
Christoph Gerigk/Franck Goddio/Hilti Foundation
古代エジプトの都市ヘラクレイオンは、かつて貿易港として栄えた町だったが、現在は、地中海のアブキール湾沖に沈んでいる。この海底都市は約20年前に発見されているが、ダイバーたちによる最近の発掘によって、おそらくこれまでで最高といっていい新たな発見があった。
最新の水中探索で、エジプトとヨーロッパの専門家たちが海の底で新たに見つけたのは、巨大な神殿遺跡、そして、数隻の船に積まれた硬貨や宝飾品などの財宝だ。
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Egypt’s Atlantis: Major Discoveries at the Lost Sunken City of Heracleion | Ancient Architects
精度の高いスキャニングツールで続々と発見
ヘラクレイオンの水中探索に最初からたずさわっている考古学者のフランク・ゴッディオは、アムン・ガープと呼ばれる町のメインの神殿の石柱を発見したと考えている。さらに、より規模の小さいギリシャ神殿も見つかっている。魅力の尽きないこの海底遺跡が初めて探索されてからずいぶんたっているというのに、これらのすばらしい宝の数々は、何千年もの間、積み重なった泥や堆積物をふるいにかけたかのように現れた。まだまだ秘密が隠されていることがわかる。
こうした発見が可能になったのは、高精度なスキャニングツールのおかげだ。海底の堆積物に埋まって見えないものでも、識別することができる。
衛星測位、ソナー(音響探索)、核磁気共鳴装置、サイドスキャンソナーなどの最新機器から得られた地球物理学的データをまとめて総合的にスキャンを行った結果、これまで存在が知られていなかったいくつかの港をヘラクレイオン近くで発見した。
こうした情報をふまえて、考古学ダイバーたちは再び水中に潜り、遺跡をさらに間近で調べてみた。すると、神殿のそばに沈むいくつかの船の残骸から、紀元前283〜246年のプトレマイオス2世統治時代の銅貨、陶器類、宝飾品、保存用の器などが次々と発見された。
また、ビザンチン時代の硬貨が出てきたことから、この町は少なくとも紀元前4世紀から人が住みついていたらしいことがわかった。また、前回の発掘で見つかっていた儀式用の船の欠けていたパーツも発見された。

Christoph Gerigk/Franck Goddio/Hilti Foundation
さらに、近隣の水没都市カノープスでも発見があった。カノープスは1933年にイギリス人パイロットによって発見された古代都市だが、プトレマイオス時代とビザンチン時代からの硬貨と、プトレマイオス時代の指輪やイヤリングが出てきたのだ。
謎が解明される時が近づいてきた
トロニスとしても知られるヘラクレイオンは、紀元前8世紀にナイル川のほとりに建てられたと考えられている。英雄ヘラクレスがかつてここを訪れたことからその名がつき、俗にエジプトのアトランティスとして知られている。これまでに発掘で発見されたものを見ると、この町の美しさや栄光、巨大神殿の壮麗さ、歴史的証拠の豊富さはとても良くわかる。
なぜ、この都市が海中に沈んだのかは謎のままだが、少なくとも1000年前に、海面の上昇、地殻活動、地盤の崩壊などによって、都市全体が地中海に滑り落ちたと考えるのがもっとも有力な説だ。
現在、深海考古学者のチームは、科学誌に発見をまとめた論文を発表する準備をしている。これまでヘラクレイオンについては5%ほどしか明らかになっていなかったという。次にこの都市がどのような姿を見せてくれるのか、楽しみだ。
References:Divers Uncover Ancient Temple Submerged Within The 'Egyptian Atlantis'/ written by konohazuku / edited by parumo
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コメント
1. 匿名処理班
金で出来た宝飾品や硬貨は学術誌とかに発表せずにくすねていそう
2. 安房守
20年くらい前にやはりエジプトでナポレオン・ボナパルトの行ったエジプト遠征で乗っていた旗艦オリアンが発見されて、途中敵対していたマルタ島のマルタ騎士団から接収した金銀財宝や備砲やらが陸揚げされたと新聞に載っていたな。エジプトは掘れば何かしら出てくる。(アブキール湾でネルソン艦隊に捕捉され、激戦の末フランス艦隊は全滅。オリアンは爆沈。ボナパルトと陸軍は暑さにうだりながら、カイロへ前進していた。)
大英博物館やルーブル美術館は、盗掘・収奪したものが陳列されている。(当時は止む負えなかったが)
3. 匿名処理班
ビザンチンで紀元前?
4. 匿名処理班
特別番組を、渡辺徹さんのナレーションで撮ってください!
5. 匿名処理班
割と真面目に、こう言った国際的、国宝的なものを
個人(トレジャーハンター的な人たち)が発見した際は、
報奨的な物はどうなるんだろう。その土地の国に買いあげて貰う形になるのかね。
6. 匿名処理班
水中考古学は魅力的だな〜
7. 匿名処理班
>>1
人の想像力は、自らの枠に収まるって事かな。
8. 匿名処理班
>>5
国によるね。日本だと基本拾得物扱いで、警察などに連絡、所有者が現れなければ6か月後に土地の所有者と折半だったかな?
イギリスは王室がお買い上げー。
9. 匿名処理班
フランク・ゴッディオさん!!
中学の英語の教科書に載ってた!
10. 匿名処理班
高校の教科書だったかも
11. 匿名処理班
アサクリオリジンズを思い出すな
12. 匿名処理班
※5
法律によりけり 日本でトレジャーハンターが生業にできないのはコレが大きい
13. 匿名処理班
※8
出てきたものによる
日本の場合は国が半分、残り半分を土地の所有者、所有者から1/4が発見者が貰えるってかたち
ただたちが悪いのはお宝が出た場合維持、管理、発掘、調査(年単位)に必要な費用は土地の持ち主と発掘した人(会社)が強制的に支払わなければならなくなるし、文化財以上の価値があった場合は販売が禁止される事が多い
この法律のせいで遺跡が出てきても壊されたりすることが多い
基本的に数億のお宝が出てきてもその数倍の費用を強制的に払わされるからね
14. 匿名処理班
こういうのめっちゃ見てるとワクワクする
15. 匿名処理班
聖書の話を神話だとして信じない人達に見せしめの証拠となるのが考古学の発掘です。