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空気と音だけで触れることなくレーザーを曲げることに成功

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(著) (編集)

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 ドイツ電子シンクロトロン(DESY)の研究チームは、まったく接触させることなくレーザーを曲げる技術を考案したそうだ。

 高性能な光学システムを作るには、レーザーを必要な場所に正確に導けることが肝心となるが、そのために普通はレンズや鏡が利用される。だが最新の技術ではそんなものは必要ない。

 一体そんな魔法のようなことをどうやって実現するのか? その秘密が、超音波と空気で作られた目に見えない「透明な格子」である。

光と音でレーザーを曲げる超音波の魔法のようなパワー

 レーザーを利用する光学システムでは、レンズやミラーを使ってレーザーの向きを変えるのが一般的だ。

 だが材料の加工、粒子加速器、核融合エネルギー研究など、強力なレーザーが使われる場合には、そうした繊細なパーツは威力に耐えられず、すぐに壊れてしまう。

 ならば一切接触させずにレーザーを曲げることはできないだろうか? それが今回ドイツ電子シンクロトン(DESY)の研究チームが考案したアイデアだ。

 その魔法のようなアイデアは、強力な音のパワーで空気を彫刻するというやり方だ。

 音とは基本的にただの気圧の変化だ。だがそれを繊細にコントロールしてやれば、物体を浮遊させるといった、手品師もびっくりな芸当をやることができる。

 今回の研究でも、その不思議な力が利用されたのだ。

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image credit:Science Communication Lab for DESY

「透明な格子」で光を曲げる

 DESYのチームが考案した装置は、スピーカーが向かい合うように配置されている。

 スピーカーが鳴らすのはただの音ではなく「超音波」だ。この音波のパワーが、空気の密度の差を作り出し、目に見えないしま模様の空間を出現させる。この透明なしま模様が、光学的な格子のように機能してくれるのだ。

 そこに赤外線レーザーを照射すると、まるでレンズでも通過したかのように光がが曲がる。その効率は50%以上で、研究が進めば、さらに高い効率を目指せるだろうという。

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レーザーがスピーカー反射器のアレイの間を通過し、空気の格子を作り出す。レーザーはこの格子と相互作用し、接触せずに曲がる / image credit:Science Communication Lab for DESY

 なお、この時実験されたレーザーは、ピークパワーが20ギガワットと超強力なもの。それを曲げるには、140デシベルの音量が必要だったという。

 一般に140デシベルといえばジェットエンジンからほんの数メートルしか離れていないのに等しい、大音響だ。だが鳴っているのは超音波なので、人間の耳には聞こえない。これも魔法のような、何とも不思議な状況だ。

 研究チームによれば、この技術はレーザーの高速スイッチとして使えるほか、将来的には、格子パターンだけでなく、レンズや導波路のような形状をも作れるようにもなるだろうという。また、格子を作るには、普通の空気でなくてもいい。

 研究チームは今後、空気以外の気体を利用して、さまざまな波長や光の特性を操作してみるつもりであるそうだ。

 この研究は『Nature Photonics』(2023年10月2日付)に掲載された。

References:“Invisible grating” bends laser using just air and sound / Using air to deflect lasers / DESY News: Lasers deflected using air – Deutsches Elektronen-Synchrotron DESY / written by hiroching / edited by / parumo

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この記事へのコメント 23件

コメントを書く

  1. アニメの屈折した光線の表現が可能になる?

    • +3
    1. 超音波カッターや超音波浮遊もそうだし
      超音波にはまだ見ぬ新しい技術への可能性が詰まっていますね

      >>1
      アニメや映画で描写されるような
      触れて操作もできるようなディスプレイなんかの技術にも使えそうですよね

      • +4
      1. >>3
        その為には140dBって大音量をなんとかしないと、身体に悪影響出そう。
        素人考えだけど、ジェットエンジンの音ですら鼓膜破れるんだから、より波の密度が高い超音波だと、末端血管傷付いたりしそう。

        • +1
    2. >>1
      80年代のOVAの宇宙戦艦の
      レーザーはなんか曲がってたな。

      • +1
      1. >>15
        透過率の高い容器に空気を満たして通過させればいいじゃない?

        • 評価
  2. 空気で光を曲げると聞くとなんだか変な感じがするけどよく考えたら蜃気楼だってそうだもんな。密度の差をうまくコントロールすれば自在に曲げられるわけか。

    • +19
  3. 機械的な照準合わせのいらない防空レーザーが作れるかも

    • +4
  4. レーザー兵器が普及したら音波障壁が標準装備になるのか

    • +8
  5. あー、つまり空気圧で回折格子を作ってるのか。光の性質を上手く利用してるんだな。

    • 評価
  6. 将来的には間接射撃が可能になるレーザー兵器が出てくるんだろうな

    • +1
    1. >>8
      反射衛星砲ってのがありましたね(古っ!

      >>15
      必ず気体が必要なのですが、透明な風船の中に空気を入れて曲げたりできそう。

      • 評価
      1. ※17 ※21
        それってレンズ使うのと変わらないと思う

        • +1
  7. 製造業だけでなく防衛技術や調理など応用は幅が広そうだが・・・・
    聞こえていないだけで、実際にはすぐそこで自然界には存在しない超音量が鳴り響いてるわけだから、必ず環境や人体に影響があるはず。ないわけがない。

    • +3
  8. そのまま使ったら、周りでネコがひっくり返ったりコウモリがバタバタ落ちてこねーか?

    • +6
  9. 贅沢こと言ってるのはわかってるんだけど、もうちょっとこう、放物線ぽく曲がらないモンかね。

    • +1
  10. エンジン排気口まわりにこの装置がつけられたらレーザー誘導のミサイルから逃げられるとか…ロマンがあるな

    • 評価
    1. >>16
      エンジン排気口以外の場所に照準レーザーを当てられたら終わりだと思う

      「エンジン排気口まわりに装置をつけて誘導ミサイルから逃げられる」だったら、エンジン排気に外気を混ぜて温度を下げ熱源追尾ミサイルを逃れる「ブラックホール・オカリナ」(アパッチ攻撃ヘリについてるやつ)とかじゃないだろうか

      • 評価
  11. おぉ。
    素人ど真ん中の私さえ、記事を読んだだけでスゴい伸び代があるみたいで、なんだかワクワクした。

    願わくば軍事転用されたりせず、みんなが助かるような使い方をされたらいいな。

    • +4
  12. レーザー兵器の防御シールドとして
    本格的な研究されるかもね

    • +1
  13. スペシウム光線を屈折させて防御できちゃう怪獣が発想できるねw

    • 評価

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