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ヒキガエルが分泌するハッピーになれる幻覚成分が、うつ病の治療薬として有望視されている件

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(著) (編集)

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 ヒキガエルが持つ猛毒に含まれる幻覚を引き起こす成分が、近い将来、うつ病の治療薬として有望視されている。

 数十年使用されている抗うつ剤の効果は思っていたほど上がっていないという。うつ病を抱える人は世界で2億6400万人以上いるともいわれているが、その約3分の1が抗うつ剤が効いていないという調査結果もある。

 そこで今、新たに注目されているのが、サイケデリック療法(幻覚療法)だ。1960年代初期に登場した療法だが、副作用が少なく、効果の高い幻覚成分としてヒキガエルに含まれる有効成分が注目されているのだ。

うつ病の治療薬として再び注目されているサイケデリック療法

 「サイケデリック療法」(幻覚療法)は、LSDやマジックマッシュルームといった幻覚剤を医療に利用しようという試みだ。

 その始まりは、1960年代前半にアメリカの心理学者ティモシー・レアリー博士が行った「ハーバード・シロシビン計画」とされる。シロシビンはマジックマッシュルームに含まれる幻覚性化合物である。

 しかし、その後まもなくシロビシンに対する強い批判が起こり、安全性や正当性が懸念されたことから中止となったが、最近になってその見方が変化してきた。

 2018年、FDA(アメリカ食品医薬品局)は、ついにシロシビンを「画期的治療法」と位置付けた。深刻な症状の潜在的治療効果が認められ、薬品の審査と開発の迅速化が許可されたのだ。

 その後サイケデリック療法の研究は加速する。

 たとえば英インペリアル・カレッジ・ロンドンや米ジョンズ・ホプキンス大学などがこの分野で研究を進めているほか、最近では英国のサイケデリック療法企業Compass Pathways社が米国の株式市場に上場を果たした。

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photo by iStock

注目を集めるヒキガエルが分泌する幻覚成分

 これまでサイケデリック療法の研究で主に扱われてきたのは、エクスタシー、ケタミン、シロシビンといった幻覚剤だった。

 しかし今回、英国の新興企業ベックリー・サイテック社(Beckley Psytech)が、8000万ドル(約87億円)の資金を調達することに成功した幻覚剤はヒキガエルの毒に含まれる幻覚性化合物だ。

 アメリカ南西部からメキシコにかけて広がるソノラ砂漠に生息する「コロラドリバーヒキガエル(Incilius alvarius)」は毒を分泌する耳腺が大きく発達しており、背中の皮膚の腺からアルカロイド系の猛毒を分泌する。このヒキガエルを襲った犬は麻痺して死にいたることもある。

 その毒の中に含まれる、「5-MeO-DMT(5-メトキシ-N,N-ジメチルトリプタミン)」という化合物は強力な幻覚作用があり、一度吸引すると1か月もハッピーな気分でいられる強力な幻覚剤であることが知られているが、その効果をうつ病の治療に利用しようというのである。

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ヒキガエルの幻覚成分を使うことで治療費も軽減

 ベックリー・サイテック社の最高経営責任者コスモ・フィールディング・メレン氏によると、同社が5-MeO-DMTに注目するのは治療費の大幅な削減を期待できるからだという。

 シロシビンを使った臨床研究では、治療が難しいうつ病の治療に大きな効果があることが示されている。しかしシロシビンを使うと5~8時間その効果が持続するために、その間治療者が付き添わなければならなくなる。

 一方、5-MeO-DMTの場合、同程度の治療効果を期待できながら、治療は1時間だけで済むのだ。治療時間が短縮されれば、治療費が安くなるだけでなく、医師や患者の負担軽減にもつながる。

 くわえて、シロシビンやLSDに比べて視覚的な作用が少ないことも、5-MeO-DMTが治療に向いている理由であるという。

 サイケデリック療法の有効性や安全性についてはかなり期待が持てるそうで、現在処方されている抗うつ剤が効かないという患者にとっては待ち望むものとなるかもしれない。

 使い方次第では毒が薬にもなる。自然界には毒にも薬にもなる成分が数多く存在しているようだ。実は人間も、毒遺伝子を持っているそうだが、毒を使う必要性がなかったため発達しなかったそうだ。

References:Psychedelic toad venom could soon be a clinical treatment for depression | Sifted / written by hiroching / edited by parumo

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この記事へのコメント 34件

コメントを書く

  1. ヒキガエルをペロペロ舐めてる人、何かで見たなぁ

    • +1
  2. 薬やアルコールは思考を止めてくれるくれるからハッピーにはなれる
    多様して社会から離脱してしまう人がたくさんいるけど

    • 評価
  3. 中島らもがヒキガエルの話書いてたね
    ヒキガエル可愛いから見てるだけでハッピーになるけど

    • +6
    1. >>5
      お祖父ちゃんはガマを吸って亡くなったのよ。

      • +1
  4. 薬が抜けても「あの幸福感がやめられない」という精神的な依存症になっちゃいそうで怖い。でも自決しそうほど症状が重い人には必要になるだろうな。

    • +8
    1. ※7
      今も市販薬のOD(真似する人が出ちゃうとマズイので詳細は省く。パルモたん、まずかったら検閲して)で多幸感を感じる人もいるし、こればかりはユーザーの耐性次第よなぁ

      • +1
    2. >>7
      僕も依存性とは切り離せないと思う
      幸福感を得る事と人生が上手く行くかは別問題だし薬を服用していても気づかない所でストレスは溜まって行くだろうから万事オッケーとはならないだろうな

      • 評価
  5. 日本には昔からあるよ。
    ヘビに取り囲まれたカエルから
    にじみ出る脂汗を集めて濃縮した
    「ガマのあぶら」がね。

    • +7
    1. これ思い出してた
      あながち嘘っぱちでもなかったんだな

      • 評価
  6. 筑波山のガマ油が最先端医療品として研究され
    つくば市に専門の研究機関が設立される日も近い?

    • +3
  7. さあさ、お立ち会い。御用とお急ぎでない方は、ゆっくりと聞いておいで。
    てまえ何を家業にいたすかと言えば、手前持ち出したるは、これにある蟇蝉噪、四六のガマの油だ、お立ち会い。

    四六、五六は何処で分かる。前足の指が四本で後足の指が六本、これを名付けて四六のガマ。これが住めるのは、これよりはるーか北にあたる常陸の国筑波山の麓、オンバコという露草を食らい成長をする。これが捕れるのは、五月に八月に十月、これを名付けて五八十は四六のガマだ、お立ち会い。

    このガマの油を取るには、四方に鏡を立て、下に金網を敷き、その中にガマを追い込む。ガマは己の姿が鏡に映るのを見ておのれと驚き、たらーり、たらりと脂汗を流す。これを下の金網にてすき取り、柳の小枝をもって、三七二十一日の間とろーり、とろりと煮詰めたるのがこのガマの油だ、お立ち会い。

    効能は、気鬱、憂鬱、暗鬱、沈鬱、陰鬱、鬱々、その他、鬱一切に利くぞ、お立ち会い。

    • +20
    1. >>13
      そして口上をのべてた人が、刀で自分の腕を斬ってみせてという、時代劇でやってたあれですね。

      この長い口上、よく覚えましたね!

      • +2
      1. >>31
        時代劇どころか子供の時神社で本物をみたぞ。うん十年前だけど…。

        • 評価
      2. ※31
        この口上、伝承がされていくように、認定制度・免許皆伝。みたいにことを委員会があってやっている。

        • 評価
  8. 今度はマフィアが葉っぱじゃなくてカエルを養殖するようになるな

    • +8
  9. 鬱は身も心も大きく傷つくから、これは期待が大きいな

    • +4
  10. 毒と薬は表裏一体っすな。
    効能一つとってみても、有用な面と有害な面があるのね。

    • +4
  11. フグをつついてハッピーになるイルカを思い出した
    あの画像かわいい

    • +5
  12. 身を守るために毒を持ったら毒を目当てに狩られたケロ

    • +11
  13. なんてハッピーなニュースなんだ!
    平日の昼間からコメントしてるみんな、お休みなのかい?

    • +2
  14. いかにも既存の抗うつ剤が効いてない様な表現だが、裏を返せば3分の2の患者に効いてるって事じゃないの?
    この幻覚療法にそれ以上の効果と安全性を期待出来るの?

    • 評価
  15. ヒキガエルは魔女の薬における原材料の代表格だもんな
    毒キノコもそうだし昔から何かしら薬として使われてたんじゃない

    • +3
  16. イルカもフグつついてトリップ遊びするし動物界では意外と普通なのかも。

    • +2
  17. 成分を抽出して精製してってめんどいことやらんでもさ
    皮むいて炙って食っちゃえば美味しくて幸せになれると思うの

    • 評価
  18. かなり昔にムツゴロウさんがなにかのコラムで書いてたな

    「ヒキガエルの耳の後ろの毒腺から出る毒を指先に取って舐めてみると
     飛び上がって周囲を走り回りたくなるほどに苦い。
     しかし、しばらくしてその苦味が抜けると頭の中が急にすっきりして
     とても爽快な気分になった」

    こんな感じの内容。
    目に入ったら失明の可能性のあるものをどのぐらい苦いのか試してみようと
    行動できるムツゴロウさんスゲェなと思ったもの

    • +3
  19. ガマの油・・調べたら、本当にガマの毒成分が入っていたかは定かでなく、江戸時代以降のものはそもそも別物らしいと知って、残念。忍者がガマの毒で幻覚を操ったりとか、あったかもしれないね。

    • 評価
  20. オーストラリアの動物病院のドキュメンタリーで、何らかの中毒症状を繰り返す犬の行動を調べたら、庭先に来るカエルの毒でラリってた、ってのを見た。
    常習性があるんだねぇ。

    • 評価

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