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ダークアース。アマゾンの奥地に点在する肥沃な「暗黒の土」の正体が明らかに

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(著) (編集)

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 アマゾンの奥地には、「ダークアース」と呼ばれる謎めいた暗黒の土が点在している。最新の調査によれば、それはアマゾンの先住民が大昔から営んできた暮らしの痕跡であるそうだ。

 研究者らはブラジル、アマゾンの先住民の協力のもと調査を実施した。その結果、不毛なアマゾンで作物を育てるために、彼らの祖先が大昔から肥やしをまいて、土を黒く豊かにしてきたことが明らかとなったのだ。

 そうした土には炭素がたっぷりと閉じ込められており、温暖化に取り組む現代社会にとっても大切な知恵が隠されているかもしれないという。

アマゾンの奥地に点在するダークアース、暗黒の土

 緑豊かなアマゾンの熱帯雨林だが、その土は意外なほど不毛だ。その一方で、そこかしこに「テラ・プレタ」と呼ばれる真っ黒な土が点在している。

 一般的にこうした黒い土は、人間がそこで暮らしていた痕跡とされているが、それが自然にできたものなのか、それとも住民が意図的に作ったものなのか定かではない。

 そこで今回、2000年代初頭からアマゾンの先住民と協力してきた米マサチューセッツ工科大学やフロリダ大学の研究チームは、クイクロ族と一緒に謎めいた暗黒の土の正体を探っている。

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A) 今回調査されたクイクロ族の村。右上の図は村(赤い星)とテラ・プレタ(黒点)の位置を示す。B) 現在クイクロ族が暮らす村。白丸はかつての村の跡。 C) セタ遺跡。赤点は土のサンプルが採取された地点/ image credit:Schmidt et al., Science Advances, 2023

アマゾンの先住民、クイクロ族が作り上げた肥沃な土だった

 ブラジルの先住民の1つ「クイクロ族」は、アマゾン川の主な支流であるシングー川の源流で長い間ずっと生きてきた部族だ。

 その証拠に、彼らが今暮らしている「クイクロII村」の近くには大昔の村の遺跡も残っており、考古学的な調査によってそれらに文化的なつながりがあることが確認されている。

 今、クイクロII村の人口は数百人ほど。部族の仲間を養うために、彼らはキャッサバなどを栽培して生活している。

 面白いのは、村の周辺よりも人が暮らしている内側の方が土が肥沃であることだ。

 これはやせたアマゾンで生きるクイクロ族の工夫だ。村のいたるところに、排泄物や生ゴミなどが山盛りになっている。

 これらが十分熟成したら、やせた土に混ぜ合わせて畑にする。こうしてできるのが黒い土だったのだ。

 「地面に灰をまいたり、木の根元に炭をまいたりと、意図的にやっています」(フロリダ大学 モーガン・シュミット氏)

 またクイクロ族への聞き取り調査でも、彼らが村の習慣的によって意図的に黒い土を作っていることが裏付けられている。

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テラ・プレタを作り出す営み:A) キャッサバの加工 B) 肥だめ C) 作物栽培 D) 囲炉裏の灰と炭 E) 各写真が撮影された位置 F) キャッサバの残りを散布 G) 木の周りへの灰と炭の散布 H) 畑やゴミ捨て場の焼却 I) ゴミや生ごみの焼却 / image credit:Schmidt et al., Science Advances, 2023

 さらに現代の村と遺跡の土を比べてみたところ、こうした特徴はどちらにも当てはまることが明らかになっている。

 今も昔も人が暮らす村の内側の土は、周辺の土に比べて有機炭素が豊富で、酸性度も低いのだ。

 とりわけリン・カリウム・カルシウムといった元素は、村の内側の方が10倍以上も豊富だった。

 「これらはどれも人間などの動物や植物に含まれるもので、アマゾンで悪名高い土壌のアルミニウムの毒性を緩和してくれます」(シュミット氏)

 つまりこうした習慣が今だけの話ではなく、昔からずっと意図的に続けられてきたということだ。

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肥沃な土壌の位置を示す古代の村の概念モデル / image credit:Schmidt et al.、Science Advances、2023

古代の人々の知恵が気候変動対策のヒントに

 ちなみに村の遺跡の一つ「セク」には、4500トンの土壌炭素が蓄えられていると推定されている。一方、現代のクイクロII村の”肥だめ”の炭素は110トンだった。

 「大昔アマゾンで暮らしていた人々は土にたっぷりと炭素を蓄え、その多くが現在も残っています。それこそが、温暖化を和らげるために私たちが望んでいることです」(マサチューセッツ工科大学 サミュエル・ゴールドバーグ氏)

 アマゾン先住民の知恵を世界で広く実践することができたら、地球を熱くする炭素を土の中に閉じ込めておくこともできるかもしれないそうだ。

 この研究は『Science Advances』(2023年9月20日付)に掲載された。

References:Recipe For “Dark Earth” Finally Uncovered in The Amazon’s Depths : ScienceAlert / Dark Earth Deciphered: Ancient Amazonians Intentionally Created Fertile “Dark Earth” / written by hiroching / edited by / parumo

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この記事へのコメント 16件

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  1. スレタイで自分の中の厨二魂が疼かされてやばい…あかんw

    • +2
  2. 土壌の擬人化アニメが誕生したら
    ダークアースは強キャラ間違いなしだな。

    • +1
    1. >>3
      高温多湿で微生物の活動が凄く活発なので
      有機物がガンガン分解されて痩せた土になるらしい。

      • +8
    2. >>3
      アマゾンは定期的な洪水でただでさえ薄い土壌が流されるから土地が痩せるというのもある。豊かな生態系は森そのものが支えているので広範囲に伐採されると成長に何年もかかるような木は生育できなくなってしまう。

      • +6
      1. >>11
        勉強になった。ありがとう。
        そうするとアマゾン川の沖合の大西洋沿岸はアマゾンからの有機物とかで漁獲資源が多そうな想像した

        • 評価
  3. >村のいたるところに、排泄物や生ゴミなどが山盛りになっている。

    これだけ聞くと衛生環境最悪に思えてしまうけど
    感染症を防ぐための知恵とかあるんだろうか。

    • +6
  4. 多くの国で行われてきた堆肥づくりとは違うの?

    • +2
  5. つまり、その暗黒の土とは太古より累積されてきた、先住民のウン…

    • +5
  6. そう言えば、以前に日本の考古学者があの辺りのアマゾン奥地にモホス文明だかアマゾン文明だかを発見したとか発表してたけど、その後の進展はあったんだろうか?
    ちょうどその文明の農地跡がテラプレンとか呼んでいたと記憶している。
    ちなみに今もGoogle mapsであの付近を見てみると、人工的な長方形の湖が無数に点在しているのが分かる。

    • +5
  7. 「大自然に融けこんで共に生きる現地の人々」というたまに見かける謳い文句と現実はちょっと違うな。先祖代々バリバリに環境を変化させているぞ。

    • 評価
    1. >>9
      この程度をバリバリに環境変化させていると扱うなら先住民じゃないブラジルの農業側なんてどうなるんよ。アマゾンの国際的な保護要求に反対してアジア市場、
      要は中国の需要の大きい大豆輸出の為に森林の乱開発容認して反対派を共産勢力扱いしてブラジル議会占拠させた保守派の前大統領とか地球温暖化すら否定してたぞ

      • +5
  8. 先日テレビで地球上の肥沃な土がどんどん消えていると言っていた。
    そもそも土って何で出来てるのか長い間不思議に思っていたけど、土こそ自然の恵み、古代から地球が育み続けている産物。良い土はどんどん掘り起こされ輸出されているらしい。掘り起こした所は不毛の地に。

    • +5
  9. 大々的に排泄物や廃棄する食料を農業に使うのは現代ではもう無理なのかなあ。。。
    いい方法だと思うんだけど。
    寄生虫の問題があるから廃れたのもあるんだっけ?
    個人的にはキケンがなければ、収穫物に何の抵抗もないよ。むしろ積極的に利用したい。

    • +4
    1. >>13
      家畜の糞の堆肥はホームセンターとかで売ってるし、今でも日本の農家で使われてるんじゃない?
      人間の糞尿は寄生虫が循環しちゃうからキケンだよ

      • +2
  10. 荒れ地に生ゴミを撒いて森を作るのと同じ感じかな?

    • 評価

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