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カラスは3万年以上前、人間の食べ物に引き寄せられ不思議な共生関係を育んでいた

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(著) (編集)

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 新石器時代にごく最初の集落が作られるようになるずっと前から、人間は動物たちと不思議な共生関係を育んでいたようだ。

 現在のチェコ共和国モラヴィアにある複数の遺跡で、大量のワタリガラスの骨が発見された。

 その骨を分析したところ、カラスたちが3万年以上前の人間たちが食べていたマンモスなどの肉を口にしていたらしいことが明らかになっている。

 テュービンゲン大学をはじめとする国際的な研究チームによると、カラスは人間の食べ残しにつられて人間社会に近寄り、人間たちもまたカラスを補助的な食料として食べていたのだという。

チェコの遺跡で大量のワタリガラスの骨を発見

 カラスは好奇心が強く、ときに用心棒になってくれるほど柔軟に行動できる。雑食性でいろんなものを食べることができるからだろう、3万年以上前のカラスたちは人間のおこぼれを頂戴しようと、人間のそばに寄ってきたようだ。

 それを示唆するのが、現在のチェコ共和国モラヴィア南部にある遺跡だ。「Předmosti」「Pavlov I」「Dolni Věstonice I」の3つの遺跡で、驚くほど大量のワタリガラスの骨が発見されたのだ。

 ワタリガラスは日本でよく見るハシブトガラスやハシボソガラスより一回り大きく、冬に飛来する「渡り鳥」で、北海道の一部に冬に渡ってくる。

 テュービンゲン大学をはじめとする国際的な研究チームは、ワタリガラスたちが人間の野営地に近寄り、そのそばで暮らしていたのではと推測した。

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photo by iStock

人間の食べ物に引き寄せられて集まってきたワタリガラス

 この仮説を確かめるために、ワタリガラスの骨をくわしく分析してみることにした。

 骨に含まれる窒素・炭素・硫黄といった成分の安定同位体を調べることで、その生き物が何を食べていたのか知ることができる。

 この分析の結果、そうしたカラスたちは、マンモスをはじめとする大型の草食動物を食べていたことがわかったのだ。こうした動物は、当時の人間たちもよく食べていたものだ。

 研究チームによるなら、カラスたちは食べ残しをもらうために、人間の野営地のそばに集まってきたと考えられるという。

 だが、カラスはタダで人間からおこぼれを頂戴していたわけではない。人間もまたそうしたカラスたちを捕まえ、おそらく羽毛や肉を手に入れていたのだ。

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3万年前の人間とワタリガラスの共生関係 / image credit:Chris Baumann

3万年以上前から人間は動物に影響を与えていた

 このような証拠は、初期の狩猟採集民たちの暮らしぶりを知る大切な手がかりだ。

 私たちの祖先は大昔、ほとんど手つかずの自然の中で生きていたというイメージがある。だが研究チームによれば、これは単純すぎる見方だという。

 人間は少なくとも3万年前には自然に影響を与えており、それがほかの生き物たちの暮らしを大きく左右していたのだ。

 人間が残す食べかすは、小さなスカベンジャー(動物の死骸を食べる動物たち)にとっては安定した食料源だった。それゆえに、そこから人工的な新しい環境(ニッチ)が誕生した。

 そこにはいろいろな野生動物たちが引き寄せられてきた。そしてその一部は人間の文化にとっても重要な存在となったのだ。

 もしかしたら、ネコやイヌといった私たちの相棒たちも、もともとは人間のおこぼれに預かろうと近寄ってきたのかもしれない。

 彼らはいつしか人間と友情を育み、今のようなかけがえのない存在となった。

 それはいいことだけでなく、人獣共通感染症(人にも動物にもうつる感染症)が増えるなど副作用とでもいうべきものもあった。

 どうやら人間と動物は、このようにお互いに影響を与え合いながら、長い間一緒に生きてきたようだ。

 この研究は『Nature Ecology & Evolution』(2023年6月22日付)に掲載された。

References:Study reveals that ravens were attracted to humans’ food more than 30,000 years ago / written by hiroching / edited by / parumo

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この記事へのコメント 24件

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  1. と言うか、共生にしろ一方的な搾取にしろ他の種に全く影響与えない生物なんて存在しないと思う

    • +10
    1. >>2
      人が道具や火を使うようになってから、人は自然の弱肉強食と言われるものから外れた生き物になっているんよ。その影響がわかる初期の痕跡が今回の記事だね。
      自然界での生物同士の影響とはまた違うものが出たということ。

      • +3
      1. >>13
        自然界に「適者生存」はあっても「弱肉強食」なんてないよ。

        • -3
  2. カラス飼育がメジャーになっていたら、今頃は犬猫と同じくらい身近な相棒になれていたかもしれないね

    • +13
    1. >>3 声の大きさがネックだと思う。
      朝4時から鳴きどおしなんで、家族からも苦情が出るそうだ。

      • +2
      1. >>9
        ニワトリの比じゃない五月蠅さだもんな
        コケコッコーは基本早朝だけど
        カァーは時間帯選ばないからな…
        カラスは近場にいる奴に話しかける推定小声でも
        そこそこ以上に音量あるんだよなあ

        • +4
      2. >>9
        大学で飼育してる先生の本を読んだけど
        匂いも相当キツいらしいよ

        • +3
    2. >>3
      水浴びして清潔ずきでもくさいらしい
      臭いさえ気にしなかったら…

      • +3
  3. 食べようと思ったら食べられるらしい、カラス。
    雑食だし旨そうには見えないけどな。

    • 評価
    1. >>4
      前にテレビでアイドルが食べてたような…

      • 評価
    2. >>4
      「米とサーカス」って店で食べられるよ(宣伝じゃないです)

      • 評価
  4. >人間は少なくとも3万年前には自然に影響を与えており、それがほかの生き物たちの暮らしを大きく左右していたのだ。

    一方向に限らずカラスから人間への影響もあっただろう。混淆がふつうで、分かれる(とされる)のはむしろ後からでは。

    • +6
  5. ヒトの周りで生きるのに、巣に近寄る人を敵対行動ってどうよ
    そんなことするから小カラスが落ちてる時に処理されちゃう

    • -7
    1. >>6
      人に対して攻撃的なカラスは駆除されやすいから
      そのうち淘汰されて大人しいカラスばかりになるかもね。

      • 評価
  6. なんか前にカラスが
    いじめられてた子がカラスに餌やったら
    いじめっ子を攻撃し始めた話があったな

    • +2
  7. 共生だけれども片利共生だとしか言えない
    人はカラスから何をもたらされた?

    • +3
    1. >>10
      食料になるとかもメリットだけど、危険が迫るとカラスが騒ぐから人も気付けるなんて事もあるだろうな~。
      野生動物もそういう共生してるよね。

      • +8
    2. >>10
      羽毛は使えそう。この前道にカラスの羽が落ちていたけど羽ペンに出来そうな位綺麗だったな。3万年前にペンは必要じゃないだろうけどね。

      • +2
  8. 羽毛(兼保存食)の方から勝手に寄ってきてくれるのは助かっただろうな当時の人類
    今と違ってごみステーション荒らされて困るなんてこと無いし

    • +6
  9. 名古屋大須商店街のお好み焼き屋では
    外で食べてると周りにカラスやハトやスズメに
    囲まれます。遠くにカラス少し離れてスズメ、
    近距離にハト、ハトは人の手とかにも乗ってくる、、
    最近そのお好み屋さんは閉店がちですが、、

    • 評価
  10. カラスと共存共栄するためには食べればいいという結論で良いの

    • -3
  11. 共生 – Wikipedia

    共生(共棲、きょうせい、symbiosis)とは、複数種の生物が相互関係を持ちながら同所的に生活する現象である。

    つまりカラスと人間は共生ではない
    カラスは生存できないのだから

    • -7

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