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植民地以前のオーストラリアでは「ディンゴ」を愛し、人間同等の地位を与えていた

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(著) (編集)

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 オーストラリア大陸と周辺に生息する野生種「ディンゴ」は、約4000年前にアジアから人間と一緒にオーストラリアへ渡来したと推測されている。

 現在では家畜を襲い、農作物に被害をもたらすことから厄介者扱いされているディンゴだが、19世紀にヨーロッパからの入植者が大量にやってくる以前は、オーストラリアの先住民族たちにとてもかわいがられていたという。

 先住民アボリジニの人々はディンゴと強い絆を結び、人間と同等に大切に扱っていたことが新たな研究で明らかとなった。その関係は今の人間と飼い犬に近いものだ。

 シドニー南部にある遺跡の調査からは、死んだディンゴを人間と一緒に丁寧に埋葬するなど、2000年前の先住民たちがディンゴを家畜化したらしきことを示す証拠が見つかっている。

2000年前に人間と一緒に埋葬されたディンゴの遺骨を発見

 今回の新事実は、シドニー南部にあるカラカロン遺跡(Curracurrang)での発掘調査から明らかになったことだ。

 この遺跡で発掘された2000年前のディンゴの遺骨は、驚いたことに人間と一緒に埋葬されていた。

 オーストラリア国立大学のルーカス・クーングロス博士は、ディンゴが丁寧に埋葬されていることから、人間とディンゴは想像以上に親しい関係だったのだろうと説明する。

すべての集落でディンゴが埋葬されたわけではありませんが、埋葬された地域ならどこでも、そのプロセスや方法は人間と同じか、かなり似ています。

これは、人間とディンゴには強い絆があり、ほとんど人間同様に扱われていたことを示しています

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丁寧に埋葬されたディンゴの遺骨 / image credit:PLoS ONE (2023). DOI: 10.1371/journal.pone.0286576

先住民アボリジニとディンゴの絆

 オーストラリアの先住民、アボリジニの人々がディンゴと一緒に暮らしていたことを示す痕跡は、埋葬以外にもある。

 遺跡から発掘されたディンゴの歯は、かなりすり減っていた。

 このことはディンゴが大きな骨がたくさん含まれた食べ物を食べていたということだ。おそらくは人間の残飯を与えられていた可能性が高い。

 さらにディンゴの遺骨は、さまざまな年齢のものが含まれていた。

 つまりオーストラリアの先住民たちは、ディンゴの子供を世話して野生にかえしていたわけではなく、むしろもっとしっかりとした関係だったろうことがうかがえるという。

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photo by iStock

ディンゴと人間に再び絆が結ばれる日は来るのか?

 共著者のスーザン・オコナー教授は次のように述べている。

今回の発見は、オーストラリアの先住民族とディンゴの関係を理解する上で、重要な意味をもたらすものです。

ヨーロッパ人がオーストラリアに入植するよりも前に、ディンゴと先住民は強い絆を結んでいました。このことは先住民の間ではよく知られており、それを目にした人たちが記録にも残しています

 同教授によれば、それは植民地時代にたまたま育まれた一時的な関係ではなく、それ以前からずっと続く長期にわたる関係だったろうと考えられるそうだ。

 ディンゴは、砂漠、森林、山地など多様な環境に適応している。体長は約110~120cm、体重は約15~20kgと中型犬に近い。

 ディンゴはタイリクオオカミの亜種という説が有力だが、独立種であるという説もあり、種を巡っては、いまだ意見が分かれている。

 一般的には黄色や赤茶色の毛色を持つ。主に群れを形成するが、単独で行動することもある。食性は雑食で、そのため家畜を襲ったり、農作物を食べてしまうこともある。人間を襲うこともあり、毎年多くのディンゴが駆除されている。

 一方で、野良猫やキツネなど害獣とみなされる動物を抑えることにディンゴが役立っているという主張もある。

  今は厄介者扱いされることが多いディンゴだが、いつかまた人間と仲良く共存できる日はやってくるのだろうか?

 この研究は『PLOS ONE』(2023年10月20日付)に掲載されている。

References:Dingoes given ‘almost-human’ status in pre-co | EurekAlert! / Dingoes given ‘almost-human’ status in pre-colonial Australia, archaeological study finds / written by hiroching / edited by / parumo

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この記事へのコメント 21件

コメントを書く

  1. ディンゴって柴犬に似ててかわいいなって思っちゃう・・・

    • +16
  2. 家畜犬としての性質は残っているのかな 100年以上も野犬として世代交代を重ねているなら再家畜化には品種改良が必要かも

    • +3
  3. ディンゴの負の面も伝えなきゃ、オーストラリアに山ほどいる「ディンゴ信者」と同じになってしまいますよ。タスマニアタイガーや本土のタスマニアデビルなど、ディンゴの影響で絶滅したとされる固有生物も複数います。

    • -9
    1. >>5
      タスマニアタイガーの絶滅ってヨーロッパからの入植者がやったことだよ

      • +2
      1. >>18
        ヨーロッパからの入植者によって絶滅したのは
        タスマニア島のフクロオカミで、
        オーストラリア本土にいたものはディンゴ等、
        先住民の影響で絶滅してる。

        一般的に「先住民族=自然と上手く付き合う」
        「白人=動物を絶滅させる」みたいなイメージがあるけど
        オーストラリアの場合は先住民によって絶滅した動物が多い。
        強力な肉食獣が少なかったから先住民の狩猟圧程度でも
        十分過ぎる脅威になったのかもね。

        • -6
        1. >>21
          何やかや言って絶滅させたのは人間のせいってことだよね

          • 評価
  4. それでも、不用意に持ち込んだ人間がすべて悪いのであって、ディンゴという生き物自身には罪はないと思うの

    • +11
    1. >>6
      人間の手によらない動物の移住や影響によって絶滅したり他の動物の害になる動物も多くあるけど、その動物が悪いって話にはならないだろ?(その場合は何故か自然淘汰って表現になる)
      人間だって所詮一種の動物なんだし、人間が全て悪いと考えるのは短絡的すぎると思うけどな

      • -4
      1. >>15
        外来生物問題に限らずだけど、
        人間の活動による環境の変化速度というのは通常、
        それ以外の要因による変化速度より遥かに速い。
        なので環境保全という観点では人間の活動を
        それ以外の要因と分けて考えるのは理に適ってると思う。

        • +6
  5. 家畜を襲い、農作物を荒らすと書いているけど、人の子供を襲ったり殺したりするんだから
    ある一家がキャンプで子供を殺害したと有罪判決がでて収監されまでされたが、ディンゴの仕業だといって釈放された人もいる

    • +2
    1. >>7
      あれ結局 その後別の人間を襲ったディンゴの巣穴から当時殺害された子供が身につけていた血まみれの衣服が発見されて無罪が確定しましたよね
      …そもそも当時はディンゴは人間を襲う事は無いと信じられていたり警察が証拠の捏造を行ったことが発覚したり色々と酷い話だった記憶

      • +4
  6. ディンゴが人間の子供を襲って命を奪った事件がありましてですね。。。。
    野生生物とは適切な距離が必要な上にディンゴは凶暴である点を考慮しないとならない

    • +3
  7. ディンゴの盲導犬だったか介助犬もいるって
    ドキュメンタリーで見た

    • +4
  8. アボリジニの人達は
    一緒に寝て毛布代わりにぬくぬくもふもふしてたそうな

    • +7
  9. ペットとして飼われているディンゴ(雑種)と会ったことがあるけど、お客さんには警戒心が強くて全く媚びないんよね。でも飼い主家族にはぴったりくっついて離れようとしない。なんか外見も柴犬っぽいし、オオカミの系統に近い種だから似てるのかな。

    • +6
    1. >>14
      オオカミに遺伝子が近い犬は基本的に他所の人間には懐きにくいって言われてるね
      よく見かける柴犬も実は余所者に対しては警戒しやすい方の犬
      でも色んな人と触れ合って社会性を学んで友好的な子も多い(性格は個体差あるけど)

      • +2
  10. 普通にオオカミの家畜化みたいに、懐く個体・そうじゃないのがあっただけじゃないの
    オーストラリア入植の際に邪魔な存在なディンゴをことさら悪魔のように思いこんだ連中が偏った目線でディンゴの研究をしてきて悪い部分だけを強調してディンゴは犬のように懐かない部分だけを発信しただけで
    オオカミも保護と研究の結果、昔より社会性が高くてαとの接し方で人間も群れの一員として認められることがわかってきてるんだし

    • +8
  11. 徳川の将軍様が異世界転生してたのかな?

    • -5

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