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アメリカでは、過去 20 年間で、雪崩以外の冠雪事故で死亡した人は 70人を超えているという。そのうち65% は、「Tree Well(木の井戸)」に落ちた事故だ。Tree Wellは、大きな枝を持つモミなどの常緑樹の下に形成される低密度の雪の領域のことで、中が空洞状態になっているが、表面からは見つけにくく、ここに落ちると上から雪に埋もれてしまうため、非常に危険だ。
ワシントン州のスキー場で、スノーボーダーがこのTree Wellに落ちる事故が発生した。だが、奇跡的に別のスキーヤーが通りがかったことから、救助された。
その衝撃的な様子は、スキーヤーが身に着けていたGoProカメラが捉えていた。
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Dramatic moment skier rescued a snowboarder buried head first in snow and running out of air | SWNS
Tree Wellに落ちたスノーボーダー
ワシントン州北西部にあるスキー場「マウント・ベイカー」でスノーボードを楽しんでいたイアン・ステガーさんは、木々の間を滑っていた時、雪が後ろで崩れ落ちたと思った瞬間、頭から深い雪の中に沈んだ。ステガーさんは、危険と言われる「Tree Well(木の井戸)」に落ちてしまったのだ。
Tree Wellは、通常大雪が降った後、一定量の新雪が樹木の下のスペースを埋める時に発生する。

image credit:Windy App
深い雪に半分以上埋もれた木は、雪に覆われていない部分の垂れ下がった枝で、木の下に大量に積もる雪を防ぎ、ゆるい雪の領域 (雪と空気の混合) を作る。この空洞部分が、プレーヤーにとって危険な罠になる。30年以上スノーボードの経験を持つステガーさんにとっても、なす術がなかった。
Tree Wellは、木の低い枝に隠れているため見つけるのが難しく、プレーヤーが事前にどこに危険があるかを知ることは、事実上不可能だと言われている。
Tree Wellに落ちたステガーさんは、「危機的状況があまりにも早く起きたため、理解する時間がほとんどなかった」そうだ。
しかし、彼は非常に幸運だった。100万分の1の奇跡的な確率で、たまたま通りかかったスキーヤーに救助された。
衝撃的な救助映像がGoProに捉えられていた
滑っていた時に、雪の中からちらりと見えたボードに注意を引いたフランシス・ズーバーさんは、止まって雪の中に声をかけてみた。しかし返事はなく、ズーバーさんは一刻を争うと判断。とにかく速く雪を取り除かなければと、必死で救助を始めた。

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その様子は、ズーバーさんが身に着けていたGoProカメラが捉えていた。
松の木はたくさんの雪をつかむので、Tree Wellができやすいんです。近づきすぎると雪に引き込まれてしまいます。ズーバーさんは、雪を除けながらステガーさんの気道の確保を優先した。
一度落ちると、まるで流砂のように引き込まれます。もがいて抜け出そうとすればするほど、どんどん吸い込まれていきます。
動画でもわかるように、あのままではステガーさんが出る機会は完全に失われていました。(ズーバーさん)
約3 分間、除雪との葛藤の後、ズーバーさんはステガーさんが息をするのに十分な雪を取り除くことができた。
幸い、手は顔の近くにあったので、ジャケットを顔にかぶせて雪を吸い込むことを避け、なんとか気道が確保できました。(ステガー)救助活動の間、ズーバーさんはステガーさんを救助することができるかどうかという恐怖と必死で闘っていたという。
基本的には、目の前の雪をすべて払いのけなければなりませんでしたから、頭の中は完全にパニック状態でした。そのような状態で、懸命に自分を救い出してくれたズーバーさんは、ヒーロー以外のなにものでもない。奇跡的な状況で救われたステガーさんは、このように感謝の言葉を口にした。
ズーバーさんが私を偶然見つけてくれたのは、奇跡です。彼は、正しいことをすべてして、私の命を救ってくれました。2人は、この1件がきっかけで、新たに友情を育むようになったという。
私が生き延びられたことを、私の婚約者がどれほど感謝しているかを、ズーバーさんに伝えました。

pixabay
自然は手強い。滑る際には気を付けよう
ズーバーさんは、GoProの動画を公開し、このように注意喚起を促している。私が言えるのは、自然はあなたがどれだけのスキルや経験を持っているかなどということは、気にしていないということです。
ですが、万が一の時に雪崩の安全と救助のコースを受講しておくことは大切です。
自分がこのような状況に陥った場合の対処法について訓練を受け、常にお互いに気を配りましょう。

pixabay
ウェブサイトでは、滑る際の注意喚起がこのように記されてある。
Tree Wellに落ちた場合は、まず落ち着いてください。次に、可能であれば、手を鼻にかぶせるようにしてください。こうすることで、小さなエアポケットが作成され、雪の中での呼吸困難を防ぎます。References:Dramatic rescue of snowboarder buried in feet of snow by passerby skier on Mt. Baker/ written by Scarlet / edited by parumo
特に、大雪が降った後は、岩の上や大きな木の周りでのプレーを避けましょう。
小型のシャベルやGPS 型のビーコンを携帯していると、Tree Wellや雪崩で立ち往生した場合、救助隊に場所を知らせることができます。
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コメント
1. 匿名処理班
ひええええええ誰にも見られず一人で落ちてしまったらと思うと助かる気がしない。自然怖い。
2. 匿名処理班
振り返らなかったらアウトだったなぁ‥(;^ω^) 本当に運が良かったですね。
3. 匿名処理班
シャベルを携帯してるとは
危険な地に足を踏み入れてるという意識を持ってる人なんだね
4. 匿名処理班
見つけたのが知識のない人だと下手したら助けようとしたその人も・・・なんてこともある
進路から死角になっているのを見つけてくれただけでもすごいのに、それがちゃんと知識と装備を持っている人だったのはほんとラッキー
ステガーさんも雪に落ちながらもジャケットで気道確保してる
どっちも知識があったからこそ助かった奇跡だね
5. 匿名処理班
折り畳みスコップってあるんだね。
自分だってAEDなんかの講習を受けてないし、日本のバックカントリーを楽しむ人のどれほどが、安全講習を受けているのだろーか。
6. 匿名処理班
もし手前で転んで一度止まっていなかったら気付く事なく通り過ぎてかもしれないと思うと、運命って残酷だったり親切だったり気まぐれだな
7. 匿名処理班
Tree Wellじゃないけど崖みたいな道でこけて下に転がり落ちたことあるわ
自力でよじ登ってコースに戻ったけど、岩や木にぶつかりもせず無傷ですんだの今思うとラッキーだったなあ
8. 匿名処理班
装備を見るにかなりの金をかけてるな
スキーも金が無いとな
9. 匿名処理班
今回は運良く後続の人が発見してくれたから良かったけどバックカントリーをするなら
単独ではなく複数人で行く様にしないといけないね。
10. 匿名処理班
日本のスキー場でもわざとコースアウトして滑ってく人いるけどよく怖くないなと思うよね。
11. 匿名処理班
今回は後続の人が見つけてくれたから良かったけど、これが後続の人がハマったパターンだったら前走の人が気付いてから戻っても間に合わなかっただろうな
恐ろしい映像だわ
12. 匿名処理班
整備されたスキー場外での出来事なら自己責任。
自然の驚異に備えて準備して滑れば良い事
今回は危機管理の優れたスキーヤーの機転に救われただけ。
13. 匿名処理班
自然は素晴らしいけど恐ろしいな
14. .
想像するだけで息苦しくなる
雪崩に遭った時も手で口を覆えって言うよね
15. 匿名処理班
>>14
うん、口の周りに呼吸できる空間を作れってなんかの本で読んだ記憶があるよ
16. 匿名処理班
頭からいったんか
よかったよ、助かって
>自然はあなたがどれだけのスキルや経験を持っているかなどということは、気にしていないということです。
ほんとにこれ。これなんよな…
バックカントリーやらない人も、まるきり他人事だと思わないほうがええよ。
山には山の掟みたいなのが、あるからさ
17. 匿名処理班
動画みてるとスノーボードが滑ったあとを追う形でスキーヤーがすべったからこそ発見できた事故ですね
すごい緊迫感だった
18. 匿名処理班
そもそもバックカントリーの時点で…
向こうじゃ認められてるの?
19. 匿名処理班
うわ〜こんな新雪ふわふわの雪があったらこっち滑りたくなっちゃうわな
この人は親切だあ
20. 匿名処理班
助かってよかったよね
このニュースを知る前日に雪中に逆さまに刺さったままの死体を発見、のニュースを見たから余計にね
後続って言ってる人がいるけど、救助者はたまたま通りかかって人だぞ、確か六時間くらい埋まってたはず
>>5
画像は組み立て式だけどな。
折りたたみ式より部品点数が少なくて重量の割に強度があるんだ
21. 匿名処理班
バックカントリーは怖いよね
日本でも今年、某ゲームのジャケットの写真のモデルになった人が行方不明になってるし
一人じゃ無くて何人かで行った方が安全だと思う
22. 匿名処理班
俺も下半身が新雪に埋もれたことあるけど、マジでボードが1mmも動かない。
ボードを外そうにも外せないし死がよぎった。
自力で上の雪をどけてなんとか脱出できたけど、あれは本気で怖かった。