッパウナギにPSATを取りつけた。メスのほうが体が大きく、タグがつけやすいからだ。このウナギたちは産卵場所と思われる地点まで2500km泳いだことがわかった。

 途中でタグが失われたり、捕食されてしまったウナギもいたが、最終的に最長1年間追跡することができ、ヨーロッパウナギの成体がサルガッソー海の推定産卵場所に到達した直接の証拠を初めて示すことができた。

 この発見は、ウナギの移動のルートを詳しく知る上で非常に重要なものとなるだろう。

 移動距離は5000~1万kmにもなり、これはウナギ目の中でも最長だ。

 今はまだ、ウナギの移動のルートやそのタイミング、泳ぐスピード、なにを頼りに目指す方向を判断しているのか(水温なのか、磁気なのか、地形なのか、においなのか)は謎に包まれてい
る。

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photo by iStock

 この謎がもっと解明できれば、ウナギの種の保存に役立つかもしれない。ヨーロッパウナギは1980年代以降、95%も減少し、現在絶滅の危機に瀕している。

追記:(2024/05/26)本文を一部訂正して再送します。

References:First direct evidence of adult European eels migrating to their breeding place in the Sargasso Sea | Scientific Reports / Eels Come From the Bermuda Triangle and Other Weird Facts About the Animals – Atlas Obscura / written by konohazuku / edited by / parumo / written by konohazuku / edited by / parumo

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この記事へのコメント 22件

コメントを書く

  1. 我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか・・

    • +3
  2. 以前目がテンでウナギのメス化メカニズムを見つけちゃったし
    意外と消えつつあるアマゾンとか田んぼなどの水気のある
    地域に答えあるかもしれない

    • +2
  3. ニホンウナギもマリアナ海溝で生まれてるらしいから同じような生態してるのかね

    • +5
  4. 95%減少って本当に風前の灯火だったんだな
    この遡上生態って日本のウナギとは全く違うんだろうか
    ウナギって養殖出来てたよな?

    • 評価
    1. >>5
      稚魚からの養殖は出来てるが、その稚魚も水揚げ量が減ってる。
      卵からの完全養殖は最近できるようになったが、コストと手間の点で実用化にはほど遠い。

      • +4
  5. 美味いと言う事は分かってるのが質が悪い
    繁殖生態が分からなければ獲らない以外で対処法が無いのに
    しかし規制をかけても需要があって密漁される、絶滅したら一生食えないと言うのに

    • +4
    1. >>6
      世界中の人間がとりあえず3年間くらい食べる(捕る)のを我慢する!…とか出来れば将来の見通しを立てることができるかも?
      鰻屋さんには酷な話か…

      • +3
    2. >>6
      鰻さんは美味いだけじゃなく栄養も滋養もあるからね。
      ローマ人も食ってたし古代から人間の食を支えてくれた生物よね
      絶滅する前に完全養殖に移行していきたいもんだな

      • +4
      1. >>17 確かカラパで見た気がするんだけど、英ではウナギの干物が税金として認められてたような。
        最近はわからないけど、昔は日本と同じ魚をいろいろ食べてたんだよね。
        でも箸じゃなくナイフでどうやって?と不思議。全部3枚おろしかなあ。
        中骨切り取ったり、小骨をピンセットで取ったり、お母さんやってらんないと思うんだけど?

        • +2
        1. >>19
          ロンドンのテムズ川のウナギは貴重な栄養源だったとかな話ですね。ウナギのゼリー寄せは今でも名物だとか。ぶつ切りにして煮込んだ日本で言う所の煮凝りな料理ですね。
          日本の蒲焼も現在の様におろして焼く様になる前はぶつ切りにして串に刺して焼いて味噌で食べるんだったとか。串に刺した所が蒲の穂に見える事から蒲焼と呼ばれたなんて話ですね。

          • +1
  6. サルガッソには巨大ウナギヒュドラとか居そう

    • +2
  7. ウナギ目共通の習性で、アナゴは南鳥島南方380キロで産卵とのこと

    • +3
  8. 地球ではこういった、信じ難いとてつもない事実がいろいろあるんだろうな。研究者はすごい。

    • +3
  9. 川にいるときに石の隙間や砂に隠れているのだから
    海にいる時も砂の中にいるのでは。
    チンアナゴやハゼの仲間も海底で穴に隠れている。
    イワシやマグロやカレイのように見える場所を
    泳ぎ回っているイメージで探すから見つからないのでは。
    深海の砂底を掘り起こして探すくらいしないと
    発見は難しいと思う。

    • -1
    1. >>12
      割と面白かったよね
      印象に残ってる。四年生だっけ?

      • 評価
  10. ということは日本のウナギがドラゴントライアングル近辺にいるのも必然だったと

    • +1
  11. 異世界人が送り込んだ怪獣の子供ですね
    パシフイックリムっていう映画でやってました

    • +1
  12. ヨーロッパウナギもニホンウナギみたいに早く大学の研究室を故郷にできると良いね

    • 評価
  13. ウナギがダムを登るって本当の話?
    あのヌルヌルの体で一体どうやって…
    その物理は解明されてるのか?

    • +1

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