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一枚うわてだった。トゲトゲの鳥よけ用スパイクを逆に巣作りに利用するカササギとカラス

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(著) (編集)

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 日本でもカラスが針金のハンガーを利用して巣作りすることが知られているが、カササギとカラスは、人間よりも一枚どころか、何枚も上手だった。

 ヨーロッパの都市部では、鳥を避けるために設置した、金属製の針が突き出ている鳥よけ用スパイクシートをはがして、それを巣作りに利用していたるという。

 本来は鳥を追い払うための道具が、繁殖のための巣作りに利用されているのだから皮肉なものだ。

 特にカササギにいたっては、これが鳥よけ用だとわかっており、巣を他の捕食者たちから守るためにあえて使用しているふしがあるという。

鳥を避けるはずの道具が、逆に鳥の繁殖に利用されていた

 カササギやカラスが、鳥よけ用スパイクで巣作りをしているのが確認されたのは、オランダのロッテルダムやエンスヘデ、ベルギーのアントワープ、イギリスのグラスコーなど、ヨーロッパの都市部だ。

 あまりにも意外な発見に、ロッテルダム自然史博物館のキース・ムーリカー館長は、「まったく予想外です。防鳥用スパイクは鳥を追い払うためのものなのですが、逆にそれを利用しているのですから」と、語っている。

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鳥よけ用スパイクで作られたカササギの巣の1つ/ image credit:Hiemstra et al., Deinsea, 2023

カササギは鳥よけ用スパイクの本来の目的を知っている可能性

 ロッテルダムで発見された鳥よけスパイクの巣はカラスのものだが、今回、他に発見されたものはすべてカササギが作ったものだ。

 ときに研究者を欺くほど賢いことで知られるカラス科の仲間たちだが、カササギにいたっては、防鳥スパイクの本来の使い途を理解している可能性もあるという。

 その理由は、カササギは大きなドーム状の巣を作るのだが、あえて屋根に巣を配置し、他の鳥やイタチなどの捕食者を遠ざける役割を果たしていたという。

 この事実に対して、ナチュラリス生物多様性センターの生物学者、アウケ=フロリアン・ハイムストラ氏は、「巣の研究者としてこれほど独特な鳥の巣は見たことがない」とコメントしている。

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カササギの作ったスパイクの巣とフロリアン・ヒエムストラ氏 / image credit:twitter@AukeFlorian

都会に適応した鳥たち

 鳥が都市にある素材で巣を作ることなら、とうの昔から知られている。

 たとえば1933年には、硬銅・亜鉛メッキ鉄・有刺鉄線で作られたカラスの巣が見つかったと、南アフリカの博物館が報告している。

 中には釘やネジ、さらには麻薬用の注射器で作られた巣すらあったという。そして日本の都市部では針金ハンガーだ。

 またムーリカー館長は25年前、ロッテルダムの港にある石油精製所でハトの巣を発見したことがあるという。

 その巣は小枝ではなく金網で作られたもので、当時彼は鳥が都市環境に適応する力を示す究極の事例だと考えた。

 だが、最新のカラスやカササギの巣はそれ以上だった。

 キース・ムーリカー館長館長によれば、こうした鳥たちは建物で使えそうな金属を見つけると、それを剥がして使っているのだという。

 こうした事例は、ロッテルダム自然史博物館の年鑑『Deinsea』で紹介されている。

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オランダのポプラの木で、部分的に防鳥用のスパイクを使って巣を作ったハシボソガラス / image credit:Garry Bakker/Hiemstra et al., Deinsea, 2023

都市部の賢い鳥たちとうまく共存できる道を探す

 最近ではまた別の研究チームが、200種近くの鳥が、タバコの吸殻・ビニール袋・漁網にいたるまで、危険性がある人間のゴミで巣を作っていると警鐘を鳴らしている。

 この研究に参加したバーミンガム大学の鳥類学者ジム・レイノルズ博士は、「防鳥用のスパイクを利用してしまうとは、本当に皮肉なことだと思いました」と語る。

 彼によると、それは想像以上にすごいものなのだという。

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A: ロッテルダム自然史博物館にある2021 年のハシボソガラスの巣 B: 巣作りに利用されていた鳥よけ用の針金スパイクの一部 C: 巣の中で見つかった防鳥ネットの一部(スケール バー = 10 cm)/ image credit:Kees Moeliker/Hiemstra et al., Deinsea, 2023

 というのも、それはただの巣の素材というだけではないかもしれないからだ。巣を守るプロテクターとなり、さらには交尾のパートナーを惹きつけるディスプレイとしての役割も果たすかもしれないという。

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回発見された防鳥用スパイクで作られたカササギの巣。それは外敵の侵入を防ぎ、ディスプレイとしても役立つ可能性がある / image credit:Auke-Florian Hiemstra / Naturalis Biodiversity Center

 「私たちは鳥を避けるのではなく、鳥を受け入れ、鳥とともに生きるべきなのです」とムーリカー館長は言う。

 鳥たちはその賢さを生かして、過酷な都市生活に上手に対応している。ならば私たちにだって鳥と一緒に暮らすうまい知恵があるはずだ。

 例えば、野生のカササギを訓練し、ゴミ拾いを覚えさせて環境美化に貢献させたり、カラスを訓練し、タバコの吸い殻を拾わせるといった試みが一部地域でなされている。

この研究は、ロッテルダム国立歴史博物館のオンラインジャーナル『Deinsea』に掲載されている。

 ちなみにカササギやカラスたちが利用していた鳥よけスパイクはこのようなものだ。

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image credit:amazon

References:Crows and magpies using anti-bird spikes to build nests, researchers find | Animal behaviour | The Guardian / Birds Seen Using Anti-Bird Spikes to Protect Their Nests From, Well, Other Birds : ScienceAlert / written by hiroching / edited by / parumo

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この記事へのコメント 22件

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  1. 収集しやすかったのか、カササギの好みに合致した素材だから集めちゃったのか、どっちだw

    うちの隣も新築にした時、ヨーロッパ風のシャレオツな金属板をあしらった屋根にしたら、カラスが何日もかけて嘴でほじくり返して盗んでった。奴らの執念は凄い。

    • +7
    1. >>1
      人間を笑ってる
      鳥は人間をからかって楽しむところがあるから

      • 評価
  2. ぬ~ん、やりよる

    巣の研究者のヘアスタイルも、やりよる

    • +18
  3. 人間の工夫は彼等の頭脳を鍛える教材でしかなかった訳だ
    困ってる人には悪いがホッコリしたわ

    • +5
  4. 自然環境でも茨を巣の材料に使ったりしてるのかな?

    • +1
  5. うちは剪定した枝を敢えて捨てないで纏めて庭に置いてる
    しばらくすると減ってるから持っていってるんだろうな

    • +5
  6. 洗濯ものハンガーは盗みよるし┐(´д`)┌ヤレヤレ

    • +2
  7. 博士も頭に巣を作られてるじゃないの・・・

    • +10
  8. ゴミ拾いを覚えさせて環境美化って言うけど、あいつら頑なに自分達が捨てない努力をしようとしないよな

    • 評価
    1. >>10
      最終的に道とかではなくゴミ捨て場漁ってゴミ持ってきていれるようになったって実験あった気がする

      • +2
  9. 漁網とかはヒナの足にひっかかったら心配だなー。

    • +2
  10. 今や、針金ハンガーは絶滅危惧種だから次は何が使われるのかな?

    • +1
    1. >>14
      髪の毛が狙われるぞ(´∀`*)ウフフ ご用心 ご用心

      • +1
      1. >>15
        どこかの動物園の動物は換毛機にカラスに毟られるとか何とか

        • +1
        1. >>16
          そういや巣作りに鹿の毛をもってくる鳥がいてよく見つけてくるな~って関心してたんだが、もしや・・・

          • 評価
  11. 研究者のアウケ=フロリアン・ハイムストラ氏。
    …あだ名はアフロで決定ですな、

    • +5
  12. アフター画像が巣材取りに来てるようにしか見えなくなったわ

    • 評価

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