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人間の脳の神経活動を解読し、ピンク・フロイドの名曲を再現することに成功

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(著) (編集)

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 今、目の前にいる人が頭の中で何を考えているのかが、わかってしまう時代がついにきちゃうかもしれない。

 今回、アメリカの研究者は、電極で脳内の神経活動を読み取り、イギリス出身の伝説のロックバンド「ピンク・フロイド」の名曲を再現することに成功したそうだ。

 それは曖昧ながらも、確かに1970年代の名曲『アナザー・ブリック・イン・ザ・ウォール(Another Brick in the Wall Part 1)』とわかる仕上がりになっている。

 この脳内の音楽を解読する技術は今後、人間の脳と機械をつなぐ「ブレイン・コンピューター・インターフェース(BCI)」の発展につながると期待されるとのことだ。

脳内で音楽はどのように鳴っているのか?

 米カリフォルニア大学バークレー校の神経科学者ルドヴィク・ベリエ氏らが知りたかったのは、脳内で音楽がどのように鳴っているのか? ということだ。

 たとえば、”ド”の音階があったとしよう。これを聞いた人の脳では、”ド”に対応した神経活動が起きているかもしれない。その活動を読み取れれば、脳内で鳴っているその音を知ることも可能かもしれない。

 今回の研究の目的は、そうした脳の活動パターンと音の高さやハーモニーといった音楽的な要素がどのように対応しているのか調べることだった。

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photo by iStock

今聞いているピンク・フロイドの名曲を脳の活動から再現

 そのための実験では、てんかん治療のために脳に電極を埋め込んだ29人に参加してもらい、ピンク・フロイドの名曲を聴いてもらった。

 その曲は1979年発表の『アナザー・ブリック・イン・ザ・ウォール』。参加者がこれを聴いている間、電極を介して脳の神経活動を観察し、音楽とどのように対応しているのか調べた。

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ピンク・フロイドの「Another Brick in the Wall」パート 1 を聴いている29人の (中央のパネル) 脳の神経活動を記録 / image credit:Ludovic Bellier, PhD (CC-BY 4.0

 ここから再現されたのが、以下の音声だ。ぼんやりした感じではあるが、原曲と聴き比べてみれば、「あー確かに」と納得できることだろう。

Pink Floyd reconstruction

 原曲を知らない人は以下のYoutubeをチェックしよう。

Another Brick In The Wall (Part 1)

 こうした実験からは、リズムは聴覚を担う領域を構成する「上側頭回」が受け持っているらしいことが判明している。どうやらこの部分は、人が音楽を感じるために特に重要であるようだ。

ブレイン・マシン・インターフェース(BCI)の性能をアップ

 こうした成果を活かせば、脳を読むことで考えるだけで機械を操作する「ブレイン・コンピューター・インターフェース(BCI)」の性能アップにつながると期待できるそうだ。

 たとえば、脳に傷を負ったせいで音楽を感じられなくなった人がいたとする。だが今回の成果とBCIを利用すれば、そうした人が再び音楽を聴けるようになるかもしれない。

 あるいは、脳の障害で話をできなくなった人が、聞こえてきた言葉や、口調などを再び認識できるようになるかもしれない。

 研究チームは論文の中で次のように述べている。

たとえば今回の音楽的知覚の発見は、比較的数の少ない、適切な位置に設置された電極を利用して音声の韻律的要素を検出するなど、一般的な聴覚解読器の開発に貢献する可能性がある

 この研究は『PLOS Biology』(2023年8月15日付)に掲載された。

References:Classic rock music can be recr [IMAGE] | EurekAlert! Science News Releases / written by hiroching / edited by / parumo

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この記事へのコメント 15件

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  1. つまり攻殻機動隊やマトリックスの世界に一歩近づいたということか

    • 評価
  2. 脳外再生か
    脳を記憶媒体として使用出来るのか

    • 評価
  3. 聴覚が完全に無くても音楽が楽しめるかもしれないって事よな
    これって結構スゴい事な気がするぞ

    • +3
  4. 楽器が出来ず楽譜も読めずアプリさえ使えなくても作曲できるということでもあるな

    • 評価
  5. よし、次はジョン・ケージの「4分33秒」の再現に挑戦だ!!

    • 評価
    1. >>7
      脳は沈黙も音の一種として識別しているという研究がすでにあるから
      真面目に可能かもしれない

      • +1
  6. まぁ、とっかかりだからしゃーないとは思うけど、実験(論文)としてはかなり不完全やな。
    ある曲を被験者に聴かせて、その脳波を測定して、そこから曲を再構築する、ってだけなら、答えが分かってるものに解答を似せていくだけに過ぎない。より重要なのはそこで構築した復元のためのモデル(プログラム)の汎用性で、それを検証するのであれば、全く別の曲を聴かせて、そのモデルを使ってその曲も復元出来て初めて有効性が確認できる。原文でも論文の引用ってわけでもなさそうだったし、こんなんしてみましたけど、っていう予算獲得のためのマスコミ発表ってだけなのかもね。個人的には個人差もでかいだろうし、人に応用するなら、一人ひとりAIなんかを使ってある程度の期間網羅的学習を行ってパターン解析してモデル構築ってのが現実的だとは思うけど。

    • 評価
  7. ごめん、さっきのコメントで論文じゃないみたい、なんていっちゃったけど、記事をちゃんと読み返したら論文になってたみたいね。。
    しかも曲の復元も以前に構築した言語分野のモデルを使ってやったみたい。
    いいわけするわけじゃないけど、紹介記事の原文の方だとそこまで言及してなかったんよ。。
    すんません。

    • +1
  8. この実験の肝は脳波から音楽が(かろうじてだが)再現できたことにあると思う。
    次は言語になるだろう。
    手足が不自由でしゃべれない人が棒を咥えて文字を1つずつさしているような状況が、考えるだけで言葉を外部に出力できるようになる方向に進んでもらいたい。
    が、遠隔で他人の思考を読むところまではいかないでもらいたい。

    • +3
  9. このまま技術伸ばして
    DTMとか打ち込みや音作り時短出来たらいいな

    • 評価
  10. 「なんてこと!わたしの認知、音痴だ!」
    と絶望する日がくるのか。

    • 評価

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