
『Nature Communications』(2022年3月1日付)に掲載された研究によると、その小さなロボットは、熱と磁力に反応して、一定の条件が整うと水の重金属を収集してくれるという。
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重金属で汚染された水をきれいにするナノロボット
埋め立て地、鉱山における採掘、産業廃棄物から重金属が漏れて、川や湖、海の水質を汚染してしまうことがある。重金属で汚れた水をきれいにするには、いく段階もある複雑な処理をしなければならない。そこで今回開発されたのが、ナノロボットに重金属を取り除いてもらう方法だ。
新たに開発されたナノロボットは、熱と磁力に反応して、一定の条件が整うと重金属に結合(あるいはその逆)してくれる。
ウイルス並みに小さなわずか200ナノメートルのボディは、「プルロニック型トリブロック共重合体(PTBC)」を誘引剤として作られる。
ちなみに1ナノメートルは10億分の1メートルだ、200ナノメートルは500万分の1メートルと、このロボットがどれくらい小さいかわかるだろう。
また「酸化鉄」が利用されているので、磁場を使ってコントロールすることができる。
冷たい水に入れると、ロボットは重金属に結合する。反対に温かい水ならば、結合が緩み、重金属が解放される。

水処理用途向けのナノロボット / image credit:DOI: 10.1038/s41467-022-28406-5
この性質を利用すれば次のような使い方ができる。
まず冷たい汚染水にナノロボットを大量に入れる。するとそれは自然に広まって、そこにある重金属に手当たり次第にキャッチしてくれる。
今度は、磁石でナノロボットを集める。あとは水を温め、重金属を取り除く。そう、ただ水をキレイにしてくれるだけでなく、再利用できるところもミソなのだ。
Nanorobots
重金属の65%を除去
今回の研究では、水槽の水に「ヒ素」などの重金属を混ぜ、ナノロボットの除去性能が試された。大量のナノロボットを水に入れ、100分待つ。それからナノロボットを回収し、除去された重金属を確認する。
その結果、汚染が65%除去されることが確認されたという。
なお、この研究はあくまでお試し程度のもの。現実の現場でもナノロボットは実用レベルの力を発揮できるのか? それを確かめるため、引き続き研究が行われるとのことだ。
References:Using nanorobots to help clean heavy metals from polluted water / written by hiroching / edited by parumo
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コメント
1. 匿名処理班
ナノロボットって本当に有用だな 結局地球は微生物サイクルの星っていうことなんだろうな…
クレイジーゴーンみたいなロボットに無双して欲しいっていう気持ちはもう捨てなきゃ!
2. 匿名処理班
すごいわ
3. 匿名処理班
回収できなかったナノロボットが環境に蓄積していくパターン
4. 匿名処理班
あろひろしの漫画に出てくる金魚みたいなことかと思ったら全然違った
5. 匿名処理班
魚に食われてしまったりしないんかね?消化吸収はされないだろうけども。
6. 匿名処理班
・・・これただのフェライト法じゃないですかね?
鉄粒子をポロキサマーにしただけでしょこれ
7. 匿名処理班
金の採掘に鉛使う奴らを無くす為に
金をナノロボットで回収する研究もした方が良い
8. 匿名処理班
コイツにAI搭載したら暴走して地球が侵食されてそう
9. 匿名処理班
※7
鉛じゃなくて水銀な
10. 匿名処理班
温泉からレアメタルを回収する研究もあるから
汚染された水は資源の宝庫ともいえる。
11. 匿名処理班
ここで言うナノロボットは「デザインされた分子」ぐらいの意味だな多分
12. 匿名処理班
65%……約2/3。残り1/3が取れないのはなぜなのだろう・・・?
ナノロボット(ナノボット?)の量が、単純にまだ足りなかったのだろうか?
13. 匿名処理班
※3
そんなときは、ナノマシンを吸着する重金属をばらまいて……
14. 匿名処理班
※13
無限ループはやめろwww
15. 匿名処理班
これマジですごいだろ
汚染地域から回収できるだけでなく海洋からも資源集めれるし
エコロジーだ…取りすぎると環境破壊だが