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海藻の群生地の下には大量の砂糖の山。缶コーラ320億缶相当が保管されている

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(著) (編集)

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 海草は世界の気候にとって重要な役割を果たしている。海草の群生地は地球上最大級の二酸化炭素吸収源であるからだ。だがそれだけではない。

 最新の研究によると、なんとその地下には缶コーラ320億本分に相当する「糖」が蓄えられているそうだ。

 海草には地下に排出した糖を守る作用もあるために、糖が微生物によって分解されることはない。二酸化炭素をたっぷり保管できるのもそのおかげであるそうだ。

 この研究は『Nature Ecology & Evolution』(2022年5月2日付)で発表された。

海草の群生地の下でたっぷりの糖を発見

 世界の海岸沿いには豊かな海草の草原が広がっている。こうした海草群生地は地球上で最大級の二酸化炭素吸収源でもある。

 海草1平方キロあたりに蓄えられているCO2は、陸上の森林の2倍もの量であり、吸収速度は35倍も速い。こうした海や海洋生態系によって吸収されたCO2を「ブルーカーボン」という。

 今回ドイツ、マックス・プランク海洋微生物学研究所のグループは、海草が「根圏」(根から出る分泌物と土壌微生物が織りなす地下空間のこと)に大量の糖を放出していることを発見した。

 海藻が作り出す糖は、砂糖の主成分である「スクロース(ショ糖)」で、そこにある糖の濃度は、これまで海で計測されたものの80倍も高い。

 ここから試算すると、世界の海草の根圏には60万~130万トンもの「スクロース」が存在すると考えられる。これはコーラ320億缶分の砂糖に相当する量だ。

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photo by iStock

海草は微生物から糖を守っている

 微生物は、消化しやすくエネルギー豊富な糖が大好きだ。だが海草の根元にある糖は、微生物によって食い尽くされたりはしない。それは地上の植物と同じく、海草もまた地中に、ある化合物を放出して守っているからだ。

 ある化合物とは、赤ワインやお茶でお馴染みの「フェノール類」(ポリフェノールとは、フェノール類のうち複数のヒドロキシ基を持つもの)のこと。

 健康にいいとされるフェノール類だが、抗菌作用があり、ほとんどの微生物の代謝を阻害してしまう。

 これがあるおかげで、海草の根の周囲には御馳走がたくさんあるというのに、微生物はそれを食べることができない。

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photo by Pixabay

海草はなぜ糖を捨てるのか?

 なぜ海草はこれほどの糖を作り、地中に捨てるのだろうか? それでいて糖を微生物から守っているのだから不思議な話だ。

 研究グループによれば、理由の1つは、安全弁のような機能があるからだという。海草は光合成を通じて糖を作り出す。この時、日光が平均的な強さならば、海草はきちんと糖を消費して、そのエネルギーを使うことができる。

 しかし昼間や夏場のような特に日差しが強い時期には、必要以上に糖を作ってしまう。そこで余分なものを地中に捨てているのだ。

 だが、ただ捨てているばかりではない。どうもそこには共生関係が育まれているようだ。実は海草の防御にもかかわらず、スクロースを食べられる特殊な微生物が存在するのだ。

 そうした微生物は、スクロースを消化して、フェノール類を分解できる。だがそれだけではない。「窒素」のような海草の成長に必要な養分まで作り出しているのかもしれない。

 陸上の植物なら根圏の微生物との互恵的な関係がよく知られているが、海草と根圏微生物との関係はようやく解明され始めたばかりだ。

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Photo by Benjamin L. Jones on Unsplash

海草の群生地がピンチ

 海草群生地には温暖化を食い止める重要な働きがあるが、地球上でもっとも危機に瀕した生息域の1つでもある。

 もし海草が失われれば、そこに蓄えられていたブルーカーボンが大気に放出されることになる。それまで海草が守っていた糖が微生物によって分解されてしまうからだ。

 研究グループの試算によると、そうなれば少なくとも154万トンの二酸化炭素が大気に放出されるという。これは33万台の車が1年に排出する二酸化炭素に相当する。

 今、海草群生地の中には毎年7%ずつ失われているところもある。これはサンゴ礁や熱帯雨林の消失速度に匹敵する。

 また、すでに世界の海草の3分の1が失われた可能性もあるという。今回の研究は、海草が私たちにとっていかに大切な存在であるのか浮き彫りにしている。

References:Sweet spots in the sea: Mountains of sugar under seagrass meadows — ScienceDaily / written by hiroching / edited by / parumo

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この記事へのコメント 32件

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  1. コーラ320億缶分って言われても。東京ドームなん杯分だ ?

    • +5
  2. 320億缶相当のコーラって地球上で何日くらいで消費されてるんだろうなとふと思った
    仮に1缶500CCと考えて16兆リットルか…

    • +1
    1. >>2
      一部の国(メキシコとかアメリカとか)がとんでもない量消費してるからなぁ

      特にメキシコなんて国民一人あたり年間150リットル以上飲んでるから、320億缶あっても全世界消費量だと3日くらいでなくなりそう

      • +1
  3. ペットボトルは500mlで、角砂糖1個は約3.3gです。

    3.3×320億÷1000÷1000=10万5600トン

    石油タンカー1隻分にもなりゃしねえ

    • -8
    1. ※3
      「世界の海草の根圏には60万~130万トンもの「スクロース」が存在すると考えられる。」て明記してあんじゃん。

       それと、コーラ500mlに含まれる砂糖は角砂糖10個分以上って言われてんのに、計算おかしくないか?

      • 評価
    2. ※3
      >世界の海草の根圏には60万~130万トン

      • 評価
    3. ※3
      1缶に3.3gの砂糖が入っているのですか。

      • 評価
  4. 計算間違いだ
    56.5*32000000000/1000/1000=181万トン

    石油タンカー4隻分か

    まあ大したことない量だな

    • -5
    1. ※4
      それに含まれる炭素が二酸化炭素になった時にどれくらいの量になるのか、というのが問題なんじゃないの?

      「研究グループの試算によると、そうなれば少なくとも154万トンの二酸化炭素が大気に放出されるという。これは33万台の車が1年に排出する二酸化炭素に相当する。」
      ってある通りで、それをもって「大したことない量」なのかどうかだと思うけどね。

      • +4
      1. ※9
        世界にはおよそ15億台の車がある
        33万台分って端数も端数

        • +1
  5. 海藻の保全は難しそうだなあ。
    陸の樹木なら植林するなり焼畑農業をやめたりすればいいだろうけど、
    海藻をそれなりの規模で保全するってなったら生物圏そのものから組み立て直さなきゃならん。
    自分も昔、アマモを育ててそれを海に植えたことあるけど正直焼け石に水だっただろうな…

    • +3
  6. 海藻の大切さを説明する記事だと思うから糖質が地下にあるなんて初耳で勉強になる、磯焼けは根本的な解決法も無く関心持っても出来る事無いからなー

    • +4
  7. そう言えば浴槽で何とか言う水草を育てて、そのお風呂に入って、何年も浴槽の湯を取り替えずに入ってるお婆さんをテレビで見たことある。

    あれ、何かの美容法か健康法だったかな?

    ちなみにかなり臭いらしい(´・ω・`)

    • 評価
    1. ※12
      なつい。マコモですね。20年くらい昔に仰天系のTVで見たような~
      と思ってググったらこの21世紀の最近に話題になってる!?
      でも否定してる方もヒステリックで、まず落ち着いて科学的に検証しなよと思う

      • 評価
  8. もしかすると、食糧問題を多少なりとも改善できるかも。
    人類は農耕でイネ科(コメ、小麦、トウモロコシ)を主食にしているところが多く、生産性が高くて炭水化物を容易に得ることができたため餓死者が減って、文明のもとになったかもと思ってます。海藻は広大な海で栽培できることを考えると耕作地の問題は割とどうにかなりそうに思うわけですわ。同じかどうかわからないけど浮遊性の海藻とかね。 EEZ の広い日本でそういうのが研究されるといいんじゃないかなぁ。ま、どうやって海藻の栄養を持っていくかとか、海藻の農耕はノウハウが少ない(ノリとかテングサとかくらい?)から課題山積みだろうと思うけどさ。

    • 評価
    1. ※13
      半ば都市伝説かもしれないけど、海藻を消化できるのは日本人だけって話もあるよね。
      加熱すれば硬い細胞壁が崩れて消化できるようになるけど…。
      でも確かに海苔とか除いてあんまり海藻って食べられないの、何故なんだろうね?
      栄養が無いわけでもなさそうだし…単純に塩分濃度の問題で採算が取れないだけかな?
      もし海藻を食用にするように/出来るようになったら確かに食糧問題も解決かもね。
      大陸棚全部が農耕地になるようなもんだし。

      • -2
      1. ※14
        日本人のいにしえは
        ウミイグアナだったんだよ。
        古事記に書いてある。

        • -4
        1. ※17
          稗田阿礼 太安万侶に失礼
          というか「古事記に書いてある」ネタ、外人が外人相手にネタとしてやってるのはともかく、日本人がやっても自分教養なんてありませんのよって明言してるだけでサムいだけだわ

          • -5
      2. >>14
        海藻があまり食用にされなかったのは、単に海藻を食べる必要性が無かったからじゃないですかね?

        たとえば栄養価的に優れてる虫やミミズを食べないのと同じかと

        • 評価
      3. >>14
        生の海藻な

        干した海藻とかは問題ない

        • 評価
    2. ※13
      あれは育ててるのではなく、アマモかマコモの粉を都度入れているだけです

      ※14
      いつまでその恣意的な書き込みを続けるつもりなのか
      カラパイア読者ともあろうに情けない
      一次情報を読んでください
      https://www.nature.com/articles/nature08937

      • -1
    1. ※16
      タイトルでは“海藻”だけど、言ってるのはたぶん“海草”だと思う、ワカメやアラメじゃなくてアマモなんかの、植物の方。

      • +1
  9. 海って甘味無いよねーと思ってたけどこの記事を見て
    やっぱ無いんだなと確信した

    • 評価
  10. 森林より、海のほうが。
    CO2の処理?が大きいって記事を見た事あるけど。
    てっきり海水に溶け込んで。
    何らかの形で固まりになったりするのかと思ってたけど。
    この原理?の事だったのかな??

    • 評価
    1. >>24
      海にもCO2処理能力が備わってるのか。自然って凄く面白いとワクワクした。ありがとう。

      • 評価
  11. コカコーラ社の世界での売上高が318億ドルだそうで、
    大体似た数字。国により値段はまちまちだろうけど、
    1本1ドルとするなら一年分の売上相当ですね
    …野暮は止しましょうか

    • 評価
  12. 海藻の群生地は世界に320億箇所以上あるってことか。

    • 評価
  13. 海がコカコーラみたいな甘さになるらしいことを知った。

    • 評価
  14. 大量の砂糖が石油の原料になったり?

    • 評価

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