メインコンテンツにスキップ

ベートーヴェンの毛髪から高濃度の重金属を検出、難聴の原因である可能性

記事の本文にスキップ

23件のコメントを見る

(著) (編集)

公開:

この画像を大きなサイズで見る
Advertisement

 新たな研究で、数々の名曲を残した作曲家でピアニストのルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンの髪の毛から高濃度の重金属が検出された。

 今回、『Clinical Chemistry』(2024年5月6日付)に掲載された研究によると、本物と認定されたベートーヴェンの毛髪のDNAを分析したところ、高濃度の「鉛」のほか、「ヒ素」「水銀」といった重金属が検出されたという。

 彼は難聴をはじめ、B型肝炎など、終生病気に苦しめられたとされているが、もしかしたらこうした重金属による中毒がその体を蝕んでいたのかもしれない。

ベートーヴェンの毛髪に通常の60~100倍近い鉛を検出

 分析されたのはベートーヴェン(1770年~1827年、56歳没)のものとされる2房の髪の毛のDNAで、片方からは1gあたり380μg、もう片方からは258μgの鉛が検出された。

 通常の髪の毛に含まれる鉛は4μg以下なので、65~100倍近い高濃度の鉛で汚染されていたということになる。

 それだけでなく、ほかにも「ヒ素」と「水銀」が、それぞれ通常の13倍と4倍も検出された。

この画像を大きなサイズで見る
マダム・タッソー館に展示されているベートーヴェンの蝋人形 / image credit:pixaboy

鉛中毒で難聴になった可能性。ただし死因とは考えにくい

 「交響曲第9番」や「運命」をはじめ、数々の名曲を書いた楽聖ベートーヴェンだが、20代で聴力が悪化しはじめ、40代後半には完全に耳が聞こえなくなっている。

 また慢性的な腹痛や下痢に悩まされ、2度ほど黄疸(肝臓に問題があったと考えられる)が出るなど、若いうちから健康に苦しんでいたらしいことが知られている。

 こうした症状の原因の1つは、この鉛による中毒だった可能性があると、今回の研究は指摘する。

 ただし、鉛中毒はベートーヴェンの唯一の死因だとは考えにくいようだ。

 鉛は確かに、難聴や胃・肝臓の障害に関連しているが、それだけで死ぬほど高濃度でもないからだ。なお今回の研究は、ヒ素と水銀が体に与えた影響に触れていないため、死との関係性はわからない。

この画像を大きなサイズで見る
ベートーヴェンの肖像画(1803年) / image credit:public domain/wikimedia

大好物のワインと魚が鉛中毒の原因か?

 なぜベートーヴェンはこれほどまでに鉛に汚染されてしまったのか? もしかしたら、それは当時彼が愛飲していたワインが関係しているかもしれない。

ベートーヴェンはワインが大好きで、しばしば1日にボトル1本を飲み干していた。

 だが当時、ワインには保存料や甘味料として酢酸鉛が入れられることがあり、しかもガラス瓶にも微量の鉛が含まれていた。

この画像を大きなサイズで見る
photo by Pixabay

 くわえて彼がよく食べていた魚が、ヒ素や水銀で汚染されたドナウ川で獲れたものだったらしいことも、健康に影響したかもしれない。

 なおベートーヴェンの毛髪が調査されたのは、これが最初ではない。

 例えば2023年の研究では、ベートーヴェンの本物の髪の毛を選別するところから始まり、そのDNAを分析したところ、彼が亡くなる直前「B型肝炎」にかかっており、これが死につながった可能性があることを明らかにしている。

 ベートーヴェンの時代、家族や有名人が亡くなると、その髪の毛の房を切って残しておくことがあった。今、私たちが当時の人物の知られざる真実に触れられるのは、こうした習慣のおかげだ。

 「私たちは、これが難解なパズルの重要な1ピースであり、これによって偉大な作曲家の医学的歴史をよりよく理解できるようになると信じています」と研究チームは述べている。

References:Heavy metals in Beethoven’s hair may explain his deafness, study finds | Live Science / written by hiroching / edited by / parumo

📌 広告の下にスタッフ厳選「あわせて読みたい」を掲載中

この記事へのコメント 23件

コメントを書く

  1. 一般的な食生活で重金属中毒になったのなら、あの時代の多くの人々もそうなのでは。
    ナポレオンのスペイン戦争を否定的に描いたゴヤも聴力を失っていた。

    • +23
  2. かつてカラヴァッジオも絵の具をなめて鉛中毒になったし、日本でも白粉が女性と乳児を鉛中毒にした。現代に生まれてよかった

    • +15
  3. ローマのころのワインに鉛が~という話は知っていましたが、18世紀になってもというのは知りませんでした。
    今は無害とされているものも常に発がん性の評価とか催奇性の評価とかいろいろされているわけで、今後さらに改良されていくと思います。何百年か後の人たちに「当時はこんなのを気にしてなかったんだよ」と言われるのかな・・・

    • +7
  4. バロック絵画の巨匠カラヴァッジョも、殺人や暴力事件を起こして最後には野たれ死にしたのだが、
    この人の骨も重度のヒ素で汚染されてた。ヒ素中毒は感情のコントロールをできなくさせる。
    当時の絵の具には重金属や毒物が含まれていて、絵の具のついた指でパンを掴んで食べたりしたからこうなった。
    絵描きにはエキセントリックな人が多いと思われているが、実際には金属中毒症だったりしたようだ。

    • +19
  5. >もしかしたらこうした重金属による中毒がその体を蝕んでいたのかもしれない

    根拠がない

    その地域全員にその傾向が現れないとダメ

    • -23
  6. 日本でもイタイイタイ病とか水俣病が有名になる前は重金属の毒性とかほとんど気にしてなかったからなあ
    昔は水銀素手で触って遊んでたりしてたし

    • +21
  7. ワインと魚だけでそんな事になるのかよ
    怖すぎ
    なら一般人も難聴だらけだったのかな

    • +7
  8. 日本はおしろいに鉛入れてたからな
    100年ちょい前とかやで

    • +13
  9. そういえば、モーツァルトも重金属中毒だったらしい、って話だ。
    当時使われてた医薬品に、結構な量の重金属が含まれてたみたいだし。
    あと鉛に関しては、水道管や食器なんかにも使われてたとかいう話だ。

    • +13
  10. モーツァルトは、毒を盛られていた説もある

    • +3
  11. 18世紀のヨーロッパの平均寿命はだいたい30代くらいだそうで
    耳も体も臓器もガタがきたらお迎えって感覚だったんじゃないかな

    極端に不摂生なら自覚できるだろうけど、普段食べてるもので中毒になるとは当時の人には分からないだろうし大変な時代だったんだと思うね

    • +4
    1. >>17
      昔はワインが酸化してすぐ酸っぱくなってしまうのでブドウのシロップを酸化防止剤にしていたが、煮詰める過程で鍋のコーティング(鉛)も溶けて濃縮されてしまっていた

      • +8
    2. >>17
      鉛の塩は甘いんだが、酢酸鉛(Ⅱ)というのは少なくとも古代ローマから使われていた伝統的な甘味料
      「サパ」という名前で知られている
      ワインの味と保存性を高めると信じられていてしばしば添加されていた

      • +9
  12. 不思議の国のアリスにも出てくる18-19世紀の帽子屋が製造過程で水銀やクロムに神経をやられ、頭のおかしい帽子屋という慣用句ができたのは有名な話

    • +10
  13. 日本の公家は糖尿病の合併症で「怨霊」に怯えてたしな

    • 評価
  14. 「毛髪のDNA🧬」というのが???
    重金属検出なら髪だけで可能だよね
    でもDNA🧬は毛根や皮膚小片がいる
    年代からそれらが残っていたのか疑問

    新しい検査技法が使われたのだろうか

    • +3
  15. ベートーベンが弟子のツェルニーと二人でモーツァルトの死の原因を探ってて水銀中毒にいきつくミステリーを読んだことがあったな…

    • 評価
  16. まさかクラシックの巨匠からヘビィメタルが見つかるとはね

    • +2

コメントを書く

0/400文字

書き込む前にコメントポリシーをご一読ください。

リニューアルについてのご意見はこちらのページで募集中!

歴史・文化

歴史・文化についての記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。

人類

人類についての記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。

最新記事

最新記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。