
ヘラクレイオンは紀元前6〜4世紀に栄えた都市で、古代エジプトの太陽神「アメン神の大神殿」があった。
のちのファラオ王朝後期に、ギリシャ人がここに定住し、古いアメン大神殿のまわりに独自の宗教聖域を作ったが、紀元前2世紀末に起こった度重なる地震と津波のために完全に崩壊した。
この古代遺跡が発見されたのは約20年前と最近のことだ。ここ数年、様々な遺物が発見されている。考古学者は最近、古代エジプトの軍用船の残骸と、ギリシャの埋葬施設を発見したという。
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海に沈んだ古代都市から軍用船や埋葬施設を発見
水没した古代都市ヘラクレオンとカノープス(古代エジプトの港町)は、水中考古学欧州研究所(IEASM)が主導する、エジプトとフランスの合同ミッションによって約20年前に発見されたものだ。以来、新たな宝が続々と発見されている。エジプト文化省の考古最高評議会事務局長のモスタファ・ワジリによると、最近では、この水没都市から、軍用船の残骸や埋葬塚、美しい絵の描かれた埋葬施設が発見されたという。

古代エジプトの軍用船は地震で沈没した
フランスの水中考古学者、フランク・ゴディオによると、アムン神殿の南側を流れる主要な運河で、全長25メートルの軍用船が見つかったという。紀元前2世紀末にこの壊滅的な自然災害が起こったとき、この船はアムン神殿から巨大な石のブロックを運び出している途中だっと考えられている。
観光考古学省のエジプト考古学部門責任者アイマン・アシュマウィによると、最先端のサブボトムプロファイラーという電子機器のおかげで、この船の存在がわかったという。
この船は、神殿の瓦礫と混ざりあったおよそ5メートルの固い粘土層の下に埋もれていた。地震が起こったとき、巨大な石のブロックが船から落ちて、それが船の沈没につながったと考えられる。
しかし、その巨大な石のせいで船が深い運河の底にうまいこと固定された形になり、時の流れとともに沈泥が船に入り込み、すっぽり包み込んで、この宝が守られたのだ。

軍用船には、大きな帆やオール、底が平らなキールが備えられていて、こうした設計は風のないナイルデルタや、ナイル川の浅瀬を進むのによく適しているという。
船体は、古典的な伝統に基づいて建造されているが、典型的な古代エジプトの造船技術も使われている。船はほぞ穴とほぞの長い接合部と、十分に発達した内部構造に支えられていて、再利用された木材が使われていることから、この船がエジプトで建造されたことがわかるという。
古代エジプトの失われた都市、ヘラクレオン Ancient Egypts Greatest Lost City - 720p
ギリシャの埋葬塚も発見
この軍用船がで話題になっている間、ヘラクレイオンの別の場所を発掘していた考古学者たちが、運河の北東の入り口に沿って広がっているギリシャの埋葬塚を発掘した。この大規模なギリシャの埋葬地は、"紀元前4世紀の初年にさかのぼる豊かな寄付金で覆われている"と言われている。
ナイル川カノープス支流の河口、現在は水中に眠る古代トニス=ヘラクレイオンの、エジプトへの入り口を支配していたギリシャ商人の豊かさを見事に表している。

References:Underwater Military Ship and Burials Found at Thonis-Heracleion, Egypt | Ancient Origins / Archaeologists find ancient Egyptian warship sunk near Alexandria | Ars Technica / written by konohazuku / edited by parumo
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コメント
1. 匿名処理班
砂州の上に作られた街って地震に弱いよね。
日本にも瓜生島の話が残ってるし。
2. 匿名処理班
地震で液状化→沈降・水没のコースか。儚いね……。