
もともと観賞用だったものが、食用としてヨーロッパに広まったのは18世紀頃。日本に伝わったのは江戸時代後期だ。
その後様々な品種改良を経て、現在市場には甘くておいしいトマトが出回っている。
フルーツトマトなんかもう、果物に近いぐらいの糖度で、トマトは果物寄りに向かっていくのかと思いきや、そうでもなかった。
ブラジルとアイルランドの研究者が、遺伝子編集ツール「CRISPR-Cas9」で世界初となる唐辛子のようにピリッと辛いトマトを作り出そうとしているのだ。
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トマトが持つカプサイシン生産遺伝子にスイッチを入れる
『Trends in Plant Science』に掲載された研究では、トマトが持つカプサイシン生産遺伝子にスイッチを入れる方法が提案されている。カプサイシンは唐辛子にピリリとした辛さを与えている成分であるが、トマトの遺伝子を解析した結果、これを作り出す遺伝子がトマトにも存在することが明らかになった。
研究論文で提案されているゲノム編集手順に従えば、唐辛子のようなピリッとした辛さを持つトマトを作れるはずだという。

pixabay
本当の狙いは、生産が難しい唐辛子の改良
じつは研究者の狙いは、珍しいトマトを作ることではなく、唐辛子の改良である。トマトはバイオテクノロジーによる操作に対して素直に反応するモデル種だが、唐辛子は育てるのにかなり特殊な条件が必要になるうえ、辛さがばらつくことも多いことで知られている。
しかも1ヘクタールあたりの唐辛子の生産高は4〜5ヶ月で3トン程度だが、トマトなら120日たらずで110トンも作ることができる。
もし唐辛子と同じような辛さをトマトで実現できれば、唐辛子よりも育てるのが簡単で、30倍もの生産高が期待できるようになるのである。
いつかピリリと辛いトマトが出回る日がくるかも!?
16世紀の大航海時代、ヨーロッパ列強は唐辛子の辛さを求めて世界各地に船を送り、植民地化や略奪を行なった。だが、この技術が当時存在したとすれば、そうした悲劇も防げただろうと、著者の1人であるサンパウロ大学のラザロ・E ・P・ペレス(Lazaro E.P. Peres)氏は冗談めかして話す。
唐辛子トマトはまだ実際には作られていない。だが新しい方法を繰り返すことで、見た目が唐辛子のようなトマトを作ることには成功している。

LAZARO E.P. PERES
この手順をさらに繰り返すことで、近いうちにピリリと辛いトマトの誕生が期待できるかもしれない。References:Capsaicinoids: Pungency beyond Capsicum: Trends in Plant Science/ written by hiroching / edited by parumo
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コメント
1. 匿名処理班
系統的に近縁なピーマンの方が品種改良に向いてそうだけどね
2. 匿名処理班
元々辛そうな見た目だからちょうどいいかもね
🍅🌶️(ーー;)
3. 匿名処理班
何でもかんでも甘くしすぎる最近の品種改良もあんまり好きではないのだが
ナス科つながりとはいえ辛いのは唐辛子の仲間だけにしておいてくれ……
4. 匿名処理班
将来的に辛いトマトができたとき
作付面積当たりの生産量が唐辛子と同じだったというオチがいいな
5. 匿名処理班
昔「トマピー」ってのがあった。試そうと思ってたのに、あっという間に無くなった。
6. 匿名処理班
チリトマトの材料が一つ減る時代が来るのかな
7. 匿名処理班
トマトもトウガラシもナス科のお友達だったか。
某カップスープのトマトスープが甘くタバスコ振り込んで食してるので、元々辛口トマトがスープになれば楽しみ。
8. 匿名処理班
そのままチリトマトソースになりそう
9. 匿名処理班
生産量30倍といってもほとんど水分だけどね
成功しても辛み成分が30倍採れるようになるわけじゃないでしょ
10. 匿名処理班
辛いトマトでトマトソース作ったらおいしそう
11. 匿名処理班
見た目だけは唐辛子っていうかナスに先祖返りしただけのような。
12. 2
遺伝子組み換え言うと反射的に悪いものとして叩く勢力があるけれど、品種改良の可能性をどんどん探っていってほしいのです。
13. 匿名処理班
そんなにカプサイシンって大事か?
14. 匿名処理班
トマトも原産は新大陸だろ。
15. 匿名処理班
ししとうでいいじゃんと思ったがナス科だった
しかもトマトもナス科、出来そうで出来ないのか
16. 匿名処理班
辛口トマト〜💕
普通のトマトと区別つかないと大変だろうな…それこそ赤いナス型で良いのかも。
17. 匿名処理班
アラビアータが好きなので大歓迎♪
中玉トマトと鷹の爪1:1でお願いします!
18. 匿名処理班
トマト食うと冷えるしな
丁度良いかもしれん
19. 匿名処理班
煮詰めるだけでアラビアータが出来るトマトですね。
20. 匿名処理班
トマトでロシアンルーレット楽しみだ。
21. 匿名処理班
イタリア人「さらにニンニクの香りも加えよう」
22. 匿名処理班
カプサイシンで実が大きく育たなくなって結局唐辛子と同じ生産量になったっりして
23. 匿名処理班
>>15
シシトウはさらに、トウガラシ属なのでさらに近縁だぞ
もちろん生物群によっても分類の基準は違うんだが、この植物は確かに似ていると感覚的に理解出来るのは同属ぐらい近縁になってからだね
科レベルで同じと言われても一体どこらへんが同じやねん?と感じることがほとんどだと思う
24. 匿名処理班
遺伝子が暴走してキャロライナ・リーパーが出来たらどうする
25. 匿名処理班
ドラえもんに出て来るどら焼きの成る植物も夢じゃないな
26. 匿名処理班
ザ・シンプソンズの「トマコ」みたいなの作れるのかな
タバコとトマトのミックスで中毒性がやべぇやつ
27. 匿名処理班
※1
既に、辛いピーマンなる物が商品化されています
スーパーで売っていました
28. 匿名処理班
>>21
でポマトと交配して、根っこを掘るとポテトがゴロゴロ。
一株でおかず一皿まかなえちゃう夢の野菜の誕生だな。
29. 匿名処理班
※15
シシトウは普通に唐辛子の花粉が混入すると「辛いシシトウ」の種を作ってしまう。
30. 匿名処理班
辛いトマトだけにキラートマトってか
31. 匿名処理班
ぼく、いたずらで使いたいです。
32. 匿名処理班
※1
系統的に近縁も何も、ピーマンとトウガラシは植物種としては同じもんだぞ。甘味種と辛味種でそれぞれ栽培品種が色々作られただけで。言ってみれば、ピーマンは大きなシシトウなんだよ。
33. 匿名処理班
※32
世界のペッパー類消費量でランキング取ると唐辛子もピーマンも一緒くただから
いかにも辛いもの食べてる韓国とか東南アジアあたりって大した位置にならないんだよね
パプリカをものすごい消費する国が結構あってそっちの方が強い
34. 匿名処理班
※32
勉強になったありがとう。プランターと土とピーマンと唐辛子の苗を一緒に植えてみたら、辛いピーマンできるかな。
※29
私もそういう風に聞いたけど、Wikipediaでは裏付けがないとでてる。残念ながら、畑を持ってるわけじゃないので、すぐには実験できないけどさ。関東南部に住んでるから苗をゴールデンウイークくらいに植えればいいかな。一つのプランターに端っこからピーマン、唐辛子、シシトウって植えて両脇が辛くなったら成功w
35. 匿名処理班
野菜になったらトマガラシかなと思ったけど、キラートマトもありか。
36. 匿名処理班
※29
辛いトマトの花粉が流出して交雑してやがて世界中のトマトが辛くなったり
37. 匿名処理班
※28
ただし各部位が栄養を簒奪しあうためすっごく不味いorすっごく高い、とかになりそう
38. 匿名処理班
ってことはだよ、ピリ辛のナスも作れるかもしれないってことだな
39. 匿名処理班
リアルアストロノーカやんけ
40. 匿名処理班
カプサイシンの辛い成分、苦手だしいらない・・・
下手に流出すれば辛いトマトと交雑して見分けがつかなくなる恐れがある。
ししとうだってたまに辛いのがあるからあえて避けて
好きなピーマンやパプリカを選んでるのに。
私が本当に希望するのは赤ピーマン(またはパプリカ)とトマトを細胞融合させて、
赤ピーマンやパプリカの食感と味が似た
新たな何かを作りだしそちらの収穫量を上げることだ。
41. 匿名処理班
タバスコ味のトマトか・・・喉が熱くなるな