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犬が目の見えない人を支えるようになったのはいつ頃から?中世ヨーロッパの絵画や文献からひも解く盲導犬の歴史。

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 いつ頃から犬は盲導犬として目の見えない人を支えるようになったのだろう?一番最初に描かれた盲導犬はどんなものだったのだろう?

 こうした疑問は、目の不自由な人の歴史や中世文化の理解にとても重要だ。

 ここでは、中世ヨーロッパの絵画や文献から、盲導犬の歴史をひも解いていこう。

中世ヨーロッパにおける盲導犬の文献

 西ヨーロッパで現存しているもっとも古い盲導犬(目の見えない人が移動するのを助ける犬)を描いた絵画は、15世紀後半にさかのぼると言われている。

 だが実際には、中世の文献に残る盲導犬に関する記述は、もっと早い時期からあった。

 そのひとつが、13世紀末ごろの南フランスで作成された教皇グレゴリー9世の文献で、つぎのあたった服を着た物乞いと思われる盲目の人物が描かれている。

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 その後、14世紀初頭に作られた時祷書(中世の一般的な祈りの写本)には、目の見えない男がキリストから視力を与えられている場面が描かれていて、そばで犬が見守っている。

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 多くはこのような祈祷書の絵の中だが、中世の盲導犬の絵が文献の中にしっかり描かれていることは驚きだ。

 より現代に近い視覚障碍者と犬の絵は、ヘントのある女性のために作られた別の時祷書(1315~25年頃)の中でもでも見ることができる。

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 中世の祈祷書の中で見られるこのような絵は、気高い精神の反映として意図的に入れられたものかもしれない。

お椀をくわえた盲導犬

 14世紀半ばに描かれた盲導犬の絵には、犬がお椀をくわえているものがある。飼い主のための施しを集めているようだ。中世ヨーロッパの目の不自由な人は経済的に苦しい人が多かったからだろう。

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 中世ヨーロッパで、色覚障碍のおもな原因のひとつは、ハンセン病だった。

 抗酸菌の一種であるらい菌 の皮膚のマクロファージ内寄生および末梢神経細胞内寄生によって引き起こされるハンセン病は、現在ではそれほど多くなく、十分に治療可能な病だが、中世後期にはかかる人も多く、罪と結びつけられたため、患者は嫌われた。

 彼らは社会的に排除されて、物乞いとして人生を送らざるをえなかったという背景がある。

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もっとも古い盲導犬の絵は紀元79年のポンペイの壁画

 こうした例は、15世紀よりもずっと以前に、盲導犬やその飼い主が芸術家や作家のイマジネーションをとらえていた証拠でもある。

 盲導犬を描いた歴史はさらに前にさかのぼることができ、西ヨーロッパでもっとも古いものは、紀元79年のポンペイの壁画かもしれない。

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image credit:.canidea

盲導犬はどのような存在だったのか?

 中世の人々は、盲導犬についてどのような印象を持っていたのだろうか?

 バルトロメウス・アングリカスの『De proprietatibus rerum』 (1240年頃)では、犬はすぐに気を散らすので、目の不自由な人を導くことはできないと述べ、盲導犬の役割を軽視している。

 14世紀のハインリッヒ・フォン・ミューゲルンの『De meide kranz』では、正気を失った支配者が、犬や子ども、杖に導かれて迷う目の不自由な人に例えられている。

 一方で、12世紀のコンスタンティノープルの修辞学教師、ニケフォロス・バジラケス(1115年頃~1182年)は、盲導犬について絶賛している。

この稀有な性質についてどうしてふれないでいられよう。彼らは盲目の人の目となって先導し、あちこちへ連れていっては、人々の家の入口でパンを乞う。そして再び、主人を寝泊まりしている住まいへと連れて帰るのだ

 バジラケスによれば、盲導犬はこの点において、実際人間よりも優れているという。

人間だったら互いにやるのが我慢できないことを、理性をもたないこの動物が人間のためにやってくれるのだ

 バジラケスにとって、盲導犬は目の見えない人のすばらしい支えになることができる動物という認識だったようだ。

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中世のヨーロッパでは盲導犬を描く歴史があった

 中世のヨーロッパで、文献や美術の中で盲導犬を描く歴史が長くあったことは現存する証拠が示している。

 さまざまに違う状況の中で描かれた盲導犬の特徴や、祈祷書における彼らの存在意義を見てみると、彼らが敬虔や献身という概念に合っているとみなされていたことがわかる。

 中世文化のこうした重要な断片をとりあげることで、当時の盲導犬の描写が今後何百年も見る者を魅了し続けていくことだろう。

 やはり犬は古くから人類を支えてくれる友だったのだ。

References:Guide Dogs in Medieval Art and Writing | DR. KRISTA A. MURCHISON/ written by konohazuku / edited by parumo

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この記事へのコメント 10件

コメントを書く

  1. > 14世紀初頭に作られた時祷書(中世の一般的な祈りの写本)には、目の見えない男がキリストから視力を与えられている場面が描かれていて、そばで犬が見守っている。
    この絵の漫画力高すぎる…!服の皺も手の指ももちろん犬も、こんなにいきいきかわいくデフォルメされるなんて。

    • +6
  2. 盲導犬は意外と歴史は古かったんだな
    実に興味深い記事だ

    • +6
  3. 日本初の盲導犬🦮の訓練士をした人の本にも
    記述があった

    • +4
  4. タロットの愚者のカードのルーツの1つかもな

    • +3
  5. 目が不自由なんて今でも大変なのに
    中世なんてどれほど苦労したことだろう
    犬を友とも目ともして生きたんだね
    わんこは本当に徳が高い 泣ける

    • +7
    1. >>6
      昔は盲導犬🦮いなくても杖一本あれば
      普通に出かける事が出来たけど
      高度成長期終わったあたりから
      車も人も建物も増えて道路は狭くなって
      何もかもがめまぐるしくなって大きな音が増えて
      外に出るのが怖くなったそうです
      もしかしたら
      見える人の便利な暮らしと
      見えない人の不自由な暮らしの差は
      今の方が大きいかも
      物理スイッチからタッチパネルになって
      わからなくなったそうですし

      • +6
  6. そう言えば昔見た記憶があるんだが、”座頭市”が犬を連れて歩いている
    ってのを見たんだ。
    ただ、その後そういう話を見ないんで、一時的な物かもしれないんだけどさ。

    • +3
    1. >>7
      調べたら、新・座頭市III「犬と道連れ」の回みたいですね。

      • +2
  7. WW1後のドイツで負傷兵を助けるために盲導犬が始まったと聞いたことがあるけど、こんな昔から犬は人間を支えてくれてたのか。。。

    • +4

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