
東京大学の湖沼フィールド調査と培養・交配実験で、緑藻プレオドリナの同一種がメスとオスに加えて両性型の3番目の性表現型を持つことが判明した。
シンプルな性決定システムをもつとされてきた藻類にメス、オス、両性型の3個の性表現が同一種に存在することを確認したのはこれが初めてだという。
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藻類の繁殖方法
藻類とは、科学的に厳密な分類ではなく、光合成を行うという共通点があるだけのかなり大雑把なグループの総称だ。進化的にまったく異なる生物もこれにまとめられており、巨大な海藻、オオウキモ(ジャイアントケルプ)から小さな渦鞭藻類まで、多種多様な生物がこのグループに属している。
それゆえに子供をつくる方法もさまざまなのだが、一般には配偶子の接合によらない無性生殖でクローンをつくるか、私たちと同じようにオスとメスが有性生殖を行うことで繁殖する。
そして後者の場合、オスとメスが個別に存在する「雌雄異株」か、1つの個体がオスとメスの両方の生殖器官を持つ「雌雄同株」(両性型)のどちらかになる。

photo by Pixabay
第3の性別を持つ藻類の発見
しかし今回、東京大学大学院の野崎久義氏らのグループが相模川水系で発見した「プレオドリナ・スターリー(Pleodorina starrii)」は、これに当てはまらなかった。メス株とオス株のほかに、雌雄同株である両性型が存在していたのだ。試しにオス株、メス株、両性株を交雑させてみたところ、親が両性株である場合も子供ができる割合や生存率に差はなく、それらがいずれもプレオドリナ・スターリーであることが確認されたとのこと。
比較的シンプルな性決定システムを持つとされていた藻類や菌類で、オス・メス・両性型という3つの性別を持つ種が確認されたのは、史上初めてのことであるそうだ。

両性型への進化の初期段階か?
研究グループによると、プレオドリナ・スターリーはメスとオスが分かれている種から両性型の種へと進化する初期段階にあると考えられるらしく、これを調べることで両性型決定因子の解明につながると期待できるとのことだ。この研究は『Evolution』(7月12日付)に掲載された。
References:東京大学 / eurekalert / written by hiroching / edited by parumo
追記:「相模湖川水系」を「相模川水系」と訂正し再送します。(2021/07/17)
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コメント
1. 匿名処理班
名付けて
緑藻プレオドリナ・デラックス
2.
3. 匿名処理班
そこらへんに咲いてる花は全て雌雄同株の生き物なんだがね
藻類で初めてって言われても何の驚きもない
4. 匿名処理班
菌類・藻類以外ならもう既に見つかってるような書き方だけど、そうなの?
5. 匿名処理班
藻類に性別があるとは知らなかった。
6. 匿名処理班
※4
記事の下にある References:東京大学 をクリックすると本文に行くよ。
>このような3タイプの性(sex)表現が一つの種内に共存することは陸上植物や無脊椎動物の一部で認められており、雌雄異体種と雌雄同体種の進化的中間段階と解釈されています。しかし、藻類や菌類のようなハプロイドの生物では3タイプの性表現が同一種に存在する種は知られていませんでした。
7. 匿名処理班
異性縛りするより、誰とでも繁殖できた方が合理的って思っちゃう。
8. 匿名処理班
※4
ミミズ
9.
10. 匿名処理班
>>3
両性株と雄雌株どっちも同じ種で存在してるから進化のメカニズムが分かりそうですごいって話でしょ
11. 匿名処理班
>>7
乱こ……いや、何でもない。
12. 匿名処理班
藻とこの娘
13. 匿名処理班
>>8
そしてカタツムリ🐌
14. 匿名処理班
※3
そのへんに生えている高等植物でも雌雄異株、雄性両性混群、雌性両性混群、色々あるだよ。
雄性両性混群はあんまりなかったか。
15. 匿名処理班
※7
実際に原生生物にはそういうの結構ある。
ゾウリムシの仲間は10〜数10の性があるものも結構いたりするらしい。
そういうのは「雌雄」じゃなくて「接合型」って言うけどね。
水圏で他個体と出会うのは難しいから、出会ったのとすぐ有性生殖できるように性の数が多くなっている、って以前は言われていたけど、今はどうなんだろう?今でもそうなのかな?
16. 匿名処理班
なるほど、イチョウとか原始的な樹木は雌雄異株だもんな
17.