
獣医師の辛い現実 12019/pixabay
動物好きなら憧れるであろう獣医師。アメリカの子供たちのなりたい職業ランキングでは常に上位となっている。大好きな動物たちと触れ合い、健康で長生きできるよう手助けをするというその仕事にやりがいを感じている獣医師も多いが、常に動物の死と向き合わなくてはならず、ストレスが大きいのも事実だ。
ある獣医師が、これまで仕事をしてきた中でとても辛かった経験を自身のFacebookでシェアし、大きな反響を呼んだ。『Up Worthy』などが伝えている。
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女性獣医師、辛い日の出来事をFacebookでシェア
獣医師のトレイシー・リー・リチャードソンさんは、動物と自身の仕事をとても愛し、日々献身的に動物の命を救うことに尽力している。命を救われた動物たちが、元気に回復していく姿を見た時には本当にうれしく、自分の仕事にとてもやりがいを感じているという。
しかし、すべての動物が元気に回復するわけではない。どんなに手を尽くしても回復の余地がない動物がたくさんいるのだ。
欧米では助かる見込みがなく苦しんでいる動物を痛みから解放させるために安楽死をさせるという選択肢がある。それを告げるのは獣医師で、決断を下すのは飼い主、そして手を下さなければならないのは獣医師だ。
いつも元気でかわいい動物と触れ合っているだけではなく、とても厳しい世界であるということを人々に理解してもらいたいと、トレイシーさんは自身のFacebookアカウントで実際に経験した出来事をシェアした。
その内容は、概ね下記の通りだ。
私は、いつも子犬の写真を投稿しているから、きっと多くの人が私の仕事はかわいい動物たちに囲まれて楽しいもの、という印象を持っているかもしれません。でも、現実はそうではありません。
今日、私は苦しみ続けている回復不能な犬を安楽死させなければなりませんでした。そのプロセスの間、別室にいる飼い主はビデオチャットで処置室の愛犬と繋がっていました。彼はもうすぐ旅立つ愛犬のためにえ書いた歌を歌い始めたのです。
本当に美しい曲で、私は彼のギターとシンクロするかのように、涙が目から溢れ出て止まらなくなりました。私は飼い主が待つ部屋に行き、悲しんでいる飼い主を励まそうと思いましたが、言葉が見つからず、より一層の悲しみがこみ上げてきました。
私はその後部屋を出て、トイレでひとしきり泣き終えてから、次の診察へ向かうために自分の気持ちを奮い立たせました。
もし、次の患者が元気な子犬だったら、少しは気持ちが明るくなったかもしれません。でも次もまた、安楽死の瀬戸際にある助かる見込みのない病気の犬の診察だったのです。
辛いと感じるのは、まさにこういう時です。これが、獣医という職業の自殺率がとても大きい理由です。
女性獣医師の自殺率は一般の3.5倍増し
ある調査報告によると、女性獣医師の自殺率は、獣医師でない人と比較して約3.5倍だという。その理由の一部は、トレイシーさんが綴るように、動物たちを安楽死させなければならないという仕事への精神的負担だそうだ。
また、飼い主によっては高い治療費や薬代を免除するよう求めたりと、しばしば脅迫的な言葉を獣医師に投げかけるケースもある。
獣医師は周りが思っている以上にストレスが多く、厳しい状況の中で仕事に従事しているのである。

skeeze/pixabay
トレイシーさんは、次のように自身の投稿を締めくくっている。
私は、獣医師という仕事をとても愛しているし、獣医師になったことを後悔していません。でも、こんなふうに気持ちがどうしても大きく塞いでしまう辛い日もあるのです。仕事というのはどんな仕事でも大変だ。だが特に生き死に直面する仕事となると、別の大変さがあるようだ。これは人間の医師や看護師にも言えることだろう。
私たちの仕事は、思っている以上に困難が伴います。できることならすべての動物を救いたい。でもそれが叶わないこともあるのです。どうかみなさん、そのことを理解してください
動物を愛しているからこそ、時には辛い決断も医師として下さなければならない。トレイシーさんの投稿を見たユーザーらからは、労りと励ましの声が寄せられている。
written by Scarlet / edited by parumo
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コメント
1. 匿名処理班
初めて飼った犬が病気で亡くなった時
最期まで犬と私たち家族に寄り添ってくれた
女性の獣医師さんを20年以上たった今も覚えている。
心から尊敬する。
2.
3. 匿名処理班
デンバー病院のあんなにマッチョな先生もすごくヘコんでいるもんなあ…
4. 匿名処理班
ペットを家族とみているか、愛玩とみているかの2極の客の相手を交互にしてたら疲れるわな。
お疲れ様です。
5. 匿名処理班
安楽死だけキリコみたいなやつにやらせればよくない
6. 匿名処理班
悲しいけどとても良い記事
記事にある内容や獣医師になる過程に伴う犠牲、
獣医師さんと動物病院には敬意と感謝を忘れずにいたいと改めて思いました。
7.
8. 匿名処理班
この点もあるから余計に動物の安楽死は受け入れ難い
向こうの文化に物言うつもりは無いけど、飼い主が救われる分この人達が請け負わなきゃいけない歪みは解決出来てないんだね
人間の本人依頼の安楽死とは全くの別物だと矢っ張り思ってしまうな
9. 匿名処理班
獣医さんて本当に大変だと思う。
うちも犬がお世話になってるので感謝してます
10. 匿名処理班
獣医師になる過程で、授業で使う動物の処遇に耐えられなくて辞めていく学生さんも多いと聞く
動物が好きで動物のお医者さんになろうと決心したのに、色々犠牲を目の当たりにしてそのギャップが埋められないのだとか
沢山の人が沢山の思いを抱えて人々の心や生活を支えてくれているってこと、もっと意識して、互いにリスペクトしあって人生送りたいね
11. 匿名処理班
日本と比べるとアメリカの安楽死件数すごいからな
12.
13. 匿名処理班
一才未満の我が家の猫が白血病になった時、先生に安楽死をお願いし、最期まで見ていた後、先生にお礼を言った記憶が有ります。
14. 匿名処理班
もしうちの猫を安楽死しなければならないような状況が来たら、私は自分の手で安楽死させたい。
法律上難しい部分はあるんだろうけど、出来れば薬を入れる最後の一手(注射針を挿すとこまではやって貰って)を自分でしたい。
それが私が思う飼い主としての最後の責任だし、命の責任を他の人に押し付けたくないから。
まぁ、個人的には安楽死自体の是非に答えは出てないんだけど…。
15.
16.
17. 匿名処理班
※4
ペットを玩具とみているような人は医者なんかに連れて行かないよ
もう少しちゃんと記事読んだら?
18. 匿名処理班
本当に動物が好きな人は獣医師は難しいのかもね。
腕がいい事前提だけど、ビジネスと割り切れる人がいいのかもしれない。
19. 匿名処理班
日本の場合は安楽死が少ない。
だが、末期の病気の動物が保護される件が多々ある。
看取る覚悟の無い飼い主が遺棄しているのではないだろうかと思ってしまう。
そして、殺処分する施設でその作業をするのも獣医さんである事が多い。
助けられない病気や交通事故・違法なトラバサミ等で傷ついた子達を安楽死よりも苦しいガス(症状によっては薬で眠らせる事もある)で送らなくてはいけない獣医さん達の気持ちを考えると辛くなる。
日本はもっと安楽死の選択もあると告知して良いと思う。
獣医さんや飼い主さんの為だけじゃなく、苦しむ動物たちの為にも。
20.
21.
22. 匿名処理班
命を救いたいのに安楽死させなくてはいけないのはとてもつらいことですよね。
安楽死の処置をされてるときに歌を歌う余裕は私には無いなぁ。
23. 匿名処理班
動物が大好きで助けたくて獣医師になったのだと思う。
でも、時にその命を奪わなくてはならないというのは、使命とはいえ、その心中察して余りある。
24. 匿名処理班
つらいけどこれも現実なんだよね
自分の犬が回復不能の怪我や病になった時に決心出来る自信はない
でもなるべく痛みは軽くしてあげたいとは思う。とても複雑。
25. 匿名処理班
この獣医師さんはすごいね
自分たちの仕事のことを理解してもらおうと、とても伝わりやすい言い方で発信している
多くの色んな職で、同じように辛さや尊さを合わせて仕事に臨んでいる人々がいることを、もう少し私たちが理解できたらいいのにね
26. 匿名処理班
最初の飼い犬は癌が全身に回って顔が崩れて始終膿みが出て肺からおかしな音がして…結果安楽死させたけどさ
注射の前に後ろを向いて目があってさ、無理だったわ
診察室から逃げ出して馬鹿みたいに泣いたよ
死ぬ瞬間に立ち会う勇気なんて全然無かった
もちろん、獣医さんには感謝してるし申し訳なかったと思うよ
未来の自分を予想するのは止めといた方が良いよ
完璧な正解なんて無いからさ
27. 匿名処理班
個人的には欧米の助からないと分かったらホイホイ安楽死するの大っ嫌い
自分は辛いけど息引き取るまで世話して看取ってきたけど
死ぬと分かったら苦しいだけだから安楽死させようって、生まれた時点でいずれみんな死ぬし生きる事は苦しい事もある
助からないと分かった状態から死ぬまでの間の生も無駄なものと切って捨てるのは違うと思う
人間から見たら死ぬと分かってても動物は生きようと必死に呼吸しようとしたり水飲もうとしてる。それに最後まで付き合ってペットを飼う事が完結すると思ってる
28. 通りすがりの獣医
>>5
キリコは誇りをもってあの仕事をしている
死病から動物を救うためのやむを得ない安楽死は忌まわしい作業ではない
臨床獣医をしていて安楽死から逃げるような奴は獣医師道不覚悟だと思っている
29. 匿名処理班
あかん・・涙出た・・
30. 匿名処理班
>>22
それは人それぞれでしょう。悲しみの対処の仕方は人によって違う。あなたは自分とは違う他人の悲しみ方を否定的に言う、とても心の冷たい人だと感じました。
31. 匿名処理班
獣医師になる大事な条件に「殺せる事」ってのがある。
32. 匿名処理班
ヒトだと管だらけにしてまでも基本死ぬまで生かすことになっているから、キリコ以外医師の方が迷うことはないんだけれども、獣医師さんだと飼い主から頼みがあった場合は勿論、技術的にヒトほど診断法や治療法が進歩してない分野も多く、また高額な機器もそうそう揃え切れないだろうから「安楽死させるしか手がない」ケースが多々あるのだろう。
動物が好きで選んだ道だろうに、もどかしくて辛いと思う。
33. 匿名処理班
※30
わざわざありがとうございます。
歌った方を否定はしていません。
私はネコを亡くした時は歌えるような余裕がなかったのです。
三か月に亘る闘病の末、ネコの余命宣告と近づく最期をひしひしと感じる毎日でした。
ネコと二人だけの生活でしたので、失うことの怖さとつらさとの戦いでもありました。
そしてとうとうその時が来た時、頭の中は真っ白になって手が震えて
大声で泣きました。
それから数年ペットロスになり苦しみました。
私には歌う余裕などありませんでした。
22の私のコメントで不快に思われたのなら申し訳ないです。
34. 匿名処理班
人間相手には割り切れるが、犬猫はそうもいかん
なにせ純粋だからな
35. 匿名処理班
※30
あなたはもう少し文章の行間を読む練習をしたほうが良いよ。
22のコメントを読んで、否定的だと捉える人はあまりいないと思うけど。
36. 匿名処理班
>>18
以前、何処かで見ました
ペット業界で従事するのに必要なことは「身勝手な飼い主を許容すること」だと。
何処かで線引き出来れば良いのですが…難しいですね
37. 匿名処理班
動物をペットにしようと思わない人の意見で申し訳ないのですが、距離感が近いと、やはりいろいろと感情移入して、獣医さんの負担も大きくなるのですね。自殺が多い職業とは、全く知りませんでした。
38. 匿名処理班
>>30
否定的に書いてますか?「私には無い」ってところですかね?
これはただの区別だと思いますけど。
私にはあなたの方が、文章の捉え方も書き方も冷たい人だと感じますが。
39. 匿名処理班
※22
お経を唱えるのなんかも、一種の葬送の歌だと思う。
40. 匿名処理班
※18
人間の医師でも、同様の話は聞いたことがある。
なまじっか青臭い熱意と人道精神に燃えて医者を志した人は
末期病棟などの現実と現実の違いに直面すると
精神を病んで早々に潰れたり、やる気なくした惰性医師になったり
哲学的問答に陥って変な宗教に傾倒したりしかねないが、
最初から「高収入のためw 救命はその手段」と割り切ってる人
のほうが、案外 淡々とすべき仕事を着々こなして
長く儲けるために最新技術の勉強も怠りない、みたいな。
41. 匿名処理班
三毛の子ネコも安楽死させられてしまったん?
42. 匿名処理班
うちの動物病院の先生は安楽死頼まれた犬猫を何匹も引き取っていたわ。下半身に障害のある猫とか、病気で高額の医療費がかかり続ける猫とか、しつけに失敗して飼い主の手に負えなくなった大型犬とか。末期の病気の子には安楽死を否定しない先生なんだけどね。いい加減な飼い主もいるし、この飼い主に飼って欲しくないと思っても何も出来ないから動物好きであるだけにきつい職業だと思った。
43. 匿名処理班
※40
×現実と現実の違い
○現実と理想の違い
44. 匿名処理班
偉大な何かを可能にするという事は、それだけ精神や肉体にかかる負担のリスクと引き換えというんは道理なのでしょう。
45. 匿名処理班
そう言えば実家で飼ってたうさぎが亡くなった時に
かかりつけだった獣医に連絡と今までのお礼だけしたら翌日花持って来てくれたな
46. 匿名処理班
※33
>歌えるような余裕がなかったのです。
あなたの主張は理解できなくはないけど
くだんの飼い主さんが歌ったのは「余裕」からじゃないよ
そういう機微を汲んだ表現を学んでは?
47.
48. 匿名処理班
以前「私が猫又に出会った話」というのを読んだことがある。
あれも獣医さんがまだペーペーの頃の体験談を書いてたんじゃないかな?
妙に心に残ってるんだよね…
49. 匿名処理班
※18
自分の従兄弟は動物好きで獣医になったが辛すぎて病んでしまい、引きこもってしまった。
まあ従兄弟も弱い人なのだとは思うけれど。
50. 匿名処理班
あーちょっと前に台湾の獣医師さんが安楽死用の薬自分に使って自殺ってニュースで見たな……
殺処分とか安楽死とか知ってからペットショップ見ると鬱々とするようになっちゃったからあんまり近寄らんようにしてる(´・ω・`)
51.
52. 匿名処理班
変な獣医にばかり当たって私は獣医を信じなくなりました、
明らかに猫の爪を深切りしワザと血を出させてました、全部の爪です、包帯をされて1週間取らないようにと言われましたが、いい獣医ばかりでは無い、
53. 匿名処理班
中学生の頃に、フェラリアの末期症状の飼っていた犬を安楽死させた経験があります。
なんとか少しでも生きてもらいたくて、週に1回注射を受けていましたが、人間もビビる大きさの注射器で、狂犬病の予防接種もおとなしく受けていた子が、診察台で毎回脱糞・・・
家族の顔を見ると尻尾を振るけれど、深夜に苦しんで毎晩鳴いていた・・・
大好きな散歩も少しすると家に帰りたがるし。
耐えきれなくれ楽にしてあげたいと安楽死をさせたけど、大人になった今でも
正しかったのか?って悩んでます。
家で産まれた子だったので・・・
54. 匿名処理班
精神的に弱い人はなれない仕事ってあるよ
55. 匿名処理班
故意にマイナス押しまくってる人がいませんか?
56. 匿名処理班
人間のエゴで動物を飼う必要が減ればみんな救われる
57. 匿名処理班
>>56
そりゃあ地球上から犬も猫もいなくなるからね
58. 匿名処理班
田舎だから野良猫が子連れでいるのを見るけど、たいていカラスやトンビに食われたりキツネに食われていなくなるよ。犬は自然環境では繁殖してないから、飼う人がいなくなればゆるやかに絶滅していくんだろうね。
安楽死を取り上げると人間が命を奪うことを批判されるけど、人間がいることで飢えや病気から守られて生活している動物がいることをないがしろにするのはどうなのかな。
59. 匿名処理班
やり甲斐を感じるのはとても重要なこと
やり甲斐を感じることもなく、いやいややっている仕事に比べてみれば羨ましい限り
60. 匿名処理班
動物好きが就いていい職業じゃないだろこれ。
61.