メインコンテンツにスキップ

アメリカで世界初のミツバチ用ワクチンの使用を承認

記事の本文にスキップ

13件のコメントを見る

(著) (編集)

公開:

この画像を大きなサイズで見る
Advertisement

 米国で世界初となるミツバチ用ワクチンの使用が承認されたそうだ。自然界において、そして人間にとっても欠かすことができない大切なミツバチを病気から守るための新兵器だ。

 ワクチンは法定家畜伝染病であるアメリカ腐蛆病(ふそびょう)に対応したものだ。

 これを開発した米国のバイオテクノロジー企業ダラン・アニマル・ヘルス社は、その使用許可を米農務省から正式に取得した。

 「同社の最高経営責任者アネット・クライザー氏は、「弊社のワクチンは、ミツバチを守る画期的なものです、ミツバチの飼育法を変える準備ができています。世界の食料生産に影響を与えることでしょう」と語る。

ミツバチの幼虫を腐らせる恐ろしい腐蛆病菌

 世界初のミツバチ用ワクチンは、幼虫を腐らせて殺してしまう「アメリカ腐蛆病」を予防するためのものだ。

 アメリカ腐蛆病は、ミツバチが感染する病気の中で最も重い病気だ。感染した巣からは異臭がし、幼虫は溶けてベトベトした糸を引くようになる。孵化3日以内の幼虫に感染すると、幼虫やサナギの時期に死亡する。

 この菌の特徴である致死的病原性と芽胞形成性は、一度巣箱内が菌に汚染されれば、芽胞を摂取した若い蜂児への感染を繰り返し、やがて巣内だけでなく養蜂場全体に広がりミツバチは全滅してしまう。

 米国の一部では巣箱の 4 分の 1 で発見されており、養蜂家は感染したコロニーを破壊して焼却し、さらなる拡散を防ぐために抗生物質を投与する必要がある。

この画像を大きなサイズで見る
photo by Pixabay

甘いローヤルゼリーにまぜて予防接種

 幼虫を守るためのワクチンだが、幼虫に直接接種するわけではない。かわりに働き蜂が作るローヤルゼリーに混ぜて、女王蜂に食べさせる。

 これを食べた女王蜂の卵巣には、ワクチンが残留する。するとそこから生まれる幼虫たちは腐蛆病に対する免疫を獲得できるのだ。

 ミツバチ用ワクチンは以前なら不可能とされていた。

 昆虫に免疫自体はある。だが、脊椎動物と違って、適応能力のある抗体による免疫反応はない。このために昆虫用のワクチンの実現が疑問視されることもあったのだという。

 ところが数年前、詳しい仕組みは不明ながら、昆虫のメスの免疫がその子供に伝わることが明らかにされた。今回のワクチンはこの重要な発見のおかげで開発できたものだ。

この画像を大きなサイズで見る
photo by iStock

世界で激減するミツバチ

 アメリカで発生したアメリカ腐蛆病は、世界中に広がっている。日本でも法定家畜伝染病に指定されている。

 1つの原因としては、作物を受粉させるためにミツバチの巣箱を米国各地へわざわざ運んでいることがあるかもしれない。

 だが、そもそもミツバチを運ばねばならない背景には、生息地の減少・農薬・気候変動などのの影響により野生のミツバチが激減していることがあるのだそうだ。

 ミツバチの減少は、人間の食料生産や生態系など、世界的な影響を与えると懸念されている。

References:US government approves use of world’s first vaccine for honeybees | Bees | The Guardian / First-ever honeybee vaccine approved by US regulators / written by hiroching / edited by / parumo

📌 広告の下にスタッフ厳選「あわせて読みたい」を掲載中

この記事へのコメント 13件

コメントを書く

  1. 素晴らしいね
    今日本では鳥インフルエンザが蔓延して問題になってるけど
    殺処分すること無く治療することができないのかなあと思う

    • 評価
    1. ※1
      治療するだけならばできるよ?
      ただ完治するまで病気が他の鳥に感染し、そこから他の養鶏場に広まる可能性や、なにより野生の鳥類に感染させて生息数に打撃を与えることを許容できたり
      ワクチン投与などで薬漬けになった鶏肉を人間が食べることを許容できたりするならば、全然問題なく治療できるよ?

      • +8
  2. 蜜蜂が減った原因はグリホサートだともう判明しているのになぁ。そっちをどうにかしなきゃいけないのに。
    マイクロプラスチックだって、農薬を覆うもので、海に流れ出てるのは農薬由来のものなのに。

    その農薬のせいで蜜蜂が帰ろうにも巣に帰ることができなくなってしまい、死滅しかけてます。

    それに病気のワクチン打たれた蜜蜂の蜂蜜なんて絶対に欲しくない。

    その手の問題のないユーラシアの標高の高いところの蜂蜜が輸入できればいいのだけれど。アメリカの属国日本はそんな良いもの、なかなか許可しないのよね。

    • -16
    1. >>2
      そんなに良いものが食べたいなら、自分で養蜂チャレンジしてみたら?
      最近では道具もネットで買える、メソッドもネットやYouTubeで観れるんだから。
      そうすればお綺麗な「いい蜂蜜」を食べ放題だよ??

      • +8
    2. ※2
      グリホサート、って、、、
      腐蛆病でハチが死んでる事実を目の前にしてなにを言っているのか

      • +1
  3. 人より先に発酵食品を…?
    など分かんないですが大量死が問題になってたのは微細な農薬でしたっけ…
    蜂蜜好きなので蜂が元気なのは嬉しいです

    • 評価
  4. ミツバチ減っているのは実感しています。
    庭にやってくる数が減っている、今まで見かけた公園のツツジからいなくなったなど。。。

    こういったニュースは嬉しいですね。

    • +10
  5. 今はハウス内限定ですが、日本でミツバチの代わりに受粉用のハエを実用化している会社があります。それだけ状況はまずいのです。

    • +7
  6. たとえワクチンを使った巣の蜜が食べられなくなるとしても、彼らには授粉の労働力としての需要がある。全体的には良いことだと思う。

    ところでこのワクチン、蜂の子自体を食べるのには障害にならないのだろうか?

    • +2
    1. ※7
      待て待てミツバチの子を食うのか?
      食うならスズメバチのものにしてくれ

      • +10
  7. 虫の伝染病となると鳥以上に攻略難易度高そうだな
    成功すると良いが

    • +9
  8. 農作物だけじゃなく、うちは蜂蜜が日常にあるので蜜蜂さんには足向けて寝られない
    最近、ヨーロッパ産のいつも買ってた蜂蜜の価格が跳ね上がった
    国産も欧米より高いくらいだし、某国のやっすいのは買わないことにしてるので蜂蜜がますます贅沢品になっていく
    農薬も生態系破壊も戦争も、人類自身が首絞めてるのに、個人は無力だ…

    • +5

コメントを書く

0/400文字

書き込む前にコメントポリシーをご一読ください。

リニューアルについてのご意見はこちらのページで募集中!

サイエンス&テクノロジー

サイエンス&テクノロジーについての記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。

昆虫・爬虫類・寄生虫

昆虫・爬虫類・寄生虫についての記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。

最新記事

最新記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。