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クジラのフンが地球を救うかもしれない。海面の天然肥料として人工のクジラのフンを開発

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(著) (編集)

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 クジラのフンは海の生態系で大切な役割を果たしている。クジラのフンにはプランクトンを育むための栄養素がたっぷり含まれており、プランクトンを食糧源とする魚たちにとっての栄養にもなる。更にはその魚を捕食する魚の栄養にもなる。

 現在、インド西海岸では、鯨のフンの機能を人工的に再現しようという国際的なプロジェクトが始まろうとしている。

 うまくいけば、減少しつつある魚が回復し、地球温暖化への対策にもなると期待できるそうだ。

クジラのフンは海の栄養

 このプロジェクトは、イギリス政府の元最高科学顧問であるデビッド・キング氏と6つの大学・研究機関による国際的な取り組みだ。

 その第一弾となる今回の実験の目的は、「海洋バイオマス」の効果を確かめることだ。バイオマスとは物資源(バイオ)の量(マス)を表す言葉で、エネルギーや物質に再生が可能な、動植物から生まれた有機性の資源のことである。

 野生のクジラは、フンすることで海に栄養を与え、魚のエサになる大量のプランクトンを育んでいる。

TIL: Whale Poop Freshens Our Air | Today I Learned

人工クジラのフンで海の生態系を活性化

 ならば、クジラのフンを再現した人工フンを作って海に投入すれば、海の生物多様性を回復させられるかもしれない。

 しかも嬉しい副作用として、増加したプランクトンが大気中の二酸化炭素を吸収してくれるので、温暖化防止対策にもなると期待できる。

 そのプランクトンを食べた魚が死ねば、二酸化炭素の一部は海底に閉じ込められる(「生物学的ポンプ」という)。

 残念なことに現在、こうした生態系サービスは弱ってしまっている。

 「海の生物をもう一度増やそうとしています」と、現在はケンブリッジ大学気候修復センターの所長であるキング氏は語る。

 「この実験が最終的な答えになるかどうかはわかりません。しかし、クジラの個体数が回復して、それを生物学的ポンプとして残せるというアイデアに、大いに魅了されています」

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photo by Pixabay

もみ殻で人工フンを運ぶ

 人工クジラのフンの具体的な材料はまだ決まっていない。現時点では、鉄分が豊富な「砂」と「火山灰」が検討されている。だが大切なのは、「硝酸塩」「ケイ素」「リン酸塩」「鉄」が適切な割合になっていることなのだという。

 そして、これを工場から廃棄される焼いたもみ殻に混ぜる。するともみ殻が船代わりになって、海面まで栄養を届けてくれるという算段だ。

 ただし海洋への投棄は「ロンドン条約」によって規制されているので、これに違反しないよう今回はごく小規模の実験が3週間程度行われるに過ぎない。主な目的は、もみ殻がうまく人工フンを運んでくれるかどうか確かめることだ。

 また実験開始の時期は、天気次第であるという。しかし、これまでこの方法で年間数十億トンの二酸化炭素を封じ込められると主張してきたキング氏にとっては、重要な第一歩だ。

 今、人間は毎年400億トンの二酸化炭素を排出しており、大気中の温室効果ガスを大幅に削減できなければ、危険な気温上昇に直面することになる。

 今回のような自然のプロセスを真似するやり方を「バイオミメティクス(生物模倣)」という。

 キング氏は、こうした取り組みを、日光を遮って気候を改変するような地球工学と混同してはいけないと話す。

 それでも、海洋バイオマスで魚の個体数を回復させ、二酸化炭素の削減につなげるには、大規模に実施しなければならないことを認めている。

Thar she blows! Diver caught in whale ‘poonado’ | BBC Sounds

各国の研究機関が協力し大規模な実験が必要

 このプロジェクトは複数の大学・研究機関が参加する国際的なものだ。

 それぞれが研究する地域は異なっており、太平洋ではハワイ大学とウッズホール海洋研究所、インド洋ではインドの海洋研究所、南極海ではケープタウン大学、大西洋ではケンブリッジ大学と英国国立海洋学センターが研究を行なっている。

 プロジェクトチームは、人工フンで生態系を回復させる上での課題のほか、ガバナンス(組織における不正行為を未然に防ぎ、体制管理をするために必要不可欠な取り決め)や一般的な世論といったことをめぐる問題も研究している。

 「海に害となる恐れがない限り、こうした実験をやるべきだと思います」と、キング氏は語る。

 本格的に人工鯨糞を利用しても問題ないことがわかれば、漁獲量を増やしたい沿岸部や島嶼地域の人たちに費用を負担してもらうという経済モデルも考えられる。

 またクジラのフンを模倣して、二酸化炭素を吸収するというアイデアも研究されている。

References:Saving our oceans… with artificial whale poo – The Good News Hub / written by hiroching / edited by parumo

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この記事へのコメント 30件

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  1. 人工的に撒いたモノでそれらを最終的に食べる人間への影響がありそうで難しい

    • 評価
  2. 有名な鹿のフンならぬクジラのフン状態
    今回も某女優に歌ってもらいタモリを気絶させよう

    • 評価
  3. 戦前の日本ではヒトの屎尿を海洋投棄する汚穢舟ってのがあったんだけど、あれも海洋資源の維持に役立ってたのかもしれない。

    • +5
    1. ※5糞尿は理解が得られないだろうけど、食料や植物に限定すれば廃棄分を廃棄は出来そう。なーんにもない大海原に人工島があったらいいのにと思うけど〜 

      • +1
  4. もっといい方法がある。
    海の砂漠地帯で、深海底から堆積土ごと海水をくみ上げて海面にばら撒くんだ。海の砂漠は温暖で光に溢れている、足らないのは栄養分だけ。栄養分さえあればプランクトンが大繁殖する下地は揃っている。

    • +2
    1. >>6
      ネットで見つけた宇宙に関する偽情報の記事通りのツッコミだけどさ
      それがよりよい方法なら、もう研究され実験終わってるのでは?

      • 評価
      1. ※11
         海の砂漠と呼ばれる海域は基本的に深海なんだ。平均3,000mの深海底からくみ上げるのはそりゃ難しいさ。採算度外視なら何とかなるが、それでは民間では参入するのすら難しい。
         システム的には丈夫なストローを差し込んで、後は風や海流でも使って自然の力で吸い上げられれば良いんだが、3,000mもの深さを横からの圧力に負けないで海底にぶっさす等々、越えなければならない技術的なハードルが多い。
         しかし、陸上から資源を持ち出して海洋にばらまくのは※19さんの言う様に資源枯渇を招きかねないのでやるべきではない。なんたって砂漠に水を撒く作業なんだからね。

        • 評価
    2. リンなどを海洋に投入する際、そのリンがどこからもたらされたのか。陸上由来だと、陸上の資源の枯渇にもつながる。
      ※6の言うように海底から汲み上げるなどすれば良いかもしれないが、それは多くのエネルギーを消費するので、二酸化炭素削減という面では本末転倒になるかもしれない。

      まぁプロジェクトではそういう側面も当然検討してるんだろうとは思うけど。こういう実験は大事だよね。

      • 評価
  5. 如何に魚が増えても、増えた鯨が採りつくしてると思うよ。

    • -3
  6. 栄養たっぷりのフンをするやつらって何なの?
    真面目に生きてるの?

    • +1
    1. >>9
      それ言ってしまうと、人間も酸素20%の空気を吸って酸素16%で吐き出すとか、不真面目すぎるんだ…
      一番真面目に呼吸してるのは、気嚢を持つ鳥ということに

      • +4
    2. ※9
      この場合の栄養とは必ずしも動物に必要な栄養とは限らない。
      動物にとっては廃棄物でしかないリンや尿素等は植物にとっては貴重な養分となる。

      • +5
      1. >>14
        はい… すみません、感謝してます…

        • 評価
  7. ん?鯨の数は回復してるんじゃなかったっけ?
    それなのに糞が足りないのか?
    魚の減少は別の原因から起きてたりしないのかな…
    プランクトンが処理し切れない糞が出た場合は別の問題が起きる気がするが

    • 評価
    1. >>10
      回復と言っても絶滅の心配がない程度で、全盛期には程遠いよ
      人間の手による乱獲は、自然サイクルと比べても短い時間だったから、環境系も変化しきれてないんだろう

      • +4
  8. >副作用として、増加したプランクトンが大気中の二酸化炭素を吸収してくれるので、温暖化防止対策にもなると期待できる。そのプランクトンを食べた魚が死ねば、二酸化炭素の一部は海底に閉じ込められる。

    瀬戸内民的には赤潮→海面にお魚プカプカのイメージが強いんですが、広い場所だと違うんですかね?

    • +1
  9. クジラって肉も脂も皮も食べれるし、腱や骨も加工して使えるし、竜涎香(アンバー)って香料も取れるし、
    この上フンまで使えるなんて、棄てるところの無い生き物だなあ。

    • +1
  10. 南極海みたいに栄養塩が豊富でもプランクトンが少ないエリアがあってのう
    鉄が制限要素になってたから投入したけど海は広いな大きいな、焼石に水だったんじゃよ
    そっちの問題もあるからみんな必死に頑張ってるんじゃな

    • 評価
  11. 🐡「今何時?」
    🐳「5時ら。」
    🦕「えっ?!」

    • +2
  12. 沿岸というよりは外洋に栄養を運びたいってことかな?
    沿岸は人口の増加でそもそも栄養過多、栄養面を気にする必要はないし、下手なことをすれば赤潮の発生で逆効果だから

    • +2
  13. 下手すれば赤潮、多分きっとやらかす

    • -2
  14. 金かけて人工う○こを海洋に撒くとか正気の沙汰じゃない

    • 評価
  15. モミ殻の利用方法に「そういう使い方もあるのか」と思った。
    高く買い取ってくれるアイディアがあれば、米農家も助かる。

    • +2
  16. アサリ不漁対策で肥料撒いて実験してるって何年も前に聞いた、海外のエビ養殖池ではエビの餌になるプランクトン増やす目的で鶏糞入れるそうです、“エビと日本人”て本にありました。
    水清くして魚棲まずということかな

    • +2
  17. 生物の熱効率は当然100%ではないし単純な食物網を持つクジラではなく様々な生き物が捕食被食関係を階層的に繰り返した方がフンの総量は増えることになるように思う
    マッチ-ミスマッチ仮説によるなら密度が重要という話だろうか?
    クジラのフンが有用という前提だが、その前提には疑問が残る

    • 評価

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