
人々が腰かけるベンチ、土で作られたかまど、生ごみが残された貯蔵壺、食料を冷やす冷蔵庫に相当するジーアという土の壺など、驚くべきものが残っているのが見つかったのだ。
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イラクの古代都市国家「ラガシュ」
現在、テル・アル・ヒバとして知られるラガシュは、古代メソポタミアにあった都市で、4900〜4600年前にでき、3600年前に放棄されたと言われている。南西アジアでもっとも古い都市のひとつだ。湿地帯の都市ラガシュで発掘調査が始まったのは、40年以上前のこと。最近はコロナパンデミックで中断していたが、2019年に再び発掘が始まった。

最新技術を駆使しての発掘調査
新たな調査では、ドローン撮影や赤外線画像、埋蔵物の磁気強度を測る磁力計、外科的に正確な発掘技術であるマイクロ層位サンプリングなど、最先端の技術が活用された。堆積物コアの抽出は、何千年にもわたる生態系の発達を研究するのに役立っている。
6000年前、ペルシャ湾の河口は現在よりも241キロ北西にあった。その近くには、ギルス、ラガシュ、ニギンという3つの集落があり、合わせてラガシュの都市国家を構成していた。
3つの集落は、150年以上にわたって、豊富な資源をもつ強力な政治勢力として、統一されていた。ラガシュは、現在のバクダッドの南東321キロのところにあった。
ペンシルバニア大学教授で、ラガシュ・プロジェクトの監督者ホリー・ピットマンは、次のように語る。
ラガシュは、450ヘクタール以上の広さを占める、第3千年紀のイラク南部最大級の遺跡で、この場所は、政治的、経済的、宗教的に重要な場所でした。
肥沃な土地へのアクセスが容易で、人々が工芸品の生産に集中的に取り組んでいた、重要な人口中心地だったのです

4700年前の居酒屋の跡地を発見
ペンシルバニア大学とピサ大学による最新のラガシュ発掘調査は、5000年前に都市部に住んでいた一般の人々の生活に焦点を当てて行われた。庶民が住む界隈の一角を発掘していたとき、焼けた構造物が見つかった。このあたりではこれまでも、焼けた粘土の窯がいくつか発見されていたが、今回は少し構造が異なり、かまどであることが判明した。
このかまどの近くには、壁、ベンチ、棚があり、棚は崩壊していたが、かつては4段になっていて、たくさんの食器が積み上げられていたと思われる。
部屋の反対側には、大きな壺と陶器の破片の層でできた大型の円形の構造物があった。
ピットマンは、地面に半分埋もれたこの構造物が、食料や飲み物を冷やすために地下に壺を埋めて作った冷蔵庫ジーアだと気がついた。

発掘チームは、ここは紀元前2700年の居酒屋(大衆食堂)だと気がついた。
ピットマンは、すぐにここをタバーン(居酒屋)と呼んだという。壊れた棚にあった鉢の中からは、魚や鳥の骨が見つかった。ほかにも、この食堂ではビールやパンも提供していたことだろう。

周辺の発掘では、通り、路地、家、陶器の窯が見つかっていて、2022年秋の発掘では、粘土の印章、石器、トークン、ビーズ、瓶の栓や、およそ3万7000もの陶器の破片など、たくさんの遺物が出てきた。
この4700年前の居酒屋から、古代シュメールの市井の人たちの生活を垣間見ることができるという。「本当にすばらしい発見です。私たちは興奮を抑えきれませんでした」ピットマンは語る。
漫画「異世界居酒屋のぶ」をおもいうかべてしまったのは私だけではないはずだ。
References:4,700-Year-Old Tavern Serves Up Surprises in Ancient Lagash, Iraq / written by konohazuku / edited by / parumo
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コメント
1. 匿名処理班
やっぱり「忘れてしまいたいこと」や「どうしようもない寂しさ」ってやつがあったのかねぇ
シュメールにも
2. 匿名処理班
ギルガメシュ王とエンキドゥの御用達の店だったりして
3. 匿名処理班
貨幣社会がないと常設の飲食業は発達しないように思うが
兵舎とかじゃないのかね
4. 匿名処理班
くっそータイムスリップして飲みに行きたい。
5. 匿名処理班
ハンムラビ法典にも居酒屋については商売、商人に
関する条項に名指しで出てくるくらいなので、
広く行われていた商売だったんでしょうね
6. 匿名処理班
つまり、放棄される前後に森が後退したのかな。今の荒野という惨状を見るに。
7. 匿名処理班
>>2
ギルガメシュは都市国家ウルクの王、ラガシュはウルクから約百キロほど離れたところにあった都市国家
ギルガメシュはおそらく紀元前2600年頃の王が伝承の元になった可能性があって、今回の遺跡は紀元前2700年頃なので約百年近い差がある
織田信長が江戸の蕎麦屋に入り浸ると言うようなもの
8. 匿名処理班
放棄された町の居酒屋か
ゴミとか稼働してた痕跡が残ってるみたいだけど急に立ち退いた感じなんだろうか
9. 匿名処理班
食器や竈門からは、何か突然遺棄されたように見えるな。
何があったんだろう。
10. 匿名処理班
やっぱ居酒屋ってより居酒場って感じだったんかな
今みたいに中に入るんじゃなくてオープンテラスみたいなスタイルが主流だったみたいだし
まあしらんけど
11. じょん・すみす
>>3
遺跡から遺物として”トークン(硬貨の様な物)”が見つかってる様だから、
貨幣経済もある程度は発達していたのかも知れない。
12. 匿名処理班
>>7
まあまあ、創業100年オーバーの店が実際にあったりするし、この居酒屋が100年以上続いた老舗ならワンチャンと考えるのもロマンってものではないですか?w
13. 匿名処理班
>>6 お店用のワインや食べ物の原料が育つ環境に見えず、
よそから運び込んだのかと思ったら、
そういう事なのかな。。。?
14. 匿名処理班
こ〜ん夜も〜 やって来るのは〜 ちょっと疲れたぁ〜〜 男たちぃ〜〜♪
15. 匿名処理班
当時の記録が残っているわけじゃないし居酒屋ってのは憶測でしかないよね
大人数で住んでただけかもしれんし
16. 匿名処理班
メソポタミアの料理の再現レシピの本もあるらしい
17. 匿名処理班
日干し煉瓦は風化して土に還ってしまったのか… クセノポンがメソポタミアを縦断したBC400頃は放棄された都市の遺構があちこちに残っていてギリシア軍や現地人に避難所や野営地として利用されていたとある。
18. 匿名処理班
>>12
単に、メソポタミア関連だとギルガメシュ叙事詩しか知らないから安易に結びつけてるだけで、不可能をそういうのはロマンではなくただの荒唐無稽
19. 匿名処理班
>>3
古代メソポタミア文明は、既に貨幣流通してるよ。
商人同士の諍いの裁判記録とかも出てたよね。
20. 匿名処理班
>>7
紀元前2600年よりも紀元前2700年の方が古い
つまり織田信長が室町時代初期の店に行くようなもの
21. 匿名処理班
>>15
発掘に携わってる専門家なら住居なら住居だってわかるわ
そういうものとは出土品や構造が明らかに違うっていう話だろうが
22. 匿名処理班
>>20
五代将軍綱吉も通った、信長公の安土城!
とか言われてもハァ?ってなるよね。100年違うんだもんよ。