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微小の浮草が宇宙飛行士の主食になるかもしれない。様々な重力下での実験が行われている

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(著) (編集)

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 人類が宇宙に出たからといって、吸うものは吸わねばならないし、食べるものは食べねばならない。つまり宇宙飛行士には、光合成で酸素を出し、食材になってくれる植物が必要なのだ。

 だが地上で育つ植物が、宇宙環境下でも育つとは限らない。そこで研究者たちは、地球とはまるで違う宇宙の重力に耐えられる植物を探している。

 その有力な候補が、地球上で最も小さな花を咲かせる水草の仲間であり浮草である植物「ミジンコウキクサ」だ。

世界最小の花を咲かせる水草

 サトイモ科に分類される「ミジンコウキクサ」は、池などに浮かんだまま成長する小さな植物だ。

 大きさは0.3~1.5mmと極小サイズで、その名の通りまるで緑のミジンコのような姿をしている。もちろん咲かせる花だって、0.1~0.2mmと世界最小の花だ。

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まるで緑色のミジンコのような小さな植物「ミジンコウキクサ」 / image credit:Christian Fischer/Wikimedia Commons/CC BY-SA 3.0

ミジンコウキクサは様々な重力に耐えられるのか?

 ヨーロッパ宇宙機関(ESA)とタイ、マヒドン大学の共同研究チームは、無重力をはじめとする地球とはまるで違う宇宙の環境に、ミジンコウキクサが耐えられるかどうかの実験を行っている。

 そのため、マヒドン大学のタットポン・トゥリヤナンダ氏らは、このミジンコウキクサをアジア各地の水辺に浮かべている。

 「植物が重力の変化にどう反応するかモデル化しようと思いました」と、マヒドン大学のトゥリヤナンダ氏は話す。

 ミジンコウキクサは、根も茎も葉もない球体というユニークな姿をしている。それが重力の変化が発育に与える影響を調べるうえで、とても都合がいいのだという。

 タンパク質が豊富なミジンコウキクサは、豆にも匹敵する栄養があり、タイなどではスープやサラダとして食べられている。

 しかもミジンコウキクサは1日に倍になるくらい増殖スピードが速く、光合成でたっぷりと酸素を作ってくれるというメリットもある。

 そうしたワケで、宇宙の作物として有望視されるのだ。

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photo by iStock

微少重力や地球の20倍の重力を再現したテスト

 だが、その前にミジンコウキクサが宇宙の重力に耐えられるかどうか、きちんと確かめておかねばならない。

 トゥリヤナンダ氏らはまず、「クリノスタット(微小重力環境細胞培養装置)」で試してみた。この装置は回転して重力を相殺し、宇宙の微小重力を再現することができる。

 初期の結果は有望で、ミジンコウキクサは微少重力下でも、地球上の重力下と同じように成長できることが確認されたという。

 だが宇宙飛行士の植物は無重力だけでなく、大きな重力にも耐えられねばならない。なぜならロケットの打ち上げでは、地上の数倍の大きな重力がくわわるからだ。

 そこでトゥリヤナンダ氏らは、オランダにあるESAの施設にサンプルを持ち込み、遊園地のゴンドラのような「大口径遠心分離機(LDC)」で、巨大な重力を再現した実験も行っている。

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 LDCは各80kgまで収められるコンテナを6つ備えており、毎分67回転で回転する。そのときに発生する重力は最大20Gと巨大なものだ(ちなみに宇宙飛行士が耐えられるGの限界は6~7G)。

 ミジンコウキクサはこの20Gを受けながら、LEDの人口太陽光で育てられたのだ。

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大口径遠心分離機で20Gにさらされた後の直径約1mmのミジンコウキクサの共焦点レーザー走査型顕微鏡画像 / image credit:European Space Agency

ミジンコウキクサは宇宙食として有望視

 ミジンコウキクサはたった5~10日で全ライフサイクルを終えるため、わずか数週間の実験で、数世代分のデータが得られたとのこと。

 「次の作業は、植物を直接調べ、それから抽出物を固形のペレットにして、持ち帰って研究することです。これらのサンプルを細かく化学分析すれば、ミジンコウキクサが大きな重力にどう反応するのか、いろいろなことがわかるでしょう」と、タットポン氏は話す。

 なお彼らは、この小さな植物が将来の宇宙ミッションにピッタリであることについてかなり有望視している。

 「ミジンコウキクサを食べれば、その植物は100%消費されますから、宇宙での農業という点でも有望ですよ」と語っている。

References:Hypergravity odyssey of Earth’s tiniest plant / Earth’s Smallest Flowering Plant Can Handle 20X Earth’s Gravity – Universe Today / written by hiroching / edited by / parumo

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この記事へのコメント 26件

コメントを書く

  1. ググったらメダカのエサにするみたいなんだけど

    • +2
  2. 宇宙ステーションは密閉されたアクアリウムみたいなものだと気がついた

    • +5
      1. >>4
        テラリウムと言いたい気持ちはわからんではないけど
        ミジンコウキクサが入るならアクアリム的でしょう

        • +1
        1. >>8
          アクアテラリウムってのもある
          ただ、陸と水の比での定義は無いみたいだから、こだわる必要もなさそう
          それに、ミジンコウキクサを利用する人間がいる空間の方が大きくなるよね
          ビバリウムという言い方もあるが日本では一般的でないそう

          • 評価
    1. ※2
      そして地球それ自体もそうなんだよね
      宇宙船地球号

      地球も宇宙ステーションも、宇宙にポツンと浮かぶ閉鎖環境で、
      限られた資源をいかに効率よく利用するかが生存の鍵っていう点で共通してる

      だから地球環境問題には宇宙開発が実は一番最適の実験場なんだ

      • +1
  3. 二酸化炭素を酸素に変えてくれるって点が最重要なのかな。
    生物が100の栄養を蓄えるには結局100以上の栄養と時間が必要でしょ?なら最初から100の栄養を持っていく方が簡単じゃないの?
    それとも排泄物とか人の垢とかで育てて食べるの?

    • -2
    1. >>3
      宇宙に運ぶコスト考えられないの?
      現地調達が宇宙進出の基本
      ヨーロッパからアメリカに移住した人らはヨーロッパから木材や石材運んで家を建てたわけじゃない
      アメリカにあった木材石材で家を建てた

      • +2
    2. >>3
      排泄物を発酵させて有機肥料にするって地球の農業でも普通にあるが?

      • +2
  4. タイの大学で研究しているのは自国に食べる文化があるからなんだな
    自国の文化から宇宙開発へのアプローチを生み出すのは素晴らしい事だ

    • +5
  5. たんぱく質が豆ほどあって、実際に食べてる人たちがいるなら、自分も日々食べたい!
    ただちっちゃすぎて、育てて収穫して洗ってザルに上げて。。。てのが結構、例えば小松菜なんかと比べて面倒な感じが予想される。

    • +2
  6. 1日で倍になるくらい増殖スピード速い植物をアジア各地の水辺に浮かべるって
    その水辺の自然環境に影響与えてない?

    • +1
  7. クロレラは?未来の食料ともてはやされたクロレラはダメだったの?

    …と思って調べたらクロレラは過剰摂取すると弊害あるみたいね。
    食料としてはミジンコウキクサになるのかなあ。

    • +3
  8. よく田んぼで増えるやつやなーメダカいれたビオにも使える
    こいつの増殖スピード半端ないよ。バイバイン状態w
    適度に間引かないと他の水草に支障が出るんだけど
    屋根の下みたいで小魚は安心するのよね

    • +3
  9. ミジンコウキクサがサトイモ科ってところに驚き。
    つまり品種改良とかで芋的にでんぷん貯めるようにできたりしたらすごく便利そうだが

    • +3
  10. 食べられて栄養価が高く、成長も早いとなれば、いうことないんだろうな。

    ただ、問題は味とビジュアル。
    ヌルヌルの塊なのかパラパラなのかサラサラなのか、草の味なのか否か。主食として食べるならそれなりの量を食べなきゃだから、そこら辺大事じゃないかな。

    美味しく食べられるなら地球の食糧難も救うかも?

    • 評価
  11. いくら食べてもお腹いっぱいにならなさそう!
    やはり島3号型コロニーを建設して田植えをしないと…

    • 評価
  12. アニアーラって映画で宇宙船の船内で藻を育てて酸素と食料をどうにかしてたの思い出したわ

    • +1
  13. そう、問題は味だ。ストレスとか体調とか色んな事に一番影響あったりするので軽視できない。

    冗談みたいな話だけど、戦闘機を選考するにあたって明文化されてないだけで、格好いいか格好悪いかも選考基準になってる話に似てる。
    (見るからに頼りないと感じる格好悪い兵器に国民が安心して税金だしたがると思うのか?
    見るからにダサい戦闘機を見てパイロットを志す人間が現れると思うのか?って観点なんだって)

    • 評価
      1. >>18
        言われるけどテスト段階でX-32はX-35と比較してSTOVL性能に差があったので、採用に機体デザイン云々はまた別の話だと思う

        • 評価
  14. 宇宙に適した食事も見つけていかないといかないしね

    • 評価
  15. 将来はスピルリナみたいに利用されて、合成食品になってそう

    • 評価

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