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2300年前の銀貨を発見。アラブの古代都市の国際貿易を物語る

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(著) (編集)

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Photo Credit:Sharjah Archaeology Authority
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 それは、ごく普通の古代の壺のように見えたが、アラブ首長国連邦(UAE)の考古学チームが重さを測ってみると9キロもあった。中にはなんと、2300年前の貴重な銀のコインがどっさり入っていたのだ。

 ペルシャ湾とオマーン湾両方に面したUAEの首長国のひとつ、シャルジャの古代都市ムレイハの遺跡で発見されたこの壺とコインは、紀元前300年にさかのぼるもの。

 ムレイハは、古代の貿易と経済の中心地で、アラビア半島はもちろん、遠くペルシャやメソポタミアにも影響を与えた古代都市だった。

 この銀貨が特別なのは、紀元前3世紀ごろから、ムレイハで鋳造され流通していた古代コインの多くが、アレキサンダー大王と彼のセレウコス朝の後継者たちのコインに刺激を受けたものだからだ。

古代都市ムレイハと鉄器時代文明とのつながり

 アラブ首長国連邦、シャールジャ首長国の考古学局長のサバ・アブド・ジャシム博士によると、これら銀貨は2021年2月に地元の考古学チームによって偶然発見されたという。

 研究室で壺をスキャンしてみたところ、409枚の銀貨が納められていることがわかった。それぞれのコインは重さ16~17グラムだという。

 すべて、紀元前510~38年頃に地中海周辺で広く流通していた古代ギリシャのテトラドラクマ(4ドラクマ銀貨)で、409枚のうち387枚は片面鋳造コイン、22枚は両面鋳造コインだった。

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アラブで最近発見された409枚のムレイハ銀貨 / image credit:Sharjah Archaeology Authority

 初期のコインには、アレクサンダー大王で表わされたヘラクレスの頭部や、玉座に座る神ゼウスが描かれている。さらに、ギリシャ文字で”アレクサンダー”と刻まれていたが、のちのコインは、それがアラム語で”アベル”の名に替わっている。

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3枚のムレイハ銀貨のクローズアップ / image credit:Sharjah Archaeology Authority

13万年の人類の歴史をもつ古代都市ムレイハ

 ムレイハ考古学センターは、およそ4500年前のウム・アル・ナール時代に作られた埋葬地付近に建設された。

 しかし、ムレイハ周辺では、13万年前の旧石器時代にさかのぼる考古学的証拠が発見されている。これは、現生人類がアフリカから北へ移動し始めてまもない頃だ。

 ムレイハ地域に、初めて農耕の痕跡が現われたのは、およそ1万1000年前のこと。いわゆる、メソポタミアの古代文化「ウバイド文化」や「アラビアン・バイフェイシャル(Arabian Bifacia)l」といった伝統が、紀元前5000年から3100年の間に繁栄した。

 ムレイハ銀貨は、イスラム以前の時代に鋳造され、この銀貨が詰まった壺は、野菜や穀物の取引に使われたものと考えられる。

その理由は、考古学的にこの地域では、農耕のための地下灌漑システム”ファラジ”が開発され、広く普及したことで知られているからだ。この独創的な配水システムによって、ムレイハの住民は多くの作物を栽培し、幅広く販売することができたのだ。

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ムレイハ考古学センターは、4500年前のウム・アル・ナール時代の埋葬地付近に建設された / image credit:Alexandermcnabb / CC BY-SA 4.0

古代世界の貿易地図にしっかり足跡を残したムレイハ

 紀元前3世紀のこうしたコインが発見されたことで、ムレイハが古代の主要な商業中心地であったことが証明された。

 アラビア半島の南北を行き来する交易団は、シャールジャ首長国の中心にある資源豊かなオアシスとしてのムレイハの戦略的立地を重視したに違いないと思われる。

 サバ・アブド・ジャシム博士によると、ムレイハの銀貨を調べているうちに、アラビア湾岸地域で発見されたほかのコインとデザインが似ているものがあることに気づいたという。

 それぞれのコインは、これまでに発見されている類似のコインと比べることができるが、今回見つかった銀貨は、この地域で発見されたどのコインよりも、より広範囲で使われていたと考えられるという。

References:Jar filled with rare silver coins from 3rd century BC unearthed in the Emirate of Sharjah – The Archaeology News Network / UAE’s 2,300-year-old Mleiha Coin Hoard Reveals International Trade | Ancient Origins / written by konohazuku / edited by parumo

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この記事へのコメント 20件

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  1. 日本がどんぐり採集が最先端だった頃に銀貨を使ってたのか。凄すぎるな

    • +6
    1. ※3
      2300年前は弥生時代に入っているよ。
      どんぐりもそうだけど、栗が重要な位置を占めてた。
      栗の木の栽培が盛んで色んな種類の栗があったり、
      どんぐりだと粉状にしてからクッキー形に焼いたりしてる。

      • +6
    2. ※3
      縄文時代も長いけど、2300年前の末期なら
      翡翠や琥珀などを交易していた形跡があるよ。

      • +6
  2. 神武天皇が即位したのが2681前で当時でも日本の文明文化は飛び抜けていたんだけど、
    やっとその300年後にこのような貨幣の鋳造が外国でも可能になったということは日本の
    鋳造技術の伝播に300年を要したという傍証で興味深い。

    • -16
    1. ※4
      ネタにマジレスで申し訳ないのだけれど、
      世界最古の鋳造貨幣はアナトリア半島のエレクトロン貨
      紀元前7世紀の作だから大体4コメのと同じ年代

      • +4
    1. >>5
      ずっと壺の中に入ってからだと思う。

      • +2
    2. ※5
      酸化するための酸素が少ない状態だったのかもね(一部変色してるのもあるが)

      • +1
  3. 地面の下から大量に埋められた金貨や銀貨(貴金属)が発見されたりするけど
    防犯の為に埋めたり逃げる時に後から掘り出そうと考え埋める
    しかし大抵は跡継ぎに伝える暇も無く命を失ったり
    戦利品として所有者が連れ去ら埋まったままになるんだよな…

    • +2
  4. おっとこれは出羽守様方がはりきっちゃうな

    • -3
  5. アベルってことは、それまでのギリシア人からユダヤ人に発行主体が移ったってことかね
    まだキリスト教やイスラム教には時代が早すぎるようだし

    • +1
  6. 古代ローマのコインは刻印がズレまくりだったが(バリ取りしろや・・・)こっちは精度高いな

    • -1
    1. ※13
      今の硬貨と違って素材そのものが価値の担保だから、ずれても別に問題ないしバリ取りなんか以ての外だよ(価値が減る)

      • +5
      1. ※17
        工芸の技術は特級で道具は寸分の狂いなくバリなく作れるのに
        コインの雑さは何故なんだ
        コイン=皇帝のアピール=次のアピールを打つためすぐに改鋳=雑でもいいや なのか?

        • 評価
        1. ※18
          「日本人は几帳面なはずなのに印鑑がズレてたりかすれたりしてても平気なのは何故なんだ」って問うようなものだよ
          答えは、そんなことは重要だと思われなかったから

          硬貨で重要なのはそれが貴金属で出来ているってことであって、打刻された模様はたんに誰が発行してる通貨かってことを示す目印に過ぎない
          ハンコ文化の押印が、たんに誰が了承しましたよってことを示すのが大事であって、そのハンコの押し方がどうとかキレイとかは大して意味がないのと一緒

          • +2
  7. 硬貨をぶつけてどんな音がするのか聞いてみたい。銀の澄んだ音に古代人のささやきが混じっているのだろうか(BGM:Civ6のテーマ曲)

    • +5
  8. 見た目でサイバーフォーミュラのサイバーナビ思い出した

    • +1

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