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中世の医学。星座と身体の関連性を示した「ゾディアック・マン」

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 今のように科学が発達していなかった時代、人々は星に目を向け、それをあらゆることに関連付けていた。

 星座は人間に不思議な力を及ぼしてきたとされており、ホモ・シニョーラムとしても知られる「ゾディアック・マン」の絵は中世の医学に関する書物にも頻繁に登場した。

 ゾディアックとは、黄道(太陽の軌道)に投影された12の星座が並ぶ帯のこと。星座を表わすシンボルが、体の各部位に影響を与えると考えられていたのだ。

人体と星座を結び付けた「ゾディアック・マン」

 以下の絵は、ラテン語で書かれた15世紀のイギリスの折りたたみ式年鑑に描かれたものだ。動物や寓意的なサインにまとわりつかれているキリストらしき人物が見える。

 彼は魚座を表わす魚の上に立っていて、その胸には蟹座のカニが張り付いている。双子座の双子は両腕にしがみつき、本来、光輪が差す場所には、山羊座のヤギ、牡牛座の雄牛がぼんやりした表情の頭の上に浮いている。

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image credit:wellcomecollection(1417)

医学と星座の関連

 こうした絵は、ほとんどの場合、教訓的な意味合いをもっている。

 手術をするタイミングは、この星が一直線に並ぶとき、少なくとも治療を受ける体の部位と反対方向にならない時間に行わなくてはならない。

 例えば、17世紀のイギリスでは、頭痛を治したかったら、「月が牡羊座にあるときに瀉血するのは避ける。その星座を表わす動物が頭と顔を支配しているためだ」と言われている。

 以下は体の部位と占星術の位置との対応表である。

「牡羊座」頭、目、副腎、血圧
「牡牛座」首、喉、肩、耳
「双子座」肺、神経、腕、頭、指
「蟹座」 胸壁、胸、体液
「獅子座」心臓、脊椎、背中上部、脾臓
「乙女座」腹部、腸、胆嚢、脾臓、肝臓
「天秤座」腰、臀部、腎臓、ホルモン
「蠍座」 生殖器、骨盤、膀胱、直腸
「射手座」大腿、脚
「山羊座」膝、骨、皮膚
「水瓶座」足関節、血管
「魚座」 足、体液

(ハリー・ロビンの「科学的イメージ:洞窟からコンピューターまで」より)

 古代や近代の多くの秘儀的な慣習と違って、ゾディアック・マンを特定の地域、宗教、文明に限定するのは難しい。

 似たような絵はペルシャの文献にも見ることができる。ここでは、それぞれの星座のサインがまるでゾディアック・マンの血管の中を泳ぎまわっているように描かれている。

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ペルシャのゾディアック・マン / image credit:Wellcome Collection gallery / WIKI commons

 また、1831年の『メキシコの遺物』には、キングスバラ子爵エドワード・キングの、アメリカ先住民の遺物を複製したものが描かれている。

 子爵は先住民のことを、イスラエルの失われた部族だと信じていた。この本には、メキシコ、ナワトル族の星座のサイン(ハゲワシを意味するcozcacuauhtli、火打ち石や黒曜石のナイフを意味するtecpatl)が、ゾディアック・マンの目、爪先、口、胸にまるで凧のように糸でつながっている。ヘビを意味するcoatlが彼の生殖器に向かって威嚇するように迫っている。

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エドワード・キング9巻の古代メキシコ(1831-1848)で複製されたゾディアック・マン / image credit:wellcomecollection

 ヨーロッパでは、ゾディアック・マンのイメージは、より大きな中世のエピステーメー、つまり星座の知識の一部を形成していた。

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15世紀のウェールズ写本に描かれたゾディアック・マン / image credit:
National Library of Wales / WIKI commons

 人間自体が小宇宙で、その健康は天体の動きによって影響されるとしている。

 この考えは、バビロニア、エジプト、中国、ヴェーダ、マヤ、アステカなどの宇宙論に共通するものだ。

 ゾディアック・マンのイメージには、卵のような殻に包まれ、星座の生き物たちに取り囲まれているものもある。ゾディアック・マンは、天空を反映した縮図といってもいいものなのだ。

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ヘイマンダス・デ・ベテリ・ブスコ著『Ars computistica』(1488年)のイラスト / image credit:wellcomecollection
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17世紀にエッチングされたジェラール・ヴァルクの「Habit d’Astrologie」 / image credit:parismuseescollections

追記:(2022/07/11)タイトルを一部訂正して再送します。

References:The Zodiac Man – The Public Domain Review / written by konohazuku / edited by / parumo

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この記事へのコメント 18件

コメントを書く

  1. >>中性の医学。

    ほぉ、酸性でもアルカリ性でも無く、中性か
    と一瞬思ってしまいました。

    • +1
  2. 日本にも庚申信仰とか五臓六腑の神とかあったから、それと同じ流れかな

    • +4
    1. >>6
      男女で多少違っているけど、確か自分の身体の
      パーツごとに、番号がふってある奴で調べると
      何処が悪くなったか分かる方法が有りました。
      ※確か、六三?とかいう占いっぽい感じだった……

      • 評価
  3. 光輪の位置にいるのは牡羊座では?
    山羊座は膝のとこにいるね

    • +4
  4. ゾディアックマン…暗号か何かかな?(ゾディアック事件を連想しながら)

    • 評価
  5. アレは蛇か蠍なんだな
    でもそれは男の場合では

    • +4
  6. 現代でも西洋では星座と身体の関係が重視されてるらしく
    新型コロナも生まれの星座によって感染率が変わると信じられてたね

    • -2
  7. 今でも名残はあるよ、癌は「キャンサー」と言われるけど、かに座の意味だもの。
    癌の中でも乳癌が代表格、で胸部を支配するかに座の名がついた。
    らしいぞ(占星学的見地からの意見かもしれない)。

    • +3
  8. インフルエンザ(influenceの意味)も星のめぐりの『影響』によって流行すると考えられていたためにこの名前があるもんな

    • +1
  9. なんでこの手の古い医学書ってなんともいえない不気味さがあるのだろう

    • +1
  10. イラストの女性、ヴォイニッチ手稿に出てきたのみたい。

    • 評価
  11. 戦隊とかの合体ロボの構成でありそう

    • 評価
  12. 人体と宇宙は相似の関係にあるって古代ギリシャの哲学や医学でも言われてんね お前の中の小宇宙を燃やせ!

    • 評価

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