あと10年で人類は月で暮らすように
 NASAの関係者が語ったところによると、人類は今後10年のうちに月に長期滞在するようになる可能性があるそうだ。

 先日NASAは、人類の月への帰還を目指す「アルテミス計画」最初のミッションとして、新型ロケット「アルテミス1号」を打ち上げた。

 そこに搭載されていた宇宙船「オリオン」の責任者ハワード・フー氏は、この打ち上げについて「人類の宇宙飛行にとって歴史的な日」と語っている。

アルテミス計画最初のミッションがついに始動

 アルテミス計画とは、NASAとNASAが提携している国際的パートナー(日本のJAXAも含まれる)が進めている、1972年のアポロ17号以来の有人宇宙飛行(月面着陸)計画である。

 その第一弾として2022年11月16日、アルテミス1号が打ち上げられ、月の裏側を通過した。

 アルテミス1号には、有人ミッション用の「オリオン」宇宙船が搭載されているが、今回は人は乗っていない。宇宙飛行士の代わりに”マネキン”が乗せられ、宇宙飛行が人体に与える影響に関するデータが記録される。

 このミッションでは、オリオン宇宙船を月周回軌道に投入し、月におよそ6日間滞在した後、地球に帰還する行程が組まれている。

 11月16日の打ち上げは、8月、9月と2度にわたり延期された末にようやく実現したもので、関係者やファンにとっては待望の瞬間だった。
no title

オリオン宇宙船が無事地球に帰還させることが重要

 当事者であるフー氏は「アメリカだけのためのものではありません。世界のために、長期的な深宇宙探査へ向けた第一歩を踏み出したのです」と語る。
これはNASAにとって歴史的な日であるとともに、有人宇宙飛行と深宇宙探査を愛するすべての人々にとっても歴史的な日でしょう
 今回のミッションが成功すれば、次は宇宙飛行士を乗せたミッションになる。

 これにも成功すれば、1972年12月のアポロ17号以来となる有人の月面着陸ミッションがついに行われることになる。

 アルテミス計画の今後を占うような今回のミッションだが、今のところ順調で、11月21日にはオリオンを軌道修正するために1回目のエンジン噴射が行われた。11月26日には2度目のエンジン噴射も予定されている。

 だが、今回のミッションでもっとも重要なのは、オリオン宇宙船を無事に地球に帰還させることだ。

 オリオンは時速3万8000キロ、音速の32倍という猛スピードで地球の大気圏に再突入し、機体の下部に設けられたシールドは3000度近くの高温にさらされる。
アルテミス1号打ち上げ映像 Blastoff! NASA's Artemis 1 moon rocket launches on historic first mission

10年のうちに人類は月で暮らすようになる可能性を示唆

 こうした試験によってアルテミスの部品やシステムの安全性が証明されれば、「この10年のうち」に人を月面で居住させる計画であると、フー氏は述べている。

 NASAが月への帰還を目指す大きな理由の1つは、その南極に水があるかどうか確認することであるそうだ。本当に水があれば、火星などさらに遠くの宇宙へ進出するための燃料を作れるかもしれない。

 月に送られた人々は、月面で暮らしながら、様々な研究をすることになる。

 地球軌道のほんの少し向こう側で学ぶだろうことは、火星への有人ミッションに踏み出すためにも大切なことなのだそうだ。

 オリオンは2022年12月11日に地球に帰還する予定だ。

References:We Could Be Living And Working on The Moon by 2030, Says NASA : ScienceAlert / written by hiroching / edited by / parumo
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コメント

1

1. 匿名処理班

  • 2022年11月25日 20:34
  • ID:RiFBvqhm0 #

家賃は月極です

2

2. 匿名処理班

  • 2022年11月25日 20:48
  • ID:NGSgbDP50 #

月の環境で生まれたならどう思うか解らないけど
地球で生まれて月への移住なら青空や自然の無さに
ウンザリしそうだなぁ、作り物じゃ自分を騙せない
だろうし、、、

3

3. 匿名処理班

  • 2022年11月25日 20:49
  • ID:RJoDHLMq0 #

ありえん

4

4.

  • 2022年11月25日 20:57
  • ID:FO6qsAry0 #
5

5. 匿名処理班

  • 2022年11月25日 21:15
  • ID:YCPEZdPN0 #

月に居るのと住むのではかなり違うような

6

6. 匿名処理班

  • 2022年11月25日 21:53
  • ID:0ySmqDVX0 #

21世紀初頭には数百人規模で月に人が住み‥
という未来予想を信じた45年前

7

7. 匿名処理班

  • 2022年11月25日 22:07
  • ID:ifoLUPm90 #

好きで暮らすようなところとちゃうわな。

8

8. 匿名処理班

  • 2022年11月25日 22:39
  • ID:AiZJdJid0 #

ムーンレイス誕生か
10年以内は流石に盛り過ぎな気がする

9

9. 匿名処理班

  • 2022年11月25日 23:44
  • ID:CO6pOvfX0 #

地球の1/6の重力しかない場所に長期間住むのは厳しいと思う。

10

10. 匿名処理班

  • 2022年11月25日 23:52
  • ID:OcnK5LmF0 #

月の塵問題とか宇宙線問題がまだまだ解決してない以上は厳しいだろうなぁ
10年程度なら絵に描いた餅感は否めないが

11

11. ナパチャット

  • 2022年11月26日 01:07
  • ID:siDH.Nz70 #

え?宇宙線防ぐために大量の水と鉛で覆わなきゃならないのに?
多摩都市モノレール作るのですら10年じゃ済まないのに?

12

12. 匿名処理班

  • 2022年11月26日 02:12
  • ID:FuxGwOSB0 #

宇宙兄弟信じ込みすぎ

13

13. 匿名処理班

  • 2022年11月26日 05:40
  • ID:yu75f0cR0 #

>遠くの宇宙へ進出するための燃料を作れるかも

結局コレが無いとね
エネルギーの補給が出来る場所にならないと、地球の重力圏にプラスしての月の重力圏に着陸するのはエネルギーの無駄
その補給するエネルギーを地球から持って行っていたんじゃ意味がない、月にて月自前の資源で生産できるか否かが鍵

14

14. 匿名処理班

  • 2022年11月26日 07:13
  • ID:L9ohWvUA0 #

オレは南極でいいよ

15

15. 匿名処理班

  • 2022年11月26日 07:36
  • ID:yfk.7kVA0 #

※5
文章を読んだ雰囲気だと、まだ「暮らす」というか
宇宙ステーションでの長期滞在みたいな感じで
ある程度の期間を月の基地で活動する、
って程度の想定っぽい感じがする。

16

16. 匿名処理班

  • 2022年11月26日 08:45
  • ID:L71fDjKi0 #

フォン・ブラウン市ってつけようぜ

17

17. 匿名処理班

  • 2022年11月26日 09:01
  • ID:wLLKpvpw0 #

燃料タンク漏れって言う恥ずかしい理由で発射中止したあなたに言われても…

18

18. 匿名処理班

  • 2022年11月26日 11:41
  • ID:Kpe9wHCx0 #

南極のイメージ 「うへえ厳しい」
海底5000m 「絶対無理」
月「住めるかも」
人間も所詮、実感しなきゃ理解できない動物w

19

19. 匿名処理班

  • 2022年11月26日 12:41
  • ID:WxZSMvoC0 #

いや〜ぜひ実現して欲しいです。
地球資源も有限だし、もっと早くにこういう話が始まっていてもおかしくない。
戦争なんかやってないで人類のために総力を結集してもらいたいです。

20

20. 匿名処理班

  • 2022年11月26日 13:12
  • ID:xPdowTTY0 #

そして20年以内には宇宙戦争が

21

21. 匿名処理班

  • 2022年11月26日 14:34
  • ID:l3RKmzbq0 #

予算確保のためにやるいつもの画餅

22

22. 匿名処理班

  • 2022年11月26日 15:47
  • ID:m7dQOgJm0 #

地球軌道ですら戻った時に立てなくなるくらい筋力劣化するけど
月へ滞在した人間は地球に戻ることは出来るんだろうか?
将来的に、他の惑星で生まれた人は地球の重力に耐える事は無理そう
その惑星で骨格が作られるので

23

23. 匿名処理班

  • 2022年11月26日 16:21
  • ID:c8xIlmZS0 #

宇宙移住に費やす莫大な経費を今いる地球の環境整備には使わないのね。
そもそも地球で発生した生物が違う星に移住するのは、地球上で産地が違う動物、植物を育てるより難しいだろうに。
地球がダメなら違う星。
母なる地球を使い捨てにするみたいで私はなんかイヤだ。
違う星に移住したって、ヒトは同じことを繰り返すんじゃないかと思ったり。

24

24. 匿名処理班

  • 2022年11月26日 16:29
  • ID:rt9hz6jb0 #

月は砂漠に住むより過酷な環境でありながら膨大な費用がかかる
ここに住むのは開拓を夢見る物好き富裕層や研究者なのか?
それとも増えすぎた人口に対する棄民扱いの貧困層なのか?
アメリカやオーストラリア初期の歴史は後者に近かったが
発展して不平等な法に不満を募らせ独立宇宙戦争までがSFのお約束

25

25. 匿名処理班

  • 2022年11月26日 17:07
  • ID:gh.9Ye1b0 #

※18
いや、福利厚生って大事よ
環境よりね これマジだから

26

26. 匿名処理班

  • 2022年11月26日 18:52
  • ID:B.8IbPuV0 #

アポロ計画当時はロケット一本は当時の原子力空母一隻分より遥かにお高いというご予算だったけど
SLSで同じ計算をするならば、現代の原子力空母の1/6ぐらいの予算で打ち上げ可能なんだよね
1970年当時のアメリカが月に行くためだけにいかに無理をしたのかがわかる話かと思います

一応予定通りにいけば10年以内に月居住は可能になるので、大きな問題が出ることなく頑張っていただきたい

27

27. 匿名処理班

  • 2022年11月26日 19:24
  • ID:zH8qMmzO0 #

いいなあ…

いいなあああああああああああっっっ

28

28. 匿名処理班

  • 2022年11月26日 23:38
  • ID:jwro9c9q0 #

>>23
同意する
地球がこんな状態で、月で生活するためのエネルギー資源はどうする気なんだろう?と、思った
そもそも、いまだに争いは絶えず、地球に毒を垂れ流し状態で経済活動を続けてるような状態なのにさ
人類は自らの創造力というものを過信し過ぎてんだよな
その創造の力とやらで、例えば、絵の具を溶いた水を、水と絵の具の状態に戻せる人間がいるのか?
いないよね
創造という形で改変されたエネルギーは元に戻せないということを十分に分かった上で、人類は宇宙に進出しなければならないのに、そんな教育すら行ってない点で無理だろって思ってしまう

29

29. 匿名処理班

  • 2022年11月27日 08:55
  • ID:h.WEsqKs0 #

※23
何でもそうだけど、一つの事業に全てのリソースを費やさなきゃいけないなんて事は無いからね
そんな事をしてたら科学技術や産業はいつまで経っても進歩しないんだよ
福島原発事故があってしばらく経った頃でも科学・産業関係のニュースに「そんな事をするより原発事故収束に全部費やせ!」みたいな事を言う奴と同じ、近視眼でしかない

30

30.

  • 2022年11月27日 08:55
  • ID:zURAyIT30 #
31

31. 匿名処理班

  • 2022年11月27日 19:38
  • ID:0CZzg.AL0 #

※23
別に地球を使い捨てるわけじゃない
就業・就学で故郷を離れたり出張や旅行で遠くへ行き
行った先で得た知識や利益が故郷や居住地域にもたらされることもある
そんな交通インフラを開発してるだけなんだから
これまで打ち上げで消費した資材や燃料以上のお土産を
地球に持って帰れるようになるのを期待してみて

32

32. 匿名処理班

  • 2022年11月28日 05:20
  • ID:jEyhsX1u0 #

米中がこんなに月行くのに焦ってるのはメンツもあるが月面のヘリウム3が必要だからってのもある。
人類にとって幸か不幸か身近な宇宙に未来の資源があるから宇宙開発が進んでいく。
月面で戦争になる日がくるかも。

33

33. 匿名処理班

  • 2022年11月28日 09:16
  • ID:Eg9Ti3sK0 #

>>31
ありがとうございます。
ちょっぴり期待してみようと思えました。
地球を捨てるわけじゃなくて、地球のために宇宙へ行っていると思えば、しっくり来そうです。
願わくば、怖い地球外生命体に遭遇しませんように(笑)

34

34. 匿名処理班

  • 2022年12月02日 17:46
  • ID:ilM.nt4K0 #

視点を変えて見れば、地球という大規模な生命維持装置のおかげで我々は宇宙空間の中を暮らせている
宇宙に出る=地球が用意してくれてるチート設備が一切ない
地球がもたらすものに依存して得られてきたものが、宇宙ではほぼ得られない
月だって例外ではないと思うんだけど……
地球の重力下で起きてる法則であったり定義に基づく世界基準というものがあるけど、宇宙空間に関しても新基準となる定義等についての話しを全然聞かないし
そういうのものも整備していく必要があるのに、10年はちょっと短い気がするなぁ

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