
一般に低い鳴き声は体が大きく声帯が長い動物が出すものだ。猫は声帯が人間よりもずっと短いはずなのに、あの低い音を出すことができる。これは動物学者にとって長年の謎だった。
だがその謎がついに解明に近づいたようだ。オーストリアの研究チームの研究によると、猫のゴロゴロ音は、筋肉の収縮ではなく、声帯に埋め込まれた結合組織の構造によるものだという。
猫がゴロゴロ音をどうやって出している?
これまで、猫がにゴロゴロと喉(のど)を鳴らす音は、筋肉が活発に収縮することで作られていると考えられてきた。だがオーストリア、ウィーン大学の音声科学者クリスチャン・ヘルプスト氏らは、むしろ受動的な空気力学メカニズムが鍵で、脳からスタートの合図が出されると、自動的に鳴るのではないかと考えた。
彼らの仮説によると、ゴロゴロ音は「ボーカル・フライ」や「エッジボイス」という歌唱テクニックにも似た方法で出されているのだという。
ボーカル・フライとは、声門が閉じた状態で出される、低く、軋むような声のこと。呪怨の「あ゛あ゛あ゛…」という掠れるような声と言えば、なんとなくわかるだろうか?
体が小さい猫は、声帯も短いため、普通なら高い鳴き声しか出せないはずだ。
ところが、猫の声帯の結合組織には、コラーゲンとエラスチンの繊維があり、これが高い周波数を減衰させる構造になっている。
これをうまく利用することで、低い音も出せると考えられるのだという。

photo by Pixabay
猫は声帯の結合組織で高い周波数を減衰させゴロゴロ音を出していた
猫の声帯にこうした構造があること自体は以前から知られていたが、それが鳴き声にどのような影響を与えているのか、これまできちんと調べられたことはなかった。そこでヘルプスト氏らはこの仮説を確かめるため、死んだ猫8匹から声帯ごとのどを摘出。ちょうど閉じた声帯に息が流れるように、声帯を押しつけたまま、加湿した温かい空気を送り込んでみた。
すると死んで筋肉が収縮しなくなっているというのに、生きているときのように声帯が振動し、25〜30Hzの音が出たのだ。

この発見は、ゴロゴロ音が従来考えられていたように筋肉の収縮ではなく、主に結合組織の構造によって鳴っているだろうことを示しているという。
ただし、あくまで解剖した声帯による実験で生きた猫で試したわけではない。なので確定とまでは言えないそうだ。

photo by Pixabay
ただしなぜ猫がゴロゴロ音を出すのかは不明のまま
一方で、猫がゴロゴロのどを鳴らす理由はいまだ謎が多い。一説によれば、ゴロゴロ音はリラックスしている時や幸せを感じている時にでるものだとされている。
母猫と子猫、または人間と猫とのコミュニケーションをうながす機能があるともいわれている。
一方で更に低いゴロゴロ音を出している時には、怪我をしたときや、喧嘩を避けようとするときなど、苦しいときやピンチの状態であることを示しているという。
いずれも立証はされていないが、猫のゴロゴロ音が猫好きな人間にとってリラックス効果があることは確かなようだ。
いずれにせよ、この研究は猫の健康や幸せを考えるうえで示唆に富んでいる。
こうしたゴロゴロ音を応用すれば、例えば猫用のリラックス装置や、痛みや不安を和らげる新しいセラピーになるかもしれない。
この研究は『Current Biology』(2023年10月3日付)に掲載された。
References:Important News: Scientists Think They've Finally Figured Out How Cats Purr : ScienceAlert / We now know how cats purr—why they purr is still up for debate | Ars Technica / written by hiroching / edited by / parumo
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コメント
1. 匿名処理班
デスボイス的発声法と聞くとデスボイスにも癒し効果がとの可能性が
2. 匿名処理班
鳴らす理由?
愛❤️だよ
他に何がいると言うのかな
3. 匿名処理班
結構実験がグロかったw
4. 匿名処理班
尊い音♡
5.
6. 匿名処理班
ウチの猫は毛布あればモミモミしながら勝手にゴロゴロ言ってる
7. 匿名処理班
寝にに直接聞ければ話は早いんだけどねえ・・・。
8. 匿名処理班
好きを伝える
9. 匿名処理班
野口五郎岳は石がゴロゴロしてるかららしい。
10. 匿名処理班
うちの猫はそばにいる時いつでも鳴ってるから逆に心配になる。自動的になってるにしてもあれ疲れないんだろうか
11. 匿名処理班
自分ばっかり幸せな気持ちにさせてくれてありがとうありがとう…
12. 匿名処理班
喉を鳴らしたことがなかった飼い猫が死ぬ直前に初めて鳴らして辛かった……
13. 匿名処理班
データ通信してる音だよ。
14. 匿名処理班
胴もゴロゴロ鳴らすけどあっちは何だろうね
喉は愛想笑い?も可能で、胴は本心からという感じ
15. 匿名処理班
何を言ってるんだ、猫の喉にはエンジンが入ってるのさ。オレは詳しいんだ!
16. 匿名処理班
>>1
つまりいずれ癌にも効くようになる
17. 匿名処理班
おっさんが風呂入ってう゛あ゛あ゛〜って言ってるのと一緒ってことか?
18. 匿名処理班
>>14
胴???
19. 匿名処理班
>>7
猫が翻訳機も、おもちゃの域から先には中々進まないな、勿体無いですよねえ。
ガチ翻訳できる様になれば、絶対需要あるのに。
20. 匿名処理班
なるほど、「あ゙〜心がに゙ゃんに゙ゃんするんじゃ〜」と言う時に出す声と同じだな。
21. 匿名処理班
猫が自分自身を慰めるときにもノドを鳴らすって話を何かで見かけた。
実際、動物病院へ連れて行ったとき、聴診器を当てた先生から「…ゴロゴロ言ってますね」と言われることが多々あるので、それもありそう…笑
22. 匿名処理班
人間だと
呪怨のとしお君がアアアアアアアア…って言う感じだろうか
23. 匿名処理班
>>19
あれをライオンとかに使うの好きw
精度の高いガチのやつもいつかは現れるだろうね
仕草や表情込みじゃないと難しいかもしれんけど
人間の言葉も変換してくれたりしてな…
24. 匿名処理班
猫風邪の仔猫達に毎日点眼してる
その中の白ブチにゃんだけが毎回ゴロゴロ言ってて、抱っこが気持ち良いのか・それともお目目ポチで調子が良くなるって喜んでるのかな?と不思議だったけど、そうか・・ピンチだと思ってるのが正解っぽいな
25. 匿名処理班
>>13
ダイヤルアップかな
26. 匿名処理班
>>14
腸が動いているのか?
お腹が空いているのか?
27. 匿名処理班
鼻づまりの時に息するとあんな音が出ることがある
28. 匿名処理班
>>18
>>26
えっ普通は鳴らないものなのかな
喉の音と合わせて低く鳴る
29. 匿名処理班
>>28
お腹に耳を当てると聞こえるよね
それ喉の音がお腹経由で聞こえてるだけだよ
30. 匿名処理班
>>29
耳当てなくても聞こえる(笑)
そっか、お腹が増幅器になってるんだね
31. 匿名処理班
>>30
別に増幅器にはなってないと思うけど…
喉と胴体が繋がってるから、音も胴体に伝わりやすいだけでしょ
32. 匿名処理班
いびきじゃないの?
33.