
そこで、出産して間もない女性飼育員が、オランウータンの母親の目の前で、直接自分の子供に授乳することで、そのやり方を教えることに。
それをを興味深く見ていたオランウータンの新米ママは、授乳方法を理解したようだ。同様にまねることで我が子に授乳し、愛情を注ぐことができるようになったようだ。
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Orangutan Learns How to Nurse from Breastfeeding Zookeeper
生まれてすぐに孤児となったオランウータン、子育て法がわからない
アメリカ・バージニア州にあるメトロ・リッチモンド動物園の飼育係ホイットリー・ターナーさんは、母親になったオランウータンに母乳育児を教えるというユニークな仕事を与えられた。ターナーさんが担当することになったオランウータンのゾーイは、生まれてすぐに孤児になったことが関連しているのか、子供を産んでもどうしていいのかわからず、子育てをしようとしなかったという。
ゾーイが前にも子供を産んだことがあるのだが、授乳できないことから、その子は飼育員が哺乳瓶で育てたという。

image credit: youtube
動物園では、今回2頭目を出産したゾーイに、なんとかして母親としての意識を目覚めさせ、赤ちゃんとの絆を育んでもらいたいと思った。そこでスタッフは子供を産んだばかりのターナーさんにゾーイの前で授乳のデモンストレーションをしてほしいと依頼した。
過去、この動物園では、他のオランウータンに授乳指導のデモンストレーションをして成功したことがあったため、ゾーイもターナーさんから学んでくれる可能性があると考えたのだ。
ターナーさんは、その申し出を快く引き受けた。
母乳育児は、すべての哺乳類が共有する自然なプロセスかもしれませんが、それでも複雑で戸惑いもあります。私も新米母親として、最初は母乳育児にとても苦労しました。
それを理解する前に、多くの指導と助けが必要でした。
だからこそ、人間とか動物とか関係なく、ゾーイに対しても、母親同士としてサポートしたい。そう思ったんです。(ターナーさん)
息子を授乳する姿を見せてゾーイに授乳指導
早速ターナーさんは、デモンストレーションを行うために、生まれたばかりの息子ケイレブ君を連れて、ゾーイのいる屋内ケージの前にやってきた。
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ブラを下ろした状態で、赤ちゃんが乳房のところに来るのが見えるように、胸をゾーイに見せました。
そして息子が乳房を口にふくんだ時、私はゾーイにその様子を見せました。
ゾーイは好奇心旺盛に、授乳する私を興味津々に見続けていました。(ターナーさん)

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ゾーイの母性本能を開花させることに成功
続いて、飼育員らはゾーイの囲いにテレビを設置し、他のオランウータンの母親が出産して子供の世話をしている様子を見せた。すると、ゾーイはそれも興味深く真剣に見ていたという。
また、他の飼育員たちも、小さなオランウータンのぬいぐるみを使って、胸に抱っこさせているようにして四つん這いで歩いてみたり、腕に抱っこしてご飯を食べさせてみたりと、母親が行うあらゆる育児をデモンストレーションし、ゾーイの母性本能が開花するよう、献身的に指導した。

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こうした様々な試みの末、ついにゾーイに母性本能が芽生えた。ゾーイは息子に母乳を与えただけでなく、健康で幸せな絆を築くことができたようだ。

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現在、動物園の訪問者は、ゾーイが赤ちゃんと仲睦まじく過ごす姿や、一家が一緒に寛いでいる姿を楽しむことができるという。

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References:Fascinating video shows how an orangutan mom learned to nurse from a breastfeeding zookeeper / written by Scarlet / edited by parumoあわせて読みたい





コメント
1. 匿名処理班
ママ友な
2. 匿名処理班
賢人と言われるだけあって、目で見ただけでも学べるのだな。
ターナーさんもハラスメントとか言わずに協力してくれてよかった。
3. 匿名処理班
森の賢人、授乳を覚える
4. 匿名処理班
ゾーイさん、良かっターナー
5. 匿名処理班
母性は本能じゃないよ。
人間もオラウータンも教えてもらい触れ合ってから愛情が芽生えるもの。本能なら学ばずともできるものだから。
父性も同じだよ、子どもが産まれたらたくさん抱っこしましょう
6. 匿名処理班
母は偉大だな
7. 匿名処理班
そうか、人間に限らずヒト科に属する動物ってと自分が経験してないことはわからないんだね。
他の哺乳類だと完全に本能で理解してるんだろうけど、興味深い・・・。
8. 匿名処理班
夫も妻も子供が産まれた瞬間に完璧なパパママに変身するわけじゃないという、人間にも通じるいい教訓だね
9. 匿名処理班
本能を呼び覚ましてるのかな
見てると涙出てきちゃう
10. 匿名処理班
>>7
ゾウなんかでも、
複数飼育で群れの先輩メスの育児を何回か見てなければ、
少数飼育の動物園だと育て方が分からず育児放棄になりやすい。
というか、まず出産の段階からして
成長過程で先輩メスたちの分娩を見て理解する機会が少ないと、
陣痛や出てきた物体が何か 意味が分からずパニクって興奮し
赤ん坊を踏み殺しそうになって 飼育員が引き離したり。
11. 匿名処理班
一定の「知的頭脳」を超えると本能で子育てできなくなるのかな??
他の動物が本能で出来る事なのに・・・
脳が本能を記憶する部分を開放することで知的文化を手に入れる??
教えなくても蜘蛛の巣を張れる蜘蛛や、生まれてすぐ立って歩く草食動物
そういうの人間に無いのが不思議だもんね
12. 匿名処理班
目も開いていない子猫を保護したとき勉強しながら、哺乳瓶でミルクやったり、お尻トントンで排泄を促したりと育て上げた。ただもう大きくなった猫が毛布をちゅっちゅっと吸いながらモミモミするのを見たとき、ちょっと複雑な気持ちになる。
本物のママには勝てないと。
13. 匿名処理班
>>12
生みの親でなくてもあなたがその子の親だよ、誇れ
14. 匿名処理班
>>12
「もう大きくなった猫が毛布をちゅっちゅっと吸いながらモミモミする」
それは、あなたに育てられた、幸せな子猫時代を思い出しているのですよ。
いや、子猫時代が終わった今でも、そのネコちゃんはあなたとの幸せを毎日味わっているのですよ。
15. 匿名処理班
>>12
その行動自体は本能から来るものかもしれないけど、モミモミしている時その子が思い返しているのはあなたに愛情深く育ててもらった日々だと思うよ
16. 匿名処理班
母性本能とか保護欲求って強くて
いったん働きだすと、自分の子でなくても助けるために迷う事なく身を投げ出せるくらいまでになる
それは学習で説明できないほど強い感情で、危なっかしい抱っこしてる若いパパママ見ただけでも、手を出したくなって震えがくるくらい。しないけどね
大恋愛してる時並みかそれ以上に強いです
17. 匿名処理班
>>11
淘汰、じゃないのかなぁ…?
育児法を世代間伝授していくほどの知能を持たなかったり
群れを作らず単独行動している動物は、
母親にせよ赤子にせよ、
出産後にさまざまなパターンの行動をとる個体群の中で
たまたま生存に有利な特定の行動を無意識にとる性質のものだけ
生き延びて繁殖した。
(それか、育児なしで産みっ放しの多産多死方式。)
一方で、群れで年長者の育児を見て学べるタイプの動物は
特定の育児行動が本能としてインプリントされていなくても、
後天的に見て学べば、無事に子を成獣させて繁栄できる。
18. 匿名処理班
>>7
猿の仲間はある程度出産子育て経験のあるメスがモテると聞いたことがあるよ
初産は分娩自体のリスクも高いし、育てきれない可能性が高いのをオスは分かってるんだと
人に近かろうと動物の世界はシビアだね
19. 匿名処理班
人間の少子化も、これと関連性があるかも。
10代〜20代の時に、あんまり本物の赤ちゃんや子供に触れ合わないから、自分が子育てすることに想像が及ばない。。。
昔は弟妹の世話をしたり、おままごとしたりで、結構あれでも訓練になってたんだよね。
20. 匿名処理班
>>19
私は逆で、子どもの頃から弟妹やら親戚のちびっこやらの面倒を見させられてきたから、もう子どもの世話はしたくなくなり早幾年。40代の子無しです。
まあ、そんな人も居ますよ〜ってだけなんですがね……
21. 匿名処理班
ナイナイ岡村に見える私の目は腐ってる
22. 匿名処理班
野生の群れの中にいれば、自分自身が経験したことなくても周囲の先輩達から技術的にも精神的にも色々学べてサポートも受けられたんだろうけど
人間の親だって、たとえ情報だけはネットである程度得られるとしても、孤立させるのはよくないよね
人間でも動物でも本能なんてものは過剰に当てにしたり言い訳に使ってはいかんと思う