
この巨悪な計画を暴く最初のきっかけとなったのは、1枚のフレンチブルドッグの画像だった。
密売組織の主犯格が、ペットのフレンチブルドッグの画像を、暗号化された通信プラットフォームに使用したところ、捜査員の目に留まったのだ。
巨額の薬物取引に使用されたフレンチブルドッグの画像
2019 年後半から 2020 年初頭にかけて、「エクスタシー」として知られるMDMAを大量に密輸しようとした組織グループが6人、イギリスで逮捕された。ダニー・ブラウン(55歳)とステファン・バルドーフ(62歳)を主犯格とする薬物密売組織は、市場での販売価値がイギリスよりもはるかに高いオーストラリアに、純度 77.5% のMDMAを密輸する計画を立てていた。
末端価格、78億円相当の448kgのMDMAを密輸するため、ブラウンは「throwthedice」というハンドル名で、暗号化された通信プラットフォーム 「EncroChat」 に自身のペットのフレンチブルドッグ「ボブ」の画像を送信して、仲間と連絡を取り合った。
Danny Brown operated on EncroChat under the handle ‘throwthedice’.
— National Crime Agency (NCA) (@NCA_UK) December 6, 2022
He sent an image of his pet, named ‘Bob’, to co-conspirator Stefan Baldauf as they worked on a plot to send 448 kilos of MDMA worth £45m to Australia. pic.twitter.com/lg954ZL8xA
フレンチブルドッグの首輪に電話番号
しかし、使用されたボブの写真をよく見ると首輪のタグにブラウンのパートナーの電話番号が記載されている。このことに気が付かなかったようだ。イギリス国家犯罪庁(NCA)の捜査官は、パートナーの電話番号からブラウンが薬物密輸組織の一員である事実を追跡することに成功した。
他にも様々な詰めの甘さを警察は見逃さなかった。
ブラウンとバルドーフがEncroChatでやり取りをする中で、テレビに自分の顔が反射していたことに気付かず送ってしまった画像があった。
また、真鍮製のドアのサインが自分の顔を反射して見えていたことに気付いていないまま送った画像もあり、それらは捜査の上で重要な証拠となった。
その後、捜査官は犯行グループが工業用掘削機の腕部分にMDMAを隠して、オーストラリアに出荷する計画をしていることも突き止めた。Brown and Baldauf also sent accidental selfies of themselves on Encrochat – giving investigators more proof they were involved in the plan, which saw the drugs hidden in the arm of an industrial digger and shipped to Australia. pic.twitter.com/43HugORFpT
— National Crime Agency (NCA) (@NCA_UK) December 6, 2022
掘削機の中から薬物を発見し、犯行グループ逮捕
密輸グループは、1 月 24 日に40 トンの掘削機をオーストラリアのブリスベンに売却するふりをして出荷。 3 月 13 日それらが現地に到着すると、合法的に見せるためにオンラインオークションを開催した。オークションでは、事前に同意した入札額を薬物受取人が提示することで不正に取引を完了させ、掘削機はシドニー西に移送されたが、その足取りを掴んだ捜査員たちは、最終的に掘削機の中に薬物が隠されていたことを突き止めた。

A drug trafficker has been jailed for 26 years after helping investigators smash his own organised crime group by sending a photo of his dog on encrypted communications platform EncroChat showing his partner’s phone number on the dog’s tag.
— National Crime Agency (NCA) (@NCA_UK) December 6, 2022
Full story ➡️ https://t.co/ujIDYIP8QQ pic.twitter.com/QZIrUksq6Z
逮捕時、飼い主と一緒にいたフレンチブルドッグ
飼い主のブラウンが逮捕された時、SNSの画像で既に見知っていたフレンチブルドッグのボブが、その場にいたという。今年6 月には、ブラウンとバルドーフを含む薬物密売メンバー6人のイギリス人が、有罪判決を受けた。
首謀者となったブラウンとバンドーフ、そして掘削機を手配した仲間の男には、それぞれ20年以上の懲役刑が下された。
ちなみに、当局はこの事件を受けて、2020年にEncrochatを使用不可とした。
EncroChat は、全てのメッセージが暗号化されるように、イギリスや海外の犯罪者らがスマートフォンを改造できる通信ネットワークとして使用しており、イギリスだけでこのアプリを使用した事件は1500件以上も告発が行われたということだ。
References:Operation Venetic: Pet dog and accidental selfies help convict international drugs traffickers / written by Scarlet / edited by / parumo
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コメント
1. 匿名処理班
犯人が逮捕されたのはよかった。でもこのワンコが心配だ...警察に保護されてるのかな?
2. 匿名処理班
まあ悪い人にも動物好きはいるよな
3. 匿名処理班
飼い主とちょっと似てるね!
4. 匿名処理班
ワンちゃん引き取り手見つかるといいけど・・・
5. 匿名処理班
画像には様々な情報が映り込んでいるんだな
6. 匿名処理班
>>首輪のタグにブラウンのパートナーの電話番号が記載されている
いや、これは流石におそまつすぎるだろうw
7.
8. 匿名処理班
Youtubeもinstagramも人気のある人は写真に映り込みがないか徹底的に気を使ってるもんだけど、この人はけっこうオッサンだし知らなかったんだろうなあ
9. 匿名処理班
犬を愛して迷子タグ付けてたのが仇となるとはね
10. 匿名処理班
CSIみたいだ。あのシリーズももうドラマ業界じゃ古典扱いだけど面白かったなあ。
11. 匿名処理班
犯罪の悪質性に反して、やってることがお粗末で笑った。
電話番号に気づかないのはともかく、映り込み対策もできないなんてパンピーと変わらないレベルだよね。
匿名化する上で、自分で撮影した写真をやり取りすること自体がハイリスクだから、そういうところには細心の注意を払って然るべき。
12. 匿名処理班
そのまんま、フレンチコネクション
13. 匿名処理班
なんのために犬の画像を送ったの?よくわからない…
だいたい暗号化するツールを使ったというのに何もかも警察にバレバレじゃん、無意味すぎぃ
14. 匿名処理班
間抜け
15. 匿名処理班
Encrochatを閉鎖させないまま監視して
犯罪者ホイホイに活用すればよかったのに。
16. 匿名処理班
そもそも犯罪者御用達の暗号化携帯なので、警戒心が緩んだんじゃなかろうか
17. 匿名処理班
運営会社は「140カ国に顧客を抱える合法企業」、「通常の会社では提供できない高い機密性を提供している」とコメントしている
運営会社が「司法機関にハッキングされている」こと、「ユーザーに電話を捨てるよう」呼び掛けた。
クソだな
なにが運営会社だよ だたの犯罪組織だろうが