
元々は移設されたものだが、1112年以降、何度も改築工事や立て直しが行われ、現在の建物の姿になったのは、1400年頃と言われている。
元々はノルマン様式の大聖堂はゴシック様式にリニューアルしたが、ノルマン様式のまま残る天文時計の下には、塔へと上がる木製の扉が設けられており、その扉の下に小さな穴がある。
実はこの穴、猫が出入りするための「猫ドア」なのだ。ネズミを退治してもらうため、大聖堂の中を猫が自由に行き来できるよう配慮されたもので、おそらくは世界最古級の猫ドアなのかもしれない。
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エクセター大聖堂の扉にある猫ドア
中世の時代から、エクセター大聖堂をはじめとする多くの大聖堂では、猫が重要な役割を担っていた。猫は大聖堂内部をネズミの被害から守っていたのだ。そのため、特定の猫が公式の“ネズミ捕り係”として雇われることも珍しくなかった。
エクセター大聖堂もその1つで、ノルマン様式で残された北の塔の天文時計の下にある木製の扉には、猫が外と中を行き来するための丸い穴があけられていた。これが今でいう猫用ドアだ。

設置場所は、太陽、月、星の位置を示してくれる有名な天文時計の時計の下にある扉の下部だ。

猫用ドアといってもドアの下に猫が通れるほどの丸い穴を開けたものだ。

この穴をじっくり眺めていると、当時の猫たちが出たり入ったりしながら、ネズミを退治していた姿が目に浮かぶようだ。

建物建設当時からお抱えの猫がいた。
猫用ドアが作られたのは今から約400年前だが、エクセター大聖堂では14世紀頃からすでにお抱えの猫がいたという。事実上、大聖堂が飼っていた猫たちには、食料や水が与えられていた。
エクセター大聖堂の財務記録によると、15世紀にはお抱えの猫に対し、週に約1ペニー(3か月で13ペニー)が支払われていたと記載されている。このお金が猫用の餌にあてられたのだろう。
また、1363年から1366年の間は、3か月あたり26ペニーが支払われたそうだ。これは大聖堂が、一時的に猫の数を2匹に増やした、ネズミ捕りを強化した可能性がある。
当時の1ペニーの価値がどれくらいかはわからないけれど、中世の猫と人間の関係を垣間見ることができる。昔はネズミの被害も相当なものだったし、ネズミ退治と言えば猫だったんだね。
References:Exeter Cathedral Has the World’s Oldest Known ‘Cat Door’, Which Has Been Serving the Cats Since the 14th Century ~ Vintage Everyday / The Cuddlywumps Cat Chronicles: The Medieval Cats of Exeter Cathedral / written by parumo
追記(2023/08/18)エクセター大聖堂の表記を統一して再送します。
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コメント
1. 匿名処理班
いつも楽しく拝見してます。ありがとうございます。
んで、エクセター、です。なんかエクセターとエセクターが混在してる(笑)
2. 匿名処理班
猫も餌やったり贅沢させると、わざわざ餌取る必要性ないにゃー!
と一切取らなくなるので贅沢はヒトと同じくやり過ぎはあかん
近所だとほぼ自然な状態なので勝手にネズミ食って環境整備に
がんばってるぜ
3. 匿名処理班
キャットドアの発明者はアイザック・ニュートンという都市伝説があるけど、17世紀初頭ならこっちのが早いね。
4. 匿名処理班
ネズミも入って来る
5. 匿名処理班
ネズミ、正確にはネズミについたノミ、はペストの感染源になることから、当時のネズミ対策兼ネコの雇用は大真面目な案件だったと思われる
6. 匿名処理班
世界中に猫が人と一緒に分布した理由って先ずソコだよな
ネズミ捕ってくれて人に懐く柔軟性がある
そして何より可愛い
凄い戦略的だ
7. 匿名処理班
>>4
こんな大きな隙間じゃなくてもネズミは入ってくるから
退治してくれるネコ用に開けておいたほうが理にかなってるんだ
8. 匿名処理班
>>5
昔 「猫は魔女の使いだ‼️」って
猫を大量に駆除したらネズミがめっちゃ増えて
ペストが大流行しちゃったんだってね…
9. 匿名処理班
>>2
ウチの近所では野良猫がほとんどいなくなった(駆除されたのか保護されたのかは不明)ので、ネズミが増えて困ってます。
あちらを立てればこちらが立たずですね……
10. 匿名処理班
こういう不衛生な状態だからペストとか広がったんだろうね