1998年、北大西洋の海底に沈んだ悲劇の豪華客船「タイタニック号」の付近を潜水艇で調査していたPH・ナルゲオレ氏は、ソナーに奇妙な反応があることに気がついた。
その原因は不明で、ほかにも船の残骸が存在するのではとも疑われた。だが、26年間にわたるその謎がついに解明されたようだ。
海中探査専門会社「オーシャンゲート・エクペディションズ(OceanGate Expeditions)」が今年行ったタイタニック号の調査によって、深海に類まれなる豊かな生態系が形成されていることが明らかとなったのだ。
ソナーはこの知られざる生態系に反応を示していたのだ。
タイタニック号の沈没した海域で謎ののソナー反応
今からちょうど110年前、イギリスの豪華客船タイタニック号は、1912年4月14日深夜、北大西洋上で氷山に接触し、翌日未明に沈没した。戦時中に沈没した船舶を除くと20世紀最大の海難事故と呼ばれており、映画でも話題となった。
そのタイタニック号が、海底3,650メートルで発見されたのは1985年のことだ。以降何度も探査プロジェクトが行われている。
ダイバーのPH・ナルゲオレ氏がタイタニック号の探査中、奇妙なソナー反応に最初に気が付いたのは1998年のこと。以来この現象は何度か確認されていた。
このソナー反応はタイタニック号によるものなのか?それとも地質学的特徴によるものなのか?原因不明のまま26年の月日が流れ、ようやく再び調査する機会に恵まれた。
A 26-Year-Old Titanic Mystery Solved - Meet Titanic's Awe-Inspiring Neighbor in the Deep Sea
ソナー反応の正体は並外れた深海生態系にあった
ナルゲオレ氏と「OceanGate Expeditions(オーシャンゲート エクスペディションズ)」の専門家オイシン・ファニング氏にちなみ、「ナルゲオレ・ファニング海嶺」と暫定的に命名されたその一帯は、玄武岩でできた火山岩層の集合体であると考えられている。そこには多種多様な海洋生物が生息しており、調査で撮影された映像では、謎めいた彼らの姿を確認することができる。ソナー反応はその生態系から発せられていたものだったのだ。
オーシャンゲートの主任科学者スティーブ・W・ロス博士(ノースカロライナ大学)は、「海綿・海竹・冷水生サンゴ・スクワットロブスター・魚など、その多様性と密度に驚かされます」と、プレスリリースで述べている。
「知られざる生態系の発見は、タイタニック号やその周辺の海洋生物を比べてみるチャンス」とロス博士。類似点や相違点を通じて、深海の環境についてさらに理解を深めることができるそうだ。
映像や写真のほか、環境DNAも収集されている。そうしたサンプルは、岩礁の生物多様性や、深海生物の暮らしについて重要な知見をもたらしてくれる。
エディンバラ大学の海洋生物学者マレー・ロバーツ教授は、「この情報を学界や政府と共有し、これら脆弱な生態系に適切な配慮と保護を与える必要があります」と述べる。
オーシャンゲートは、2023年も引き続きタイタニック号やその周辺を調査し、深海に広がる魅惑の環境の探索を進める予定であるそうだ。
References:A 26-year-old Titanic Mystery Solved. The Discovery Leads to New Questions. - OceanGate Expeditions / written by hiroching / edited by / parumo
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コメント
1. 匿名処理班
ジャックの生まれ変わりだよ
2. 匿名処理班
※1
氷の海に震えながら沈んでいったジャックが魚群にはならんでしょ。僕なら陸に戻ります。
3. 匿名処理班
ローズが最後に投げたネックレスに反応してたら
ロマンチックだったのに。
4. 匿名処理班
光も届かない超高圧な世界での生態系はすごいな
5. 匿名処理班
ソンナー阿呆なー
という駄洒落を思いついたのだが、公開するのはやめておく
6. 匿名処理班
積んでた石炭が火災を起こしたまま出航してたのは事実だけどね
7. じょん・すみす
鉄イオンを食べるバクテリアが居て、そのバクテリアを底辺とした生態系が出来ている。
とか言う話を聞いた事がある。