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世界初、ヨーロッパウナギの繁殖地までの移動ルートの特定に成功

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(著) (編集)

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 何世紀もの間謎に包まれていた「ヨーロッパウナギ(Anguilla anguilla)」の繁殖地までのルートがついに特定されたそうだ。

 人工衛星を利用してウナギたちを追跡したところ、ポルトガル西沖から大西洋赤道海流に囲まれた海域「サルガッソ海」まで、1年をかけて長い旅路についていることが明らかになったのだ。

 そこにウナギの繁殖地があるという仮説は、100年前にすでに提唱されていた。しかし、サルガッソ海で卵やウナギが見つかったことはなく、真偽のほどは不明だったが、今回、ついにサルガッソ海がウナギの繁殖地であるという直接的な証拠が得られたことになる。

困難を極めた繁殖地までのルートの特定に成功

 デンマークの生物学者ヨハネス・シュミットが、ヨーロッパから遠く離れたサルガッソ海でヨーロッパウナギの幼魚を発見したのは、1920年代初頭のことだ。これによって、ウナギの繁殖地の特定もまもなくだろうと期待された。

 だが、その期待も空く、作業は難航した。ダム・汚染・生息地の喪失・乱獲など、ウナギの旅を邪魔するいくつもの要因があり、追跡を難しくしていたからだ。

 しかも1980年代以降になると、ヨーロッパウナギは激減し、繁殖地の特定は緊急性を帯びるようにもなった。

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photo by iStock

人工衛星で追跡し、繁殖地がサルガッソ海であることを突き止める

 今回、イギリスやポルトガルなどの国際的なチームは、ヨーロッパウナギに発信器を取り付け、人工衛星でその謎に包まれた旅路を追った。

長い間科学者を惹きつけてやまなかった謎の解明は我々にお任せください!ヨーロッパウナギはどこで産卵し、どうやってそこに辿り着くのか?繁殖地はサルガッソ海であるという初の証拠を発見しました

 過去の研究では、ヨーロッパ各地のウナギがポルトガル西沖にある「アゾレス諸島」に集まり、それから4つの海流が渦を巻いている「サルガッソ海」の方向へ出発しているらしきことが明らかになっていた。

 サルガッソ海は、船の沈没事故が多発しており、「魔の海」や「船の墓場」といった伝説が伝わるところだ。そんなところに本当にウナギの繁殖地があるのだろうか?

 これを明らかにするべく研究チームは、アゾレス諸島のウナギのメス(21匹)を捕まえ、DNAを採取した上で、発信器を装着。再び大西洋に放して、どこへ向かうか追ってみた。

 するとはたせるかな、過去の予想が正しかったことが証明されたのだ。

 追跡から数ヶ月後、6匹のウナギは確かにサルガッソ海に到着した(なお残り15匹は途中でデータ収集のために回収された)。その記録によると、もっとも長い旅をしたウナギは、直線距離で2275キロを泳いだそうだ。

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メキシコ湾流、北大西洋海流、カナリア海流、大西洋赤道海流に囲まれた海域にあるサルガッソ海 / image credit:public domain/wikimedia

ウナギはなぜ1年もの長旅を続けるのか?

 今回の研究では、ウナギは1日で平均6.8キロ泳ぐことがわかっている。この速度でじっくりと1年もの時間をかけて長旅を続けるのだ。

 このことはウナギが、よく計算された移動をしていることを意味する。

 研究グループによると、ヨーロッパウナギは、早く卵を産もうと慌てて移動することなく、深いところをゆっくり移動している可能性があるという。

 こうすることで、エネルギーを節約し、途中で命を落とすリスクを予防していると考えられる。またゆっくりと旅を続けるうちに、生殖能力を十分成熟させることもできるようだ。

ウナギはどうやって繁殖地を見つけているのか?
 だが、ヨーロッパウナギの謎がすべて解明されたわけではない。たとえば、そもそもウナギはどうやって迷うことなく遠い目的地まで辿り着いているのだろうか?

 もしかしたら、生まれた川に里帰りするサケのように、ウナギは地球の磁場を感知しているのかもしれない。あるいは匂いや海流、温度前線といった手掛かりを利用してる可能性もある。

 こうした謎の解明までにはまだしばらく時間がかかるかもしれない。それでも今回の研究によって、ウナギの旅の地図が完成し、アゾレス諸島はウナギ保全の中心として位置づけられることになった。

 研究グループの1人である、アゾレス大学の魚類生態学者ホセ・マヌエル・N・アゼベド氏は、「今回の発見は、ウナギのライフサイクルにおけるアゾレス諸島の役割を明らかにしています」と話す。

 「この発見は、アゾレス諸島全体のウナギの生息地の回復を推し進めるのに役立つでしょう」

 この研究は『Scientific Reports』(2022年10月13日付)に掲載された。

References:Scientists Track Eels to Their Ocean Breeding Grounds in World-First : ScienceAlert / written by hiroching / edited by / parumo

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この記事へのコメント 14件

コメントを書く

  1. ニホンウナギも太平洋の赤道近くまで行ってるから何かそういう進化をしたのでしょうね。
    大発見ですね。

    • +5
  2. ウナギに言わせると俺の実家までスネークするとは
    人って変態だと暴言吐いてるかもしれん

    • +6
  3. これは公開してはいけない情報では?

    希少なウナギの繁殖地が公開されれば、より乱獲されて個体数が減る

    • 評価
  4. 時の流れに身を任せ~♪
    ただ海流に乗ってるだけだったりして

    • +1
  5. 完全養殖すると動物としての知性への敬意とか
    宗教思想が妨害してくるのが西洋の最大の障壁だな。
    ヤオヨロズに感謝して食ってる日本の事はほっといてくれ。

    • -7
    1. ※6
      うなぎの完全養殖はまだ出来てないのでは?

      • 評価
      1. ※13
        完全養殖自体は出来てるよ
        コストが高すぎてまだまだだけど

        • 評価
  6. これはかの名著「潮風の下にて」のウナギのアンギラのルートなのでしょうか?
    ぜひともレイチェル・カーソン嬢に伝えたいニュースです。
    彼女は本当に生き生きとした海の生き物たちの話を残しています。
    その中でもこちらの作品は翻訳の方の表現も素晴らしく、ぜひとも読んでいただきたい一冊です。

    • +1
  7. だいぶ前にnh○とかネットニュースでも見たよ
    スゲえそこまでわかるんかってびっくりした
    北海道でもあがったってニュースもあるよね
    ウナギも北上しつつあるんか

    • +1
  8.  元々、ウナギは深海魚フウセンウナギの親戚からK-Pg境界事象の後、サメやマグロと同様に浅い海や淡水に進出していった魚だが、幼魚レプトケファルスの遊泳能力でどうやって成長する住処の川にたどり着くのかという課題があった。
     太平洋のウナギはグアム沖から黒潮と対馬海流という強力な流れに乗ってこれたが、サルガッソーには北大西洋に流れがあるんだな・・・

    • +2
  9. アトランティスが故郷だからウナギがこの海域を目指しているという説を唱えてる人もいたっけ。
    ガー様「間違いない。アトランティスの遺産はあるのだ。12000年前から飛び続けている我らの希望の星が・・・」

    • 評価
  10. これはただの妄想だけど、乱獲され過ぎて人が行きにくいところで繁殖している集団だけが生き残って、それを発見できた…ってこともあるのかもしれないね
    凄い発見で、知りたいことだけど、大っぴらに言わないほうがいいことなのかなとも思ってしまう

    • 評価

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