
米国では、数年前シミュレーションでAIパイロットが元米軍のベテランパイロットに完勝。つい先日はAIを搭載した自律型戦闘機のテストフライトに成功した。
だがサウスチャイナ・モーニング・ポストが伝えるところによれば、中国のAI技術はそのずっと先を行っているようだ。
中国空気動力研究発展センターで行われたドッグファイトは、シミュレーションではなく実機によるもので、AIが人間のパイロットを圧倒したため、たった90秒で中止になったという。
AI操縦の自律飛行戦闘機が、人間のパイロットを打ち負かす
戦闘機同士が互いに相手を捉えるために機動しながら行う空中戦闘「ドッグファイト」が始まると、人間のパイロットは機体をリモート操作して有利なポジションを取ろうと試みた。ところがAIが操縦する自律飛行機はこの動きを予測し、反対に相手の背後にぴたりと張り付いたのだという。
そこで人間は機体を急降下させた。これにAIが喰らいつてくれば、そのまま墜落させられるかもしれない。
だがAIは冷静そのもの。罠にハマることなく、相手が上昇してくる瞬間を狙うために、待ち伏せ大勢に入った。
もう人間のパイロットがどう足掻こうが無駄。AIは常にその上を行き圧倒したために、実験はすぐに中止された。

この研究成果は、中国の専門誌『Acta Aeronautica et Astronautica Sinica』で発表されたもので、「AIが王である時代の到来」と賞賛されている。
人体の場合、過度なGには耐えられないが、AIにはそのような制約がないのも有利な点であるという。
なおこのドッグファイトでは、実際の戦闘機ではなく、小型の飛行機が使用された。だが、AIはその機体専用のものではなく、あらゆる飛行機に搭載可能であるそうだ。
AI技術に優位性を見せつける中国
米国では、シミュレーションでなら、地上の設備で駆動するAIが人間のベテラン・パイロットを打ち負かしたことがある。一方、今回の成果は、シミュレーションではなく実機を利用したもので、AIも米国のコンピューター・リソースの数分の一で実現されたものだ。
使用されたチップは、1秒間に1000回の意思決定を行えるNVIDIA製TX2モジュールだ。
米国政府はNVIDIAのハイエンドチップを中国に輸出することを禁じているが、そこにTX2は含まれていないとのこと。
AIによる地上の自動運転技術はすでに実用化されているが、それを飛行機で実現するのはさらに難易度が高い。だが中国の技術者はそのハードルをうまく乗り越えているようだ。
Interesting Engineeringによると、中国には人間には難しい超音速飛行によるドッグファイトをAIを利用して実現しようという試みすらあるそうだ。
References:AI-powered fighter pilot trumps over human in aerial dogfight / AI pilot beats human in landmark real-life dogfight, Chinese military researchers report | South China Morning Post / written by hiroching / edited by / parumo
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コメント
1. 匿名処理班
紛争になれば無人爆撃機による攻撃ばかりになるだろう
日本は対策しているのだろうか
2. 匿名処理班
90秒で圧倒‥折角の実験なんだからもっと色々試行錯誤すればいいのに
判断早すぎ
3. 匿名処理班
雪風が……敵だと言っている
4. 匿名処理班
実のところ、それほど最先端の半導体チップは必要ない技術なのかもね
ミサイルも宇宙ロケットも30年〜40年前には実用化されて配備されてるし、核爆弾は70年前、核弾頭も再突入体も40年以上前の技術で実戦配備されとるし
10年〜20年前のレベルの電子技術や半導体技術で十分って事やないの???
5. 匿名処理班
初音ミクがシャロンアップルに
6. 匿名処理班
アメリカさんには「高出力レーザー砲」があるから
7. 匿名処理班
そもそも有人機が常に抱えるGの影響無視して機体限界ギリギリの機動力発揮できるなら人間に太刀打ちできるわけないけど、同条件でリモート操作同士でも負けるならもう勝ち目なんてないわな
8. 匿名処理班
対AI戦術が必要になり、対AI戦術に対抗したAIはさらに独立思考になっていき、行きつく先は…って感じもするけどね。
9. 匿名処理班
「ドッグファイト」にも歴史あり
こればっかりは実戦と訓練そして新戦術と検討を長年続けている米軍とその経験が全くない中国軍とでは「ドッグファイト」の練度が違う
10.
11. 匿名処理班
まぁ生身の人間乗せる必要無いわな
12. 匿名処理班
マクロスプラスのゴーストに時代が追い付いたか
13. 匿名処理班
地上からの指示だと通信速度の限界があるから、スタンドアローンで判断できるAIを載せたら
機体限界まで好き勝手ターンできるもんねぇ
訓練が必要で食事も睡眠も必要な生のパイロットの時代は終わりなんだろうな…だがしかしマーヴェリックが必要なんだ
14.
15. 匿名処理班
次回、『ニュータイプ VS AI』 ご期待ください
16. 匿名処理班
ぶっちゃけ本当に実験やったかどうかも怪しいよね
17. 匿名処理班
あくまで「ドッグファイト」のお話でしょ
ミサイル性能の向上とか、対ミサイル対策とかが大事だと思うが・・・
18. 匿名処理班
エスコン7が現実になる日も近いな
19.
20. 匿名処理班
AIが人間に勝ちましたとだけ言われても困る
人間側がヘボだったのかエースだったのかで天と地ほども違うでしょ
21. 匿名処理班
>>17
コストが安いなら回避行動を取るミサイルにもなれるさ
22. 匿名処理班
映画ステルスが2005年か。思いの外早かったな
23. 匿名処理班
ちょっと待ってくれ
小型の飛行機って言うのが画像の通りの高翼のレシプロ機の事?
現在の戦闘機を車に例えたら「ママチャリレースでAIが人間に勝利しました!」って程度のレベルじゃんこれ
24. 匿名処理班
<<理解したいのだよ、敵を>>
こんな台詞から既に先に行っているのか……
25. 匿名処理班
まあ中国での発表だし。
「中国人のできましたは信用するな」
26. 匿名処理班
>>23
特に速度は全く違うからなぁ。
撃墜判定に何の武器を使ったのかも解らないし
27. 匿名処理班
照準器付きヘルメットとUターン可能なミサイルの登場でドッグファイトは不要になったとか言ってたのは誰だ。思いっきり必要じゃないか
ウクライナ戦でもドッグファイト起きたらしいし
28. 匿名処理班
>>12
撃墜できるのはガルド+YF-21だけですな
29. 匿名処理班
>>4
たしかアポロ計画でも地球上で使うならもっと最新式で高性能なコンピューターを利用できたけど、過酷な宇宙環境でも安定して運用できる事を最優先事項として、性能は劣っても敢えてレガシーなコンピューターを搭載したという話もありますね。
30. 匿名処理班
>>25
そうは言っても宇宙ステーションは運用しているし、火星探査機まで送り込んでいる事も考慮すれば、総合的なテクノロジーでは劣っていても見下してばかりもいられないと思うよ。
日本も中国を超えるような高い技術力を持っていても、それを実現できなければ意味をなさないわけだしね。
31. 匿名処理班
プレステのアーマード・コア、マスターオブアリーナの簡易AIもちょっとパラメーターをいじるだけでゲームの制約に従いつつ人間には対処不能な動きをしてきた思い出
32. 匿名処理班
>>27
それどっちも近距離戦闘でこそ優位性を示せる装備で、むしろドッグファイトの可能性の幅を広げるものだと思うが
33. 匿名処理班
>>15
肉体の限界がある面でニュータイプが不利
…だけど今TV放送してる奴で肉体の枷のない方が一人いらっしゃいましたな
34. 匿名処理班
>>33
アニメと現実を近藤正臣
35. 匿名処理班
>>3
AI「我は、我である」
36. 匿名処理班
中国にはマーベリックいないでしょ
37. 匿名処理班
Gの問題以外にもコックピットというそこそこ大きな人間の生存空間を確保する必要が無いのも兵器として大きなプラス要素だよな
38. 匿名処理班
そりゃー半導体制裁受けるわな舐めてたら追い付かれて困るから
39. 匿名処理班
>>33
あれを現実に落とし込むと悪夢のR-TYPE戦闘機になってしまうのでやめてクレメンス。
40. 匿名処理班
確かにAIの操縦士は状況判断や対Gで人間を上回るけど、近距離の戦闘自体が発生しにくい現代の航空戦では人間に対して記事ほどの優位性はないでしょう。