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ロード・オブ・ザ・リングの原作者、トールキンが自分の子供のために作った手描きの絵本『Mr.Bliss』

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トールキンの手描きの絵本 .openculture/Mr. Bliss J.R.R. Tolkien
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 『指輪物語』や『ホビットの冒険』の著者、そして映画『ロード・オブ・ザ・リング』の原作者として知られているJ.R.R.トールキン(1892ー1973)だが、我が子のためにサンタクロースになりすまして23年間書き続けた手紙をまとめた絵本『サンタ・クロースからの手紙』も有名だ。

 しかし、トールキン自身がイラストを描いた作品『Mr.Bliss(日本語訳名:ブリスさん)』はあまり世に知られていない。

 実はこの本も、当時まだ幼かった自身の子供たちのために描かれたもので、トールキンの死後出版されたという。

自身の体験を基にして描かれた絵本『Mr.Bliss』

 トールキンは、多忙な作家生活の中でも我が子に愛情を注ぐことを怠ることは決してなかった。

 毎年、子供たちを喜ばせるためにサンタクロースや様々な動物になりすまし、ストーリーやイラストを添えた手紙を送り続け、それは後に『サンタ・クロースからの手紙』と題された素晴らしい1冊の絵本となり、指輪物語同様万人に知られるところとなった。

 しかし、その陰に隠れていたのが、『Mr.Bliss(日本語訳名:ブリスさん)』という作品だ。トールキンは、まだ幼かった子供たちのために、手描きの絵本を作っていたのだ。

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image credit:.openculture/Mr. Bliss J.R.R. Tolkien

 その本の主人公は、のっぽの帽子を被ったブリスさんだ。

 彼は、頭と四肢がウサギで首と体がキリンの姿をしたジラビット(girabbit)をペットに飼っているちょっぴり風変わりな男性。

 ある日、ブリスさんは目が覚めるような黄色の車体に真っ赤な車輪の車を手に入れる。

 友人のドーキンズ兄弟をサプライズで訪ねるために、その車で勇んで出かけるが、庭から出て来たおじさんにぶつかったり、角を曲がれば今度は荷車を押したおばさんにぶつかったりと、ブリスさんの運転途中で起こる数々のハプニングが、しゃれた精巧なイラストと味わい深いトールキンの筆蹟で収められている。

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image credit:.openculture/Mr. Bliss J.R.R. Tolkien

 実はこのストーリー内容は、トールキンが1932年に初めて購入した車にインスパイアされているそうだ。

 慣れない運転の途中で実際に起こったパンク経験や堤防の壁への追突経験などを基にして作成されたという。

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image credit:.openculture/Mr. Bliss J.R.R. Tolkien

50年後、トールキンの死後に出版された

 トールキンは、この『Mr.Bliss』を1930年代に描き上げているが、自分の子供たちのために書いたものであり、1957年までは自宅のひきだしの中に入っていた。

 後に『ホビットの冒険』が大成功をおさめ、市場に需要を生み出したことで、トールキンはこの作品も本として出版することを決意。

 しかし出版社側は、あまりにも精巧な彼のイラストを複製するには費用が掛かり過ぎるという理由で、出版を拒否した。

 当時、出版社側は売れた『ホビットの冒険』のようなエルフやドワーフ、魔法使いなどがキャラクターの物語の執筆をトールキンに求めていた。

 結局、『Mr.Bliss』が出版されたのは、トールキンの死後、作品を書き上げて実に50年が経った1982年のことだった。

 これまでのトールキンの著名な作品は、いくつかのヨーロッパの神話伝承から多くの影響を受けたものだが、彼自身が子供向け作家と呼ばれることに抵抗を感じ、神話や言語史に関する幅広い知識を活用した伝説的ファンタジーを作品に織り込むことで、子供だけでなく大人も楽しめる作品を目指してきた。

 しかし、『サンタ・クロースからの手紙』同様、『Mr.Bliss』もそのストーリーテリングとキャラクターの性格描写は、自身の子供たちを楽しませたいという父としての願望から発展したものであることは明らかだ。

 指輪物語やホビットの冒険ほどには世に知られることはなかった『Mr.Bliss』。だが、この1冊はトールキンがマーク・トウェインと同レベルの優れた児童文学作家であることを示したものといえるようだ。

written by Scarlet / edited by parumo

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この記事へのコメント 10件

コメントを書く

  1. なつかしい!
    これなぜか自分の大学の講義のテキストだったんだよね
    ジラビットっていうキリンとウサギの合いの子みたいな
    ヘンテコな動物の登場する不思議なお話だった

    • +3
  2. 帽子脱げてるページだと割と平凡な男性感あるな。なるほど帽子が本体か。

    • 評価
  3. トールキンが「児童文学作家」とみなされることには違和感を覚えますね。
    とりわけ、日本ではそのような風潮があります。
    (『指輪物語』の翻訳も、必然性はないのに「です、ます調」に訳しているし)
    トールキンの作品は、もともと大人向けのファンタジー文学です。諸外国ではそのように受け入れられています。
    どす黒い暗黒的な側面もたっぷり描いていますしね。
    『指輪物語』の究極のテーマも、結局は人間の(作中では人間以外のさまざまな存在にも仮託された)エゴイズムの問題ではないですか。

    • -6
  4. この絵が自作とは!うますぎるよ束教授!!

    • +5
  5. 指輪物語のトム・ボンバディルも元々トールキンの子供向けに作った話からの出演なのに作品中で最も力のある存在の一つとして扱われている

    • 評価
    1. >>6
      力は無いなぁ
      何の干渉も受けない存在と言うだけ

      • 評価
  6. 誰にもあるものなんだろうね
    描きたいものと描かなければならないものと

    • +1
  7. トールキン御大は軽いイラスト1枚描くにもすごくこだわりを持ってるよね
    『指輪物語』シリーズの自作背景資料集みたいなのもすごかった、裂け谷のイラストだけで何枚描くんだ……

    • 評価

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