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遺伝子操作した水草が持続可能なバイオ燃料源になる可能性

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(著) (編集)

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 アメリカの研究グループは、ムラサキコウキクサという水草の遺伝子を組み替えて、大豆の7倍のバイオ燃料を生産することに成功したそうだ。

 現在、バイオ燃料生産の主役はトウモロコシや大豆などだが、これらは大事な作物だ。燃料を作るために、畑を奪ってしまうのでは何かがおかしい。

 だがムラサキコウキクサは池で成長する水草なので、そのような心配はない。しかも燃料生産をするついでに、廃液まできれいにしてくれるという一石二鳥な植物であるそうだ。

 多大なるポテンシャルを秘めた水草。未来のバイオ燃料の生産現場といえば、水草をイメージするようになるかもしれない。

遺伝子操作で脂肪を蓄積させ燃料の量を大幅アップ

 この研究は、米ブルックヘブン国立研究所とコールド・スプリング・ハーバー研究所の研究者らは、「ムラサキコウキクサ(Lemna japonica)」という水草の仲間に、バイオ燃料の生産をアップさせる遺伝子を組み込み、人工のコウキクサを作り出した。

 バイオ燃料とは、生物体(バイオマス)を利用した燃料のことで、バイオマス発電や航空機、自動車、船舶など幅広い機械の燃料として使用できる。

 組み込まれた遺伝子は1つではなく、いくつか種類がある。

 そのうちの1つは、「脂肪酸」をたくさん作るようにするためもの。また別の遺伝子が、脂肪酸を「トリアシルグリセロール」(動物の脂肪の9割以上を占める中性脂肪)に変える。

 さらに別の遺伝子が、植物組織に蓄えられたトリアシルグリセロールをコーティングして劣化から守る。

 これら遺伝子の連携のおかげで、人工コウキクサは乾燥重量のほぼ10%の脂肪を蓄積することができ、その蓄積スピードは天然のコウキクサの100倍もある。

 そこから得られるバイオ燃料の量は、大豆の7倍。コウキクサはもともと池などに繁殖する水草なので、バイオ燃料用大豆のように畑を奪ってしまうこともない。

 それどころか、養豚場や養鶏場からの廃液で栽培すれば、余分な栄養分を吸い取って水をきれいにしてくれるだろうという。

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ムラサキコウキクサでバイオ燃料の生産に挑むリャン・ユアンシュエ博士/Brookhaven National Laboratory

植物の成長を邪魔しないアイデア

 この人工コウキクサを開発するには、1つ難題があった。

 それはバイオ燃料の生産をアップさせつつ、どうやって植物を成長させるのかということだ。一般に、脂肪酸の生産をアップさせる遺伝子は、植物の成長を邪魔してしまう欠点があるのだ。

 これを防ぐために、今回の増産遺伝子はとある別の遺伝子と組み合わされている。この遺伝子を「プロモーター遺伝子」といい、遺伝子のスイッチを切り替える役割がある。

 プロモーター遺伝子は、水に特殊な薬品を混ぜたときにだけ活動する。だからコウキクサがきちんと成長するまでは、プロモーター遺伝子を働かせて増産遺伝子のスイッチを切っておく。

 そして十分大きくなったら、プロモーター遺伝子を眠らせて、バイオ燃料をたっぷり生産させるのだ。

 研究チームは現在、産業スケールでバイオ燃料を生産する方法を模索しているとのことだ。

 この研究は『Plant Biotechnology Journal』(2022年10月9日付)に掲載された。

References:Engineered duckweed could be a more sustainable source of biofuel / written by hiroching / edited by / parumo

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この記事へのコメント 45件

コメントを書く

  1. 自然に流出したらえらいことになりそうだけど、完全な管理下に置けるなら良さそう

    • +5
    1. >>1
      バイオ燃料源がバイオテロ源にならない事を祈りたいですね

      • +5
    2. >>1
      大量発生して湖面を庇い枯れた浮草から出た油脂が膜を張って死の湖に…

      • 評価
    3. >>1
      それなりの広さの池でないとまとまった量を確保できないだろうから
      流出を完全に防ぐのは困難だと思う。
      ウキクサ類は水鳥の体にくっついて分布を広げたりもするし
      大雨で流れ出ることもあるだろう。

      それこそ人間の管理下でないと生きられないよう遺伝子操作でもしないと
      ほぼ確実に自然界へ広がるんじゃないかな。

      • +2
      1. >>17
        ウキクサとは違うけど昨今何かと話題に上がる昆虫食
        コオロギやセミなど以外にもゴキブリも食用として企業側は着目しているのですが
        昆虫養殖工場で大量育成された時に地震などの災害で建物が壊れ
        そこから逃げ出した昆虫たちが世の中に大量に放たれる可能性もあるわけです
        そうなった場合に自然界の生態系が著しく破壊されるのですよ

        • -1
        1. >>26
          昆虫を養殖する場合は極力その地域の在来種を育てるようにすべきかもね。

          • 評価
  2. そういやオーランチオキトリウムはどうなったんだ?とググってみた
    コスト問題を解決できる目処が立たずに研究断念してたか…
    この浮草は果たして…?

    • +8
  3. なんか前にもこんな話があった気がするけどその後どうなったか聞いたことがない、もし可能性がある話だとするとエネルギー界隈の大手企業から圧力とか掛かってダメにされそう。

    • -2
  4. 自然の中でも突然変異が発生する確率は常にあるので
    突然未知の生物が大発生する可能性も常にあるんですよ

    人間の手が加わった変異だけを危険視するのは感情的な忌避であり
    理性的な判断ではないと思いますよ
    人間にとって有用な品種の作成や改良は大いにやるべきです

    • +2
  5. トウモロコシや大豆が大事な作物って
    撒いて育てなきゃただの種だろうに

    • -13
    1. >>7
      もう君は、トウモロコシも大豆食品も食わなくてよし!

      • +1
    2. >>7
      作付可能面積には上限値があるとか。いまは作付け可能な耕地が減っているとか
      そのおかげで世界的な食糧難の引き金の一つになっているとか
      そういう現状を知らないと頓珍漢な発言になるのかな?

      • +1
  6. 本当にエコだったりこういう既存のエネルギー利権潰しそうなのってなぜかフッと消えていくんだよね

    • -2
    1. >>8
      西側石油利権はこういったバイオ燃料には多額の研究費を出し続けているよ
      だって実際に石油を算出しているのは自分達じゃないからね
      50年以上前から連綿と研究が続けられてきてる
      品種改良から遺伝子操作種へと、主流は変わったが
      だから安心していい、この件に関してはフッと消えたりしない

      • +1
  7. 燃料源のすげ替えとかマジでどうでもいい
    効率よくエネルギー取り出すにはモーター、ピストン周りの技術革新が絶対条件
    開発リソースはそっちへ割くべき

    • -17
    1. >>10
      ふつう、有限でいずれ無くなるものの代替えを探すほうが先ではないの?

      • +2
      1. >>13
        横からな上にスレ違いだけど
        ほぼ無限な資源である「石炭」を悪者扱いにした社会があってね・・・しかも盲目的に批判するという魔女狩り

        • 評価
    2. >>10
      門外漢の君が黙ってるのが1番だよw

      • +5
    3. >>10
      なんでこんなに世界中が必死になって代替燃料探してるか知らんのかきみは…

      • +7
  8. アメリカでやばいことになってるクズ(植物)を使えるといいと思う
    ゴミ処理も出来、一応は食品なので環境にも悪くないはずだ

    • +2
    1. >>11
      くず粉高いぞぉ。一儲けできんかな。

      • 評価
      1. >>16
        なぜ高いのか考えれば大体わかるだろうけど、葛粉にするまでの手間がすごい

        • +5
        1. >>18
          ちとググってみた
          収穫時期は冬限定、収穫した根っこを粉砕→絞ってでんぷんのみ抽出、何度も水に晒してアク抜き…だけどこのアク抜きが一日1回が限度、最後に乾燥機に突っ込んで乾燥
          本葛はこの収穫から乾燥完了まで3~4ヶ月…
          値段の高さに頷けるっつーかもう少し高くてもおかしくね?って感じがするな

          • +4
          1. >>23
            だから片栗粉のわらび餅よりも、吉野の本葛を使ったわらび餅はクッソ高いのか。美味いけど。

            大雑把なアメリカ人には、こんな根気のいる工程で葛粉を作れないだろうから、日本に格安な値段で払い下げてくれ。

            • 評価
          2. >>23
            なんか機械化できそうだけどね
            開発費かけるほど需要がないか

            • 評価
  9. 色々、話題に出て来るけど大量生産が難しそうだね

    • +1
  10. 故勝也さん肝いりのオーランチオキトリウムはどうなった

    • 評価
  11. 遺伝子操作した影響で人工操作した種の爆発的増殖で頭を悩ませそうな予感
    人工的に遺伝子操作した魚の例があるだけに

    • -1
  12. みんな泣きそうになりながら、外来種の水草除去してるのに
    さらにこれが加わるってならなければいいけど

    大変なの、ナガエツルノゲイトウだっけ?

    • 評価
  13. 最大の問題はバイオマス自体に需要があんまりないことだ。
    ミドリムシでバイオマス作ってるユーグレナも、一応プラントは稼働してるっぽいがエネ事業としては大失敗だろう。健康関連商品の収益のほとんどをプラントが食ってしまうときいた。

    • 評価
  14. 浮草はコントロールできない環境破壊になる…というかすでになってる
    植物なら破壊にはならない、生き物なら、そんな雑な理屈を使いがち

    • 評価
  15. そもそもなんで万年電力不足なんだと考えてみたら、何でもかんでも電気で動かすからでしょ?
    電動自動車やオール電化の家やスマートシティみたいな。
    CO2削減とかいうけど、車から出ないだけで発電所で出てるし、原発は最終処分場がない「トイレのない高級マンション」だし。
    電動自動車やオール電化やスマートシティでバンバン使うから足りないんでしょ?なのにそれらには縁がない人達が「節電」させられてる。
    どれだけ省エネ家電を買っても、使わないコンセントを抜いてもまだまだ節電しろと。

    このまま電力依存が加速していよいよもうどんなことしても世界中でこれ以上は発電出来ませんよってところまで人類はいくのかな?

    • 評価
    1. >>39
      電気が最も高効率だからだよ
      他のエネルギー源では無駄が大きい

      • -1
      1. >>41
        送電ロス考えないからそういう事を言う。

        • 評価
  16. OILIX を思い出したおっさん達は手を上げよう ( ‘o’)丿

    • 評価
  17. …2000年代の皆さん…聞こえますか…
    …水面のみならず地上に至るまで厚さ100mを越える水草の層に蓋をされた未来の地球からこのメッセージを送っています…

    • 評価
  18. Lemna japonicaということは日本産の水草なのか

    • 評価
  19. 残った残渣はコンポストで畑の肥料にすりゃいいのに

    • 評価

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