
image credit:anil_t_prabhakar/Instagram
自然界は厳しい。だがその厳しさを知っているから、動物たちは助け合う。特に「群れ」で暮らす動物は利他的な行動をすることで知られており、これは集団内での緊張緩和や他者との協調のために備わった心の機能とされている。一方オランウータンは、昼間活動する霊長類の中で唯一群れを作らない。木の上で単独で暮らしている「森の住人」だ。
孤独を好む彼らの生態は今だ謎も多いが、同じ霊長目ヒト科である人間に対しては特別な感情を持っているのだろうか?
ボルネオ島で、川に入った人間男性に対し、木から手を差し伸べ、救い出そうとするオランウータンの姿がカメラマンに撮影された。
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人間を助けようと手を差し伸べる野生のオラウータン
インドネシア人のアマチュア写真家アニル・プラブハカルさんは、ボルネオ島に友人と旅行中、偶然にも奇跡的な写真を撮影した。それは、野生のオランウータンが川に入っている男性に手を差し伸べている瞬間だ。
アニルさんは、1991年に設立された非営利団体のボルネオ・オランウータン生存財団(BOSF)が運営する野生保護地を訪ねていた。
400人ほどのスタッフを抱えるBOSFは、急速な森林伐採の脅威に晒されているオランウータンの生息地を守ることに日々尽力しており、現在、この保護区では650頭のオランウータンをケアしているという。
#PhotoOfTheWeek: School is more exciting with a best friend by your side. Tag an old classmate!#saveorangutans pic.twitter.com/RbROdhRfmw
— BOS FOUNDATION (@bornean_OU) January 17, 2020
川の中の男性は蛇の駆除をしている最中だった
オランウータンの保護と彼らの生息地を守ることを務めとしているスタッフは、ボルネオの熱帯雨林に生息する160種ほどの蛇が、多くのオランウータンに深刻な脅威を与えることから、定期的に蛇がいるとされる川や茂みを掃除したり、駆除したりしている。アニルさんが出会ったこの男性もBOSFのスタッフで、ちょうど川に蛇がいることを知り、川の中に入って駆除しようとしていたところだった。
野生のオランウータンに手を差し伸べられるも…
すると、そこに野生のオランウータンがやってきて、しばらく男性スタッフの様子を見ていた。オランウータンは、川に蛇がいることを知っていたのかもしれない。男性を危険な場所から助けだそうとしたのか、木からスッと手を差し出したのだ。
だが男性スタッフはオランウータンの行動を意図的に無視した。そしてオランウータンから離れた場所で水の中からあがった。
これを見ていたアニルさんは、その男性スタッフに「なぜ、差し伸べられた手を拒否したのか」と尋ねた。
スタッフは「あれは、野生のオランウータンです。私たちが良く知っているオランウータンではないし、野生に触れるべきではないと思ったからです」と答えたという。
彼らは近絶滅種となったオランウータンたちを救おうと日々懸命な努力を続けている。もしかしたらオランウータンもそれを知っているのかもしれない。#PhotoOfTheWeek : I am a keeper of the forest, a protector of our planet. So please protect me - I need to keep doing my important job, for all life on Earth.#SaveOrangutans pic.twitter.com/sTZNfiQ5Wl
— BOS FOUNDATION (@bornean_OU) February 7, 2020
こちらの動画では、スタッフがゴム製の蛇のおもちゃを使って、まだ蛇の怖さをしらない子供のオランウータンに、その危険性について学んでもらおうとデモンストレーションしている。
Crash course in snake awareness!
なお、アニルさんの奇跡的な写真には、一部SNSユーザーらから「フェイクでは」という声もあがった。
それに対しアニルさんは「予想していなかった展開に自分自身も驚いたが、とっさに撮影した。フェイクだと思う人には勝手に思わせておけばいい。人間社会で、人への親切が薄れつつある中、動物はそれを人間に教えようと基本に帰らせてくれることがある」と語っている。
written by Scarlet / edited by parumo
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コメント
1. 匿名処理班
飼い猫が飼い主の入浴中に騒がしくなるのだって「そこは濡れるぞ!よくない!」って騒いでるって話だし、オランウータンともなれば「そこはあぶないぜ?まさか自力で岸に上がれないのか?」って思ったら手を出しても不思議じゃない。
ただ、野生の個体が、ってのがやっぱり興味深いね。知らないヤツ相手にもやるのか…優しいな。
2.
3. 匿名処理班
フェイクとは思わんけど、スタッフに手を差し伸べたように見えるってだけかもしれない。
有名な「ハゲワシと少女」も、人々が想起するのとは全然違う状況下だったらしいし。
4. 匿名処理班
手に持ってる鎌を俺にも触らせてくれと伸ばしてるようにも見える
定期的に行ってる作業ならオラウータン側も何やってるか分かってるんじゃないか
5. 匿名処理班
道で倒れた中国人をコロナウイルスを嫌って放置したというニュースがあった。
オランウータンの方が人間より優しいとか、哀しいね。
6. 匿名処理班
オランウータンならしても不思議じゃないよね
7. 匿名処理班
ガチならフェイクは誉め言葉
嘘のような一枚こそ動物カメラマンには至高よ
8. 匿名処理班
この男性は正しい判断したと思うよ
野生動物に無暗に触ったらダメ、もしかしたら病気を移すかもしれないし、触った動物が他の仲間から良くない扱いを受けるかもしれない
無視するのも優しさだよね
9. 匿名処理班
いやいやいやオランやさしいだろうけど握力……
10. 匿名処理班
仮にオラウータンが助けるつもりでもオラウータンの握手は壊滅的ダメージを受けるでしょ
11. 匿名処理班
この男性もオランウータンも、二人とも賢くて優しい
12. 匿名処理班
過去に人間に助けられた経験があったのかそれとも変な色の仲間と思ったのか
13. 匿名処理班
「人間は自然に関わっちゃいけない」とかそういう理由ではなく、
単純に病気を移したり人に慣れすぎると誘拐される可能性もある。
基本的には関わらないほうがオランウータンのためだと思う。
14.
15. 匿名処理班
何とも優しそうな佇まい。
あと、右利きなのかな。
16. 匿名処理班
フォトショップ
17. 匿名処理班
言葉は通じないにしてもせめて声色と仕草で残念だけど触れないニュアンスを伝えられたらな、と思ったけど、そうか、誘拐の可能性もあるならダメだな……
18. 匿名処理班
※13 否定形から入っているが、結局そういうことだよ。
19. 匿名処理班
オランウータンの握力、推定400キロ〜500キロ
手を差し伸べられても正直怖いですw
20. 匿名処理班
これオラウータンからしたら獲物に見えてたかもね
21. 匿名処理班
オレ ドウブツ スキ
22. 匿名処理班
※20 オラウータンの食性は雑食で主に果実で、昆虫、鳥類の卵、小型哺乳類も食べるけど、人間はでかいし獲物には見えてないと思う。
23. 匿名処理班
>>5
オランウータンにはコロナの危険性分からんでしょ…
24. 匿名処理班
※19
握力が〜コメ多いけど
なんで全力で握り潰される前提なんだよ…
25. 匿名処理班
この川の濁り具合…入るの勇気いるなぁ。
26. 匿名処理班
あれはオランウータンだったかな?
握力がものすごくて人間が握手したら骨折しかねないって話を昔聞いたような気がするんだが。
27. 匿名処理班
別の保護団体が保護してた個体とかかもしれないし
28. 匿名処理班
これは、場合によると野生のオランウータンが人間を助ける事が有る…という事かな?実際に、そういう例が以前に有った気がする。人間も他の種を助ける(助け様とする)事が有るからね?人間とオランウータンは、メンタリティーがほとんど同じなのかも知れない。
29. 匿名処理班
動物にも利他精神があるのは発表されてるよね?
それが他種族に発揮されることもあるという当たり前なんだけど素敵な瞬間って奴だな
30. 匿名処理班
※26
それはたぶんチンパンジーのことですね
31. 匿名処理班
オラウータン「 オラの善意が 無になっタン 」
32. 匿名処理班
オランウータンはあえて人間の村落の近くで暮らしたりするし
あまり人間を警戒しないのかもね
村の生活を見て道具の使い方覚えて利用する個体も居たりするらしいし
33. 匿名処理班
まあ正直いって俺もオランウータンの握力は怖いわ 人間の体がオランウータンと比べてどれだけ脆いかなんて知らないだろうし
34. 匿名処理班
※24
なんで握り潰されない前提なんだよ…
35. 匿名処理班
>>7
カッコいいなぁ。
36. 匿名処理班
※24
昔、『類猿人ターザン』という映画で、ターザン役の人にチンパンジーがじゃれたら肩が外れた、ということがあったらしい。
力が桁違いだから、向こうは手加減してるつもりでも人間側はシャレにならないレベルのダメージを受けることもあり得る、という訳
37. 匿名処理班
こんな賢い連中の住処をアブラヤシのプランテーションの為にどんどん奪っているのだな…
今、自然に優しいという理由でヤシ油が大量に使われ、その結果アブラヤシ植える為に森林破壊がすごいスピードで進んでると福山雅治のテレビで見た。
人間がオランウータンより賢いならば、知恵絞ればそのあたりの問題を解決できる筈なんだけど、どうなんだろな…
38. 匿名処理班
>>10
助けるつもりなら全力で握りつぶさんだろw
39. 匿名処理班
人間ならそうするかもということを彼らがやっても、何も不思議なことではない。
40. 匿名処理班
オランウータン、その腕の力は、相当に強いとか。
この例では善意のオランウータンだったかもしれないが、
もし、手荒な個体だったら、握った手を引っ張り、かんたんに肩を脱臼させるくらいのことを、してしまうかもしれない。
41.
42.
43. 匿名処理班
日本でもお菓子などにたくさん使われてるので、
会社に使用しないお願いの手紙を書くとかかな。
(環境に配慮したパーム農園も少ないけどあるらしい。)
オラングタンの知能は人間の5才児程度だそうです。
タイでは食糧のある場所を奪われたゾウがバナナ園を襲うんだが
農民も死活問題なので殺すしかないらしい。
44. 匿名処理班
写真には事実しか写らないが
人間の取る写真が必ずしも事実である訳ではないしね
戦争被害者、事故死した難民、冤罪を訴える犯罪者、環境保護を訴える者
その写真を撮った者がどういう立場、どういう意図で
そういった写真を発表したか、よく調べてみないと
フェイクに踊らされる事になる
45. 匿名処理班
「エサが落ちてる」
46. 匿名処理班
オラン「そっ・・・」
人間「ありが」
(ヴォキヴォキヴォキヴォキ!!!!!!)
人間「ぎゃああああああああ」
オラン「???」
47. 匿名処理班
カッパでも肥満でもない私はセーフ
48. 匿名処理班
オランウータンを保護する為に蛇を駆除するのはいいのか?
誰が決めた尺度だ?
何か矛盾を感じちゃう
オランウータンも蛇も、それどころか森林伐採する人間すらもあるがままに生きてるんだから手を加えること無くね?
49. 匿名処理班
何してんやアイツ!?ワニとカンディルに食われたいんか、ホレ!
50. 匿名処理班
まあどんなつもりでオランウータンが手を差し伸べてきたのかはわからないけど、それを意図的に無視したというのは素晴らしいことだと思う
野生動物は人間に近づかないほうがいい
悪意のある人間を見分けられないだろうからね
51. 匿名処理班
あるが〜ままの〜♪ あ、間違えた。てへぺろ。
52. 匿名処理班
少なくともオランウータン同士なら助けるやろ〜
問題は 人間にも手を伸べてくれるのか であって
まぁ人間好きなウータンもいると思うんだがな🤔
53. 匿名処理班
>>48
蛇は増え過ぎてるのかもしれんよ。
54. 匿名処理班
オランウータンは水が怖いからちょっとした水溜りでも近づきたがらないんだよ。
動物園の展示でも、水場で囲って外に出て行かないようにしてるところもある。
だからこの人が川に入ってるの見てびっくりしたんじゃない?「大丈夫!?」って。
群れないけど仲間のことを想わないわけじゃないし、たぶんメスだったのかな。
55. 匿名処理班
ウータンの互助能力に疑うところはないけど、「それを人間に教えようと」してるみたいな野生動物が人間を主体に意図的行動してると決めつけるような考え方は傲慢で好かん
56.
57.