ホログラム映像を宇宙に送るNASAの技術
 SFの世界が現実になりがちな昨今、スターウォーズで見たことあるホログラム投影技術がいよいよ現実味を帯びてきた。

 「ホログラム」と「テレポーテーション」を組み合わせたNASAのリアルタイムの立体映像送信技術「ホロポーテーション」だ。

 NASAはこの未来的なシステムを使って、外科医のジョセフ・シュミット博士を国際宇宙ステーション(ISS)に転送することに成功した。

 本人は地上にいながらにして、国際宇宙ステーションにテレポートされ、その姿を宇宙飛行士らの前に現したのだ。
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宇宙への転送「ホロポーテーション」

 シュミット博士は、ホロポーテーション装置の開発協力を行う「AEXA Aerospace」社のフェルナンド・デ・ラ・ペナ・ジャカ氏らと、この次元を超えた旅に参加した。

 「地球から旅に出るまったく新しい方法です」と、シュミット博士は声明で述べている。「肉体はそこになくとも、存在は間違いなくそこにあります」

 意外なことに、ホロポーテーションは最先端の技術というわけではない。

 数年前にマイクロソフトが考案したものだ。主な狙いは、広告・医療・教育といった分野で応用することで、今にいたるまで着実に進化してきた。それをNASAが1つ上の次元へと引き上げたのである。

 NASAがやった地球から宇宙へのヴァーチャルな転送は史上初の試みだ。
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2021年10月8日、国際宇宙ステーションにホロポーテーションされたメンバー。シュミット博士は中央のネクタイをした人物 / image credit: ESA astronaut Thomas Pesquet

ホロポーテーションはどのような仕組みになっているのか?

 ホロポーテーションは次のような仕組みになっている。

 転送対象者にそっくりな3Dモデルを作成し、そのデジタルデータを圧縮して送信。国際宇宙ステーション内で再現する。そして、これらはすべてリアルタイムで行われる。

 転送された人物の姿は、マイクロソフトのMRデバイス「ホロレンズ」に映し出される。

 なので転送者とISSの宇宙飛行士は、まるで同じ空間にいるかのようにコミュニケーションを交わすことができる。

 たとえば、ISSに滞在する宇宙飛行士のトーマス・ペスケ氏は、肉体は遠く離れたところにあるシュミット博士とデ・ラ・ペナ氏との会話を楽しんだ。

 それだけでなく、この3人はがっちり握手まで交わしている。

 NASAによると、医療・精神ケアや家族との面会など、私的な話し合いなどに利用する予定であるとのこと。それを使って、要人をISSに招待したりなんてことも考えられるそうだ。
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マイクロソフトのホロレンズ2 / image credit:HoloLens 2

 また拡張現実機能を実装することで、地球にいながらにして宇宙ステーション内を歩きまわったり、そこにあるものを観察したできるようにもするという。

 物理的に触れないという点を除けば、そこにいるのと何ら変わらない状況を体験できるようになるのだ。

様々な可能性を秘めたホロポーテーション

 この技術のおかげで、宇宙飛行士は宇宙ステーションの中で、気軽に医師の診察を受けられるようになるかもしれない。

 将来的には、火星など、さらに遠くの宇宙探査ミッションに使用されることが期待されている。ただしこれには課題が残されている。

 現状のままだと、片道20分ほどのタイムラグが生じてしまうため、地球から話しかけても、それが宇宙に届くのは20分後になってしまうからだ。

 国際宇宙ステーションの場合は地球に近いため問題がないという。「3分後でも3週間後でも好きな時に帰還できますし、システムが稼働している限り、宇宙ステーションで生活することだってできます」とシュミット博士。

 今回の実験でもそうだったように、ホロポーテーションはあくまでリアルタイムで双方向のコミュニケーションを目指した技術だ。遠くの宇宙に行く場合にはタイムラグが生じないような技術が必要となってくるだろう。

 だが地球でそのまま応用することもできる。

 たとえば、極限環境での作業や軍事作戦で、そこにいない専門家のアドバイスを受けることができたら、どれほど心強いか想像してほしい。

 「複雑な装置を使って作業している時、そばにアドバイザーや設計者がいてくれると想像してみてください」とシュミット博士。

 「腕のいい外科医が2人で手術を担当してくれるようなもので、あなたもまた共同作業できるわけです。重要なハードウェアの作業を最高のチームと一緒にできるなら、誰だって安心でしょう」

References:Innovative 3D Telemedicine to Help Keep Astronauts Healthy | NASA / written by hiroching / edited by / parumo
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コメント

1

1. 匿名処理班

  • 2022年04月21日 20:14
  • ID:t1CgvEZu0 #

???「ホログラムなら額にHと書いてあるはずだ」

2

2. 匿名処理班

  • 2022年04月21日 20:14
  • ID:vysGdgNv0 #

緊急事態の概要を述べよ

3

3. 匿名処理班

  • 2022年04月21日 20:26
  • ID:7bN7pUkd0 #

ST VOY

4

4.

  • 2022年04月21日 20:43
  • ID:FgEKuVRU0 #
5

5. 匿名処理班

  • 2022年04月21日 20:46
  • ID:8CjqcmKQ0 #

長寿と繁栄を

6

6. 匿名処理班

  • 2022年04月21日 20:58
  • ID:cSBBfpkR0 #

EMHだ!

7

7. 匿名処理班

  • 2022年04月21日 21:24
  • ID:FFZhVqBa0 #

EMH mark1 「緊急事態の概要を述べたまえ」

8

8. 匿名処理班

  • 2022年04月21日 22:00
  • ID:12S8CI1O0 #

ホロレンズって、、眼鏡に映像移しているのとかわらない
ホログラムじゃないやん

9

9. 匿名処理班

  • 2022年04月21日 22:04
  • ID:jluxGenb0 #

とはいえホロレンス使ってる以上、みんなが思ったホログラムとは全然違うものです。

10

10. 匿名処理班

  • 2022年04月21日 23:56
  • ID:OaJHi1pc0 #

レッドドワーフ号かスタートレックか悩む

11

11. 匿名処理班

  • 2022年04月22日 00:00
  • ID:uult3XX.0 #

3Dテレビ電話だなこれ

12

12. 匿名処理班

  • 2022年04月22日 00:01
  • ID:qHXRfb8o0 #

「テレポーテーション」の意味わかってないとしか思えない記事

13

13. 匿名処理班

  • 2022年04月22日 08:47
  • ID:Lga78JWS0 #

※10
自分はスタートレックヴォイジャーの方を思い出した
折りたたみ式携帯と良い 色々なモノが実現しつつあるな
折りたたみ式スマホはショッパイけどな

14

14.

  • 2022年04月22日 09:07
  • ID:8KwO3G890 #
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