メインコンテンツにスキップ

緑色の光に痛みを緩和させる効果。脳のオピオイド受容体を活性化

記事の本文にスキップ

22件のコメントを見る

(著) (編集)

公開:

この画像を大きなサイズで見る
Advertisement

 新たな研究によると、痛みを和らげるための安全で簡単な方法が発見されたかもしれないという。マウスを使った実験によると、「緑色の光」は脳内の「オピオイド受容体」を活性化して、痛みを大幅に緩和してくれるそうだ。

 この結果は人間ではまだ確認されていないが、同じことを示唆する研究はこれまでにもあった。

 現在米国では鎮痛、陶酔作用がある合成化合物「オピオイド」中毒が社会問題となっている。

 だが緑色の光をつかった光線療法ならば、安価で手軽で、しかも安全な鎮痛剤になることが期待されている。

なぜ緑色の光で痛みが和らぐのか?

 ただ緑色の光を目にするだけで、慢性的な偏頭痛や線維筋痛症による痛みが軽くなるらしいことは、これまでも示されてきた。

 だが、なぜそんな簡単なことで鎮痛効果が発揮されるのか?

 中国、復旦大学の研究チームは、その理由を探るべく、関節炎を患うマウスで試してみることにした。

 その結果、マウスの視野全体を緑色の光で照らすと、確かに痛みを感じているときに見せる仕草が減ることが確認されたのだ。

 研究チームは次に、網膜にあるどのタイプの光受容体がこうした効果のスイッチなのか探ってみた。

 そのためにまず、色を感じる「錐体細胞(すいたいさいぼう)」を破壊してみた。すると緑色の鎮痛効果は完全に消えてしまった。

 一方、光の強弱を感じる「桿体細胞(かんたいさいぼう)」や、 第三の光受容細胞と呼ばれる「内因性光感受性網膜神経節細胞(ipRGC)」を阻害しても、緑色の鎮痛効果にほとんど影響しなかった。

 これらの結果を踏まえ、緑色の光による鎮痛効果は、まず錐体細胞から始まると結論づけられた。

この画像を大きなサイズで見る
photo by iStock

緑色の光でオピオイド受容体が活性化

 研究チームはさらに、錐体細胞が送る信号を鎮痛効果につなげる神経経路も探っている。

 画像を利用した実験では、錐体細胞が緑の光を検出すると、感覚情報の中継基地である「視床」のとある領域(外側膝状体腹側核)に次々と情報が送信されることがわかった。

 するとそこにある神経細胞が、痛みの制御を担う「背側縫線核」と連絡を取り合うのだ。

 この通信には、「プロエンケファリン(PENK)」と呼ばれるシグナル伝達タンパク質が使われる。これが変換され、最終的に「オピオイド受容体」に結合する。

 がんなどの強い痛みには、モルヒネのようなオピオイド鎮痛薬が使われるが、その作用はオピオイド受容体に結合することで発揮される。

 つまり緑色の光は、そうした鎮痛薬と同じようにして痛みを和らげてくれるということだ。

この画像を大きなサイズで見る
photo by Unsplash

人間にも同様の効果があるかどうかは更なる研究が必要

 今回の研究では、緑色の光が目の中にある錐体細胞を刺激し、それによって放出されたシグナル伝達物質がオピオイド受容体を活性化、これによって痛みが緩和するらしいことが判明した。

 だがあくまでマウスの実験であって、人間にも同じ仕組みがあるのかどうかは定かではない。

 それでも今回の結果は、「このシグナル伝達経路を利用することで、痛みを軽減できる可能性」を示唆しているとのことだ。

 この研究は、『Science Translational Medicine』(2022年12月7日付)に掲載された。

References:Green Light May Reduce Pain By Activating Opioid Receptors In The Brain | IFLScience / written by hiroching / edited by / parumo

📌 広告の下にスタッフ厳選「あわせて読みたい」を掲載中

この記事へのコメント 22件

コメントを書く

    1. ※1
      毒系魔法も緑のエフェクトな事が多いね。
      やはり薬と毒は表裏一体という事なんだろう。

      • +2
  1. 欧米では嫉妬に狂った人の眼は緑色になるって言うけど、それは視界を緑一色にして嫉妬の炎に焼かれる痛みを和らげるための自己防衛反応なのかもしれない

    外から緑に見えるってことは内側に届く緑色の光はむしろ減少してんだろって野暮なツッコミは無しだぜ

    • 評価
  2. 筋肉痛の時は自宅の電気に緑のフィルムを貼るといいって事か。

    • +3
  3. 植物とかの自然な緑なら実感持てるがこの記事の画像みたいなビビットな蛍光っぽい緑は一寸判らん
    逆に落ち着かない感じするんだが効果有るのか?

    • +6
  4. 人間の目は三原色のうち緑を最も感じやすいというからそれと関係あるのかも

    • +3
    1. >>5
      人が緑色に感じる光の波長に対して、明るさの感度のピークがあるから、最も明るく感じる光ではあるかな

      • 評価
  5. 6年前のサングラスの記事の具体的な原因が判ったってことか

    • +4
  6. パラメディックがオピオイド受容体が云々言ってたのは覚えてる

    • +2
  7. 怪我人多いスワローズがライトグリーンのユニフォームに変えたのはこれが理由だったのか!

    • +1
  8. 『空間画素ずらし』で解像度が上がるよね?たしか

    • 評価
  9. 医者が「じゃあ、緑の光を浴びて痛み取ってって下さい。お大事に。」

    とか言われて緑ライトに当たったら、プラシーボ効果で意外と和らぐかも?

    • +3
  10. 逆に体に悪い波長の研究はないのだろうか?
    結局全波長を含む太陽光でいいんじゃないか?

    • +2
    1. >>14
      恐らく赤色は体に余り良い影響を与えないと思う
      出血を連想させ興奮させるからね
      太陽光で効果あるなら何色を集中的に当てても効果なし(差が出ない)になるはずなのでその発送はナンセンス

      • 評価
      1. >>16
        赤色LEDなら引き締め効果があるとされて美容には取り入れられてるわ。小さな豆ランプが沢山ついたマスクで利用されたり、光脱毛のフラッシュの色で利用されたり。

        • +1
  11. 一時期常夜灯?あのオレンジ色の電球を青とかにしてたことあるけど睡眠の質が向上したとは思わなかったがな
    当時は青色の光で寝るといいとか言われてた気がするが

    • +1
    1. ※18 そっかー。日本で町内の電灯を青にしたら犯罪率が下がったというニュースを昔見た気がするけど。

      • +1
  12. 錐体細胞だと個人差が大きいから効果は人によってかなり違いそうですね…あと目が見えなかったり眼球を失っていると恩恵を受けられないかも。

    太陽といえば、皮膚があまり光を受けていなくても強烈な太陽光を見るだけで日焼けする、って話もあったかな。

    光そのものに効果があるんじゃなくって体内のスイッチを入れているっていうケースは多そうですね…

    • 評価

コメントを書く

0/400文字

書き込む前にコメントポリシーをご一読ください。

リニューアルについてのご意見はこちらのページで募集中!

サイエンス&テクノロジー

サイエンス&テクノロジーについての記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。

知る

知るについての記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。

最新記事

最新記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。