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50年前と比べてミツバチの寿命が半分になっていることが判明

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(著) (編集)

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 米国の研究者による新しい研究によると、ミツバチの寿命が驚くほど短くなっているそうだ。1970年代に比べて、半分しか生きられなくなっているのだ。

 これは、自然のミツバチではなく、あくまで飼育されているものの話だ。しかしこの短命化が養蜂家に与える影響を推定してみたところ、ここ十数年で米国の養蜂家が報告してきた損失率と一致していたとのことだ。

 今とのころ、短命化の原因ははっきりしない。しかし状況から言って、環境が要因なのではなく、ミツバチの遺伝子が関係していると考えられるそうだ。

過去50年でミツバチの寿命が半分に

 どんな生き物にも寿命はある。だから、養蜂家にとってミツバチの死は仕方がないことだ。

 だがここ10年間、米国ではミツバチが死にやすくなっており、巣の交換頻度が高まっていることが報告されてきた。巣の交換頻度の高さは、そのまま養蜂業に影響してくる。

 なぜミツバチは短命化しているのか? その原因として、環境・病気・寄生虫・農薬・栄養など、さまざまな要因が挙げられている。

 だが『Scientific Reports』(2022年11月14日付)に掲載された研究では、環境とは無関係に、そもそもミツバチの寿命自体が短くなっているらしいことを明らかにしている。

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環境以外に要因が?

 米メリーランド大学博士課程の学生アンソニー・ニアマン氏が最初にミツバチの短命化に気づいたのは、ミツバチの飼育法を研究していたときだった。

 同氏は過去の研究を参考に、ミツバチの巣からサナギを採取。これを培養器で羽化させて、成虫となったミツバチを専用ケージで飼育していた。

 あるとき、ミツバチに砂糖水と普通の水を与えて、その影響を比較してみた。すると水の種類とは無関係に、ミツバチの寿命が短いことに気づいたのだという。

 1970年代に行われた同様の実験では、ミツバチは平均34.3日生きた。ところが、今回の実験では17.7日しか生きなかった。つまりミツバチの寿命は半分になっていた。

 ニアマン氏によると、きちんとしたミツバチの飼育法が確立されたのは、2000年代に入ってからのことなのだという。

 1970年代に比べて飼育法は改善されているはずなのに、なぜか死亡率は2倍に跳ね上がっていたのだ。

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飼育方法が改善されているのに、ミツバチは50年前の半分しか生きられなくなっている。これは短命化の原因が環境以外にある可能性を示している / Credit: Anthony Nearman / UMD

遺伝子が原因である可能性

 これはあくまで実験室で飼育されているミツバチの話だ。

 しかし、短命化が実験室だけではなく、現実世界でも起きていることを示唆する証拠ならある。

 ニアマン氏は、半分になったミツバチの寿命に基づいて、これが養蜂家に与える影響を試算してみた。

 毎年失われて交換される巣を損失だとすると、短命化したミツバチの損失率は約33%と考えられる。これは、過去14年間に米国の養蜂家が報告してきた越冬による損失率(平均27.6%)にかなり近い。

 一体なぜミツバチの寿命は短くなってしまったのか?

 「ミツバチは、成虫になる前に巣から隔離されているので、寿命を縮めた原因は、その以前からあるものです」と、ニアマン氏は説明する。

 このことから、環境的な要因ではなく、遺伝的な要因によって短命化していると考えられるという。

 またニアマン氏は、飼育しているミツバチが、幼虫の段階でウイルスや農薬に軽く汚染されていたことも報告している。

 どうも働きバチに世話をされているときに汚染されたようだ。ただし、それによる明らかな影響は確認されていない。

 もしも、短命化が遺伝子によるものならば、それは解決法のヒントでもある。寿命を縮める遺伝的要因を削除してしまえば、もっと長生きするミツバチを開発できると期待できるからだ。

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photo by Pixabay

 ニアマン氏らの次の課題は、米国内や他国のミツバチの寿命を調べることであるそうだ。

 もし地域によって寿命に違いがあるならば、遺伝子・農薬・ウイルスなど、その地域ならではの要因を特定することで、短命化の原因をより詳しく探ることができるだろう。

References:Honey bee life spans are 50% shorter today than they were 50 years ago / written by hiroching / edited by / parumo

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この記事へのコメント 28件

コメントを書く

  1. とりあえず同じ種類のミツバチを、昔ながらの方法で飼育しているところ(欧州かオーストラリアなど)導入してみたら?
    (仏のカキが壊滅して日本産を入れたみたいに)
    それでも駄目なら、品種改良かな
    長生きする巣からオスを取り出して交配していく

    ただ、ミツバチについてアインシュタインが語った言葉をもう一度、全ての人に考えてほしい

    • +5
  2. 環境要因ではないとあるけど、それは卵から発生の過程だけであって、いわゆるエピジェネティック、既に女王蜂が環境に対応した卵を生んでいる可能性もある。

    仮に代謝が活発になっていてその代償として短命になっているなら、もしかすると温暖化への対応の結果かもしれない。虫は温暖な地域に行くほど生涯のサイクルを早めて、より繁殖回数を増やす傾向があるから。この場合ならまだ幸運で、個体数は増加していく。

    • +7
    1. >>3
      これな。温暖化で早まってるのでは?って思った。でも体格も小さくなってたり、必要カロリーが減って巣の規模あたりで蜜を集める量が減ったりし…てたらやっぱり養蜂家的には悲報よね…

      • -1
    2. ※3
      >生涯のサイクルを早めて

      働き蜂は繁殖しないけど。

      • +2
  3. 虫好きの養老孟子先生も調べたようで「本来の生息域じゃない所に連れてこられて養蜂されること」と「そこは必ず農薬が使われている環境だということ」「たとえ薄まっていようがその中でずっと生活していること」「蜜と一緒に農薬も集めてしまう」ってことでほぼ確定だろうと言われてましたね

    • +14
    1. >>4
      だったら70年代の方が長生きだった説明つかなくない? 近年と比べると農薬の種類や量の規制も緩いだろうし

      • 評価
  4. 偉い人が言っていた、、、、
    ミツバチが絶滅すると4年後には人類は絶滅する、と、、、、

    • +13
  5. ミツバチが絶滅したら、ニンゲンが受粉させないといけなくなる
    必然的に多くの植物が無くなり、多様性が失われ昆虫も動物も減っていき
    人類も滅亡する
    次の大量絶滅の原因は人類かもしれない

    • +3
    1. >>6
      ハウス内専用だけど、清潔で安全な管理下で育成した農業用受粉ハエで受粉するサービスを提供している会社が日本にあって、採用するところが増えている。

      • +1
  6. 少なくても数十年前の農薬バリバリや細菌や微細粉塵の環境悪化の影響で、
    その際から遺伝子に悪影響が組み込まれ続けての今だと思う><

    2~30年位前にBBCかなんかの、かなり突き詰めたドキュメンタリーで、
    すでにちうごくからの輸入ハチミツ(かローヤルゼリー)の汚染(エサにする?)が言及されていたと思う。

    但し、それが最終の原因だとはされず、まだまだコレといった解明に至らず・・・。

    ミツバチさんは、生態系や結実に需要な役割がありますし、
    なにより可愛らしく健気な(特に日本ミツバチさん><)生き物です

    ぜひ原因を解明して、健全な状態で、
    私たちともともに、これからもずっと暮らして頂きたいと思います!

    • +4
  7. 環境要因ではないって言ってるけど、気温が上がったからとかそういう可能性はないの?

    • +1
  8. 環境の変化に順応しようとする遺伝子だと言うなら遺伝子が原因って事になるのかな?
    産業革命以降の気温上昇みたいに急激な変化に対して適応しようとしたらソリャ早く体を変えてかなきゃ絶滅しちゃうもんな

    絶滅しそうなら慌てた方が良いけど数自体保ててるんなら、ハチミツ分けて貰ってるだけの人間は大人しくミツバチの変化に合わせて行けばいいのでは

    • +3
  9. 農薬のせいやろ。
    ネオニコ。
    ちなみに、発達障害も農薬の使用量と関係あるらしいね。

    • -5
    1. ※10
      ネオニコチノイドは害が少ないと普及したが
      どうやら違うようだね、、、

      • -1
  10. 働いて働いて働いて早死にするんだ
    ミツバチちゃんかわいそうに
    (*つДT)

    • +3
    1. >>14
      昨日働きすぎで体調崩したから、少し手を抜きたいが、同じチームの同僚があんまし働かないんだよなあ。周りの人は分かってるけど。
      上司にチクったろ

      • 評価
  11. 蜜の採集を全くさせず、砂糖水と代用花粉のみで育てた集団と比較したデータはありませんか?

    • +1
  12. 野生のミツバチっているんかな?
    交配して新しい遺伝子を導入してみるとか

    • +1
  13. アメリカのセイヨウミツバチだけの話なのか全世界のセイヨウミツバチがそうなのか、近縁種のニホンミツバチはどうなのか。全てに当てはまるなら由々しき事態かも。他に原因があって適応の結果(昔の長い寿命だと種の存続に悪影響を及ぼす何かがあるとk)だったりしないのかな。

    • 評価
  14. 遺伝子は環境に適した個を生み出すための設計図だろ
    なんで環境を切り離して考えようとするんかねぇ

    • +3
  15. おそらくネオニコチノイド系殺虫剤のせいだと思うけど、全面使用禁止になっている佐渡島のミツバチの寿命がどうなのか知りたいですね
    佐渡島にミツバチいるのか知らんけども…

    • -1
    1. ※22
      これは、
      室内飼育だから、
      ネオニコチノイドは全然関係ないんじゃ?

      • +1
  16. 遺伝子が原因なら飼育環境に適応してるって訳だけど
    飼育下だと寿命が短い女王蜂が長い女王蜂よりも不利になりにくいから
    結果的に短くなっていってるんだろうか

    • +1
  17. 寿命が短い方が子孫を残しやすい状況が養蜂の蜜蜂で発生しているということか

    寿命が短くなろうと養蜂の蜜蜂なら巣をメンテして貰えて生き永らえやすいから、長命である必要がなくなったとか?
    つまり長命化するバイアスが無いから短命化が進行してしまったのかな?
    ただ短命であれば種全体としては環境変化に適応しやすくなるので、数日とか極端じゃない限りは放っておいていい気がするけど

    • 評価
  18. 隔離するのは蛹からで、幼虫時代のエサの管理すらしてないのに「環境が要因ではない」とは大きく出たな

    • 評価

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