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ビタミンDの供給源となる遺伝子編集トマトが開発される

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(著) (編集)

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 腸の栄養吸収や、カルシウムの吸収を促進してくれる「ビタミンD」だが、これを含む食品は意外と限られている。

 英国などの研究グループは、遺伝子編集技術で、ビタミンDが多く含まれるトマトを作ることに成功した。

 EUを離脱した英国では、こうした遺伝子編集食品の導入へ向けた動きが進んでおり、先日、遺伝子編集作物の商業的な栽培を許可する法案が提出されると報道された。

 もし可決されれば、イギリスのスーパーの棚に、ビタミンDが含まれたトマトが並ぶようになるかもしれない。

世界的なビタミンD不足による健康問題

 ビタミンDは肝臓と腎臓を経て、活性型ビタミンDに変わり、主に体内の機能性たんぱく質の働きを活性化させる。

 正常な骨格と歯の発育を促し、小腸でのカルシウムとリンの腸管吸収を促進させ、血中カルシウム濃度を一定に調節することで、神経伝達や筋肉の収縮などを正常に行う働きがある。

 ビタミンというと野菜類に多く含まれているイメージのあるが、実はビタミンDは野菜には含まれていない。

 きのこ類、魚介類、卵類、乳類に含まれている他、皮膚が紫外線に当たることによっても生成されるが、現状は、世界的なビタミンD不足が問題となっている。

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photo by iStock

 ビタミンDが欠乏すると、腸管からのカルシウム吸収の低下と腎臓でのカルシウム再吸収が低下し、カルシウムが不足して低カルシウム血症となる。

 そのため、骨に影響を与えるほか、がん・パーキンソン病・認知症といった病気になるリスクが高まるという。

 世界では10億人もの人々がビタミンD不足に起因する病気を患っていると推計されている。

 30分も日光を浴びれば人体は十分なビタミンDを生成してくれるが、それだけの時間毎日外にいられない人だっている。だから、食べ物からきちんと摂取することが大切だ。

 そこで英ジョン・イネス・センターなどの研究グループは、遺伝子を編集したトマトでビタミンD不足を解消しようと考えたのだ。

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Photo by Markus Spiske on Unsplash

トマトの遺伝子を編集し、ビタミンD3を含ませる

 体に良い成分が含まれるトマトだが、特にビタミンDは含まれていない。ビタミン前駆体である「プロビタミンD3」が「7-デヒドロコレステロール(7-DHC)還元酵素」によってコレステロールに変換されてしまうからだ。

 そこで研究グループは、還元酵素を作る遺伝子を編集して、ビタミン前駆体からコレステロールへの変換を阻害した。

 なお遺伝子編集と遺伝子組換えの違いは、前者が遺伝子を切除するのに対して、後者は遺伝子を追加する点にある。

 そうした遺伝子編集トマトの皮に含まれたプロビタミンD3は、紫外線に当たると「ビタミンD3」に転換される。だからトマトでありながら、ビタミンDが豊富に含まれている。

 研究グループの調べによると、遺伝子編集トマトのビタミンD3は、中サイズの卵2個分やツナ28グラム分に相当するという。これなら子供にも大人にも1日の量としては十分だ。

 また遺伝子編集によるトマトの発育や収穫量への影響はなかったとのことだ。

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Photo by Tamanna Rumee on Unsplash

イギリスでは遺伝子編集作物容認の動き

 こうした成果は、ビタミンD3を主に動物性食品から得ている人にとっては特に意味あることだろう。動物性食品は植物性食品に比べて、生産に必要な資源も多いため環境への負荷も大きい。

 EUを離脱した英国では、こうした遺伝子編集食品を容認しようという動きがあるようだ。

 BBCでは先日、遺伝子編集が安全であると判断し、この技術を利用した食品開発を認める旨の法案が英国議会に提出されると報じている。

 これは栄養だけでなく、温暖化や環境問題とも関係のある話だ。温暖化が進み、干ばつが増えるようになれば、干ばつに強い作物が必要になる。

 また農薬を減らすならば、病気に強い作物が必要だ。遺伝子編集技術ならば、そうした需要に素早く対応できるようになる。

 英国の法案が可決されれば、一番最初にスーパーの棚に並ぶのは、ビタミンDたっぷりの遺伝子編集トマトなんてこともあるかもしれない。

 この研究は『Nature Plants』(2022年5月23日付)に掲載された。

References:Engineered tomatoes can help fight world hunger by producing cheap, eco-friendly vitamin D3 / written by hiroching / edited by / parumo

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この記事へのコメント 13件

コメントを書く

  1. (゚Д゚;)ファイトーーーーーー!   (゚д゚)!イッパーーーーツ!!

    • -2
  2. ケチャップやトマトジュースのボトルが効能別に
    逆三角形やセクシーくびれフォルムになる時代が
    来るのかな。

    • 評価
  3. 太陽の力波紋にはビタミンDが豊富に含まれ
    故に波紋使いは…
    民明書房刊「ビタミン」より

    • +1
  4. 海水魚の遺伝子いじくって淡水でも平気にして
    その辺の池や川や工場で育てられるようにすれば
    漁業にまつわる問題を解決できそうなんだけどな。
    人工海水で陸上養殖より魚を淡水化させる方がたぶん簡単。 

    • -3
    1. ※4
      なぜ、魚を淡水化させる方がたぶん簡単だと思われたのであるか?
      海水魚とと淡水魚とでは、腎臓の生理学的構造、尿の濃度、体内の浸透圧調節が逆の方向に働いている、
      などの色々違う点があり、ゆえに遺伝子も単一でなくたくさんあるとおもわれる。
      今の遺伝子編集でできるのは単一の遺伝子をカットし機能不全にするだけだ。

      • +3
      1. ※6
        鮭は川と海を行き来してるように、両方で生きられる魚もいるわけで、さほど難しくないかもしれないよ。
        魚種によるんじゃないかな。

        それと遺伝子編集に限定しないで、組み換え技術だって使ってもいいんじゃないかな。

        アタクシもそうそう簡単にできるとは思ってないけどね。生存率や成長も影響受けるだろうから採算性も考えなきゃいけないし。

        • -1
    2. ※4
      そもそも淡水で養殖すること自体がコストかかる。餌代半端ないからね。その餌も魚粉なしには作れないため、養殖漁業は業業なしに成り立たない。また、生産すればするほど安くなってしまうがコストを抑えることは難しいため採算割れしやすい。

      • 評価
  5. 遺伝子操作された農産物は、日本ではある団体によって市場から排除される。今度もそうなるだろう。前の時だって「遺伝子操作された農産物は身体に悪い」という科学的に「?」な説を引っ提げて、消費者の感情に訴えて日本市場から締め出す事に成功した
    実際は遺伝子操作された農産物は、コピーガード機能である「ターミネータ因子」が組み込まれる可能性があるので、日本市場に遺伝子操作された農産物を普及させたくないだけだったりする。おかげで日本の農産物はいまだにコピーガード出来ずに、パクられ放題だ。そして遺伝子操作された農産物を日本市場から締め出した団体は、実は韓国農産物のパクりが得意な国と仲がいい事に、誰も注目しない

    • 評価
  6. 日本だったら、ビタミンDの供給源として
    椎茸があるんだけどね。
    天日で干した椎茸を食うのも良し、椎茸を食ってから太陽に当たるのも良しで
    ビタミンDが体内で発生してくれる。
    しかし英国だろ?
    椎茸を使った英国料理が、いまいち思いつかないんだ。

    • -1
    1. ※8
      マッシュルームにも普通に含まれているし、
      椎茸はイギリスでもスーパー等でわりと売っているそうだ。
      (イギリスかどうか不明だが、英語のレシピを検索したら
      ソテーっぽい炒め煮や、スキヤキ味っぽいアジアンメニュー、
      あと麺類やお粥的なのに他のキノコと同じように使ってたり。)

      それと、ニシンやイワシその他の青魚類も
      キノコ類に匹敵するか それ以上のビタミンD供給源。

      • +2
    2. ※8
      天日干しの椎茸でないと、あんまりビタミンD含まれてないらしいよ。で、大量に流通してるのは機械干し。
      そんな干し椎茸も自宅で天日にさらせばOK。

      あとイギリスを始めヨーロッパは緯度高いから、日光浴だけじゃなく食事からビタミンD摂るのが大事なんじゃないかな。

      • 評価
  7. 遺伝子組換えって言葉のイメージが悪すぎるから遺伝子編集って呼んでるだけでやってることは同じだし、それ自体は良いも悪いもない事象の説明でしかない

    • +1

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