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バチカンではかつてカピバラを「魚」に分類していた。その理由とは?

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(著) (編集)

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 穏やかな性格で、他の動物にも慈悲深く我々人間に癒しを与えてくれる存在の「カピバラ」は、地球上最大のげっ歯類だ。

 だが、カトリックの総本山バチカンでは18世紀末から数百年にわたり、カピバラを「魚」として正式に認定していたという。 まさかと思うかもだが嘘じゃない。

 どこからどう見ても魚には見えないカピバラが、なぜ魚認定されたのか? ここではちょっと気になる歴史のトリビアを紹介しよう。

泳ぎが得意でも「カピバラ」は哺乳類

 日本でも癒しの存在であるカピバラは動物園でも人気者となっているが、もともとは南米原産の哺乳類で、ネズミ目テンジクネズミ科に分類される地球最大のげっ歯類だ。

 カピバラと聞いて、動物園の露天風呂でほっこり温まる姿を思い出す人もいるもしれない。じつは大きな体に似合わず、カピバラはとても泳ぎが上手な生き物だ。

 指の間には水かきがあり、顔も水の抵抗を受けにくい流線型だ。しかも5分も息を止めることができるので、危険な捕食動物が迫ればさっと水の中に逃げていく。

 そもそもの生息地はアマゾン川流域なのだから、水に親しんで暮らしているのもわかるだろう。

 そうはいっても、カピバラはカピバラだ。つまるところ巨大なネズミで、どこからどう見ても魚には見えない。

 ではなぜ、お堅そうなバチカンの聖職者が、「カピバラは魚です」なんて言い出したのだろう?

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photo by iStock

肉の断食期間中「カピバラは魚だから食べていい」ということに

 昨年、米カリフォルニア州の裁判所は、やむにやまれぬ理由から「蜂は魚」との判決を下したが、じつはバチカンにもある事情があった。それとは真逆の理由のようだが。

 その事情は、中世のカトリック教会がある期間に肉食を禁じていたことと関係がある。

 灰の水曜日から復活祭前日までの40日間を「四旬節」という。イエスが40日間荒野で過ごし、断食したことを偲ぶ期間で、当時は特定の動物の肉を食べることが禁じられた。

 だが、敬虔な信者の中にも、どうしても肉絶ちができない人たちがいたのだろう。

 ヨーロッパ人が南北アメリカ大陸に入植し、ベネズエラにやってきた聖職者たちは、足に水かきがあり、泳ぎが上手なカピバラを見て、妙案を思いついたのだ。

 この動物を魚に分類してはダメだろうか? と。

 彼らはこの妙案を手紙にしたためバチカンに送り、1784年正式に承認された。かくしてカピバラは魚に認定され、四旬節でも食べてよいことになったのだ。

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photo by Pixabay

期間中食べるのを禁止された肉の種類は陸生動物

 聖職者たちの発想はどうにも奇妙で、それを認めるバチカンもバチカンだと思えるが、じつはそれほど奇抜な話ではなかったのかもしれない。

 というのも、断食中、禁止されるお肉は、それが哺乳類か魚かといった区別ではなく、陸の生き物か水の生き物かという区別だったらしいのだ。

 環境史家のドリー・ヨルゲンセン氏は、「だから水の中で過ごす動物は水生動物に認定され、四旬節でも食べることが許された」と説明している。

 ちなみに魚認定された哺乳類はカピバラだけではない。

 ダムを作ることで有名な「ビーバー」もまたバチカンが魚と認定し、やはり1年中キリスト教徒に食べていいことになったようだ。

References:For Hundreds Of Years The Vatican Has Classed Capybara As A Fish | IFLScience / written by hiroching / edited by / parumo

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この記事へのコメント 36件

コメントを書く

  1. 宗教は解釈次第で都合よく改変出来るいい加減なものだってのがよく分かる

    • +25
  2. ウサギを一羽二羽と数えたり、食肉にサクラやボタンやカシワと植物の隠語をつけるのに通ずる話ですな

    • +31
      1. >>5
        ヤマクジラは、イノシシでしょ。
        (さらには、獣一般まで指したこともあったとか)

        ネコさんは「オカフグ」と呼ばれていました…

        • +4
        1. >>18
          「日本昔ばなし」で、鯨は元々山で暮らしていたけど、暴れん坊で山の神様が困って
          海の神様に相談、海には泳ぎが下手で獲物がとれないイノシシがいるので交換したという話。

          • +1
      2. >>5
        猪以外の獣肉にも使うことがるらしいという調べて分かったどうでもいいトリビア
        「鯨」なのは鯨が食用だったから、獣にも適用してみたぐらいの扱いらしい

        >>21
        全て戒律通りだと、たまに不都合が出てくるから仕方がないね

        • +4
    1. >>2
      馬:桜(さくら)、鶏:柏(かしわ)、猪:牡丹(牡丹)、鹿:楓(かえで)
      牛:躑躅(つつじ)・・・タヌキや犬、猫の肉を躑躅肉と称していた話もある
      山鯨は「豚」を指しています(猪も含む)イルカを漢字で『海豚』と表記する辺りに名残が分かります

      • +11
      1. >>14
        鹿は、楓じゃくて紅葉じゃなかったっけ?
        鹿肉の事を楓というのは、地域差ですか?

        • 評価
  3. 日本でも生類憐みの令で肉が食べられなかった頃、鳥類だけは除外されてたから、ウサギの長い耳を翼に見立てて鳥として食べたらしいね
    その名残でウサギの数え方に「羽」がある

    • +16
    1. >>3
      ウサギは羽鷺(うさぎ)の漢字を当てて鷺の仲間だから鳥だと言って食べた話を聞いた事が有る
      鷺や鶴のような水鳥は田んぼに入って魚を獲ったり、巣を作ったりして田を荒らすから駆除の名目で狩られ、その際で農民たちに食べられていた
      この行為に対しては生類憐みの令からは除外されていた事がウサギを食べる行為の抜け穴になったのでは…と言う話

      • +4
    2. >>3
      俺もまっさきに日本のウサギを思い浮かべた
      馬鹿げた屁理屈よ…

      • +3
  4. 似たような話だと、キリスト教では幾つかの害虫を破門して事態の収拾を計らおうとしたことが中世にはあったらしい。

    • +4
    1. >>6
      イナゴに至っては魔王アバドンの眷属として扱われてたな
      きっと戦争よりも恐ろしい存在だったのだろう

      • +4
  5. その程度の信仰心なら辞めればいいのに…。

    • +8
  6. そう言えば、白身と赤身の魚で食べて良いか悪いか、別れてたのはキリスト教じゃ無かったっけ?

    • 評価
  7. うさぎは「とぶ」から鳥、カピバラとビーバーは泳ぐから魚。
    今後のためによく覚えておくことにします。

    • +7
  8. 天動説もそうだけど信仰が全ての中心なのってホント無茶だなって思うわ

    • +1
    1. >>13
      特定の宗教でなくても、部外者から見て無茶だろうと理不尽だろうと、属する地域やら組織やらの価値観やルーティンへの執着が強い人は多いやん
      それが既存の宗教からくるものなら信仰と呼ぶけど、かつて大きな普遍性があったのがそれぞれの地域の宗教だったというだけで、なんらかのルールや思い込みに縛られたがったりお墨付きを求めたりするのが人間なんだと思う

      • +11
  9. 「猫は液体」のときはもっと和やかに、満場一致で採決されたよね たしか

    • +6
  10. いつの時代も肉禁止にされると逃げ道が確保されるのは本能なんでしょうね
    採食家の方がチートデイ(反則日)で自己ルール設けるみたいに

    • +6
  11. 理由は違うもののこういった事例は他にもありますね。

    「ハチは何類?」と聞かれたら、ほとんどの人は「昆虫類」と答えるでしょうが、なんとカリフォルニアの高等裁判所で「ハチは魚とみなせる」との判決が下された例があります。
    その不可思議な裁判を起こしたのは地元の公益団体。
    カリフォルニア州の魚類狩猟委員会に対して「絶滅危惧種法で危惧種と指定されている生物リストにハチ4種を含めてほしい」と要求したとのこと。
    しかし、この絶滅危惧種法はもともと魚のような水生動物を想定しているから、ハチを含めるのは難しい。
    そこで、公益団体は同法が定める「魚の定義の不備」を逆手に取って勝訴した。

    【絶滅危惧種法の定義】
    野生の魚、軟体動物、甲殻類、無脊椎動物、両生動物、あるいはこれらの動物の一部分、稚魚、もしくは卵

    どういう事だろうか?

    「魚の定義に無脊椎動物が含まれるなら、同じく無脊椎動物のハチも魚、つまり保護対象だ」と訴えた。
    こじつけのような主張だが、カリフォルニア州の高等裁判所はなんと、これを支持。「特定の条件下において、ハチは魚と法的に認められる」との判決が出た。
    ちなみに、今回の裁判の背景にはミツバチを保護する目的があったらしい。
    というのも、ミツバチは農作物の受粉に欠かせない存在であり、もし絶滅してしまうと食糧生産が困難になるというのは有名な話。
    裁判官の機転を利かせた粋な判決といえそう。

    • +1
  12. カトリック信徒だけど興味深い記事ですね。
    南米の一部の国では今でもモルモットやカピバラを食べるようで、高地で家畜が飼えない地域だと天竺鼠科の動物を食用として飼育するそうです。なお野生のカピバラは禁止らしいです。
    要するに貴重なたんぱく源なんですね。

    四旬節に肉を食べないと元気も出ないし、体力勝負の日々のお努めにも影響が出かねないということでしょう。
    ちなみにいまは健康上の理由から厳しい断食はなくなりました。

    • +7
    1. >>27
      クジラ= 魚
      イノシシ=クジラ
      つまりイノシシ=魚ということか。

      • +3
    2. >>27
      分類学の始まり以前は”人為分類”と言われる人間の気分でわけていた時代ですからね。鯨なんて水の中で泳いでいるわけだからお魚さんです
      いまでは”自然分類”といわれる動物の性質で分類していこうという近代的な「分類学」という学問が発生したのが18世紀ごろからですね
      近年は分子系統学といわれるDNAを分析することで分類する流れが主流となっていますが、それもここ20年とか30年とかそんなもんですわ

      ちなみにその流れでわかったことは鯨の姉妹系統はカバです。しかもカバさんは一度海に出てみたけど陸生に戻った模様

      • +2
  13. 面白い記事だけど数百年っていうのはせめて300年以上に使ってくれ

    • -4
  14. お、美味しいのかな…そこが気になる

    • +2
  15. そうか、いきものがかりでビーバーの話を読んだんだった

    • 評価
  16. 神はネズミを魚として創造したのか?ww

    • 評価

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