
Rescuing Animals From War Zones/youtube
悲しいことに戦争はなくなっていない。特に中東では内戦が行われている最中だ。多くの人々が避難を余儀なくされているが、取り残される動物たちも多い。動物園で飼育されていた動物たちも例外ではない。常に戦闘が行われている中、狭い檻の中に閉じ込められたまま餌を満足に与えられず、爆音に怯える日々を過ごすことを強いられる動物たち。
そんな動物の救済・保護に中東やアフリカを駆け回っているのが、獣医師アミール・カリルさんと彼を支援する動物救済スタッフだ。
カリル獣医師はケニアや南アフリカ、中東、ヨルダンを拠点に、様々な国の劣悪な環境にいる動物たちをできる限り多く救済するために、危険な地域にリスクを冒しても勇敢に駆け付け、治療や保護に尽力している。
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Rescuing Animals From War Zones
危険地域に飛び込み動物たちを救済
ヨルダンの首都アンマンに暮らすカリル獣医師の使命は、自然災害や虐待的な環境から動物を救助するだけでなく、戦争地帯で身動きできない動物を救い出し、静かで安全な地域へ移動させることだ。戦場の動物園には、砲弾恐怖症になったり怪我をしたり、また飢えた動物たちが多く存在する。

戦場に足を踏み入れることは非常に危険で、大きな勇気を要する。それでもカリル獣医師は、動物を救うために、鋼の精神で救済活動を続けている。
私は、自分を普通の獣医師だとは思っていません。時に政治家にもなり、兵士にもなり、チームリーダーになります。
また、悪い奴らと対峙しなければならない時にはギャングにもなります。危険な場所にいる動物たちは、保護されなければならないのです。(カリル医師)

ガザ地区の動物園からたくさんの動物たちを救出
カリル獣医師と「Four Paws International」スタッフらが行った最大の活動は、パレスチナのガザ地区北部ラファにある動物園から、飼育放棄された動物たち47匹を救い出したことだ。今年4月7日、チームはライオン5頭、ハイエナ1匹に加え、数匹のサルやオオカミ、ヤマアラシ、キツネ、エミュー、ダチョウ、リス、そして猫や犬などの動物を保護し、そのほとんどをヨルダンへ連れ帰った。また翌8日には、2頭のライオンを南アフリカへ安全に運びこんだ。

カリル獣医師は、ガザへ入った時のことを次のように語っている。
イスラエル経由でガザ地区に入りましたが、とてつもないプレッシャーを感じました。軍事活動ではないですが、我々の活動はそれに似たようなものといえるでしょう。「世界で最悪の動物園」と呼ばれるラファ動物園は、1999年に創設され、ガザで最も古い。園内の動物の多くが、エジプトなどからの密輸により運び込まれたそうだ。
私たちがイスラエル政府から国境を超えるために許可された時間は、たった24時間〜48時間のみでした。
短い時間の中で、救出した動物たちが長時間の辛い旅に耐えられるように、私たちは餌をやり、薬を投与したりして、できるだけ多くの動物を避難させることに尽力しました。

「Four Paws International」が救出に駆け付けた時には、飼育放棄されてミイラ化した動物の死骸があちこちにあったという。その姿を見たカリル獣医師は、大きな悲しみを感じた。この動物園での生活を強いられた動物たちは、決して幸せではなかったのだ。

動物を思う気持ちは万国共通
自らの命のリスクを冒してでも、戦場地帯にいる動物救済活動を続けるカリル獣医師とスタッフたち。彼らが望むことは、保護された動物が新しい土地でセカンドチャンスを与えることだけではない。

人間は、言葉や人種、政治など他国に多くの問題を抱え、和解や同意ができずに戦争を起こします。ですが、動物の存在は万国共通です。written by Scarlet / edited by parumo
動物保護のために他国から誰かが救助に来ることを反対する人は誰もいません。人々が互いに話し合えない状況にある地域でも、動物たちは人間の懸け橋になってくれるのではないかという気持ちがあります。
これはとても重要なことであり、我々のこの活動が人間社会へのメッセージになってくれればと思っています。(カリル医師)
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コメント
1. 匿名処理班
人間の見世物として連れて来られて、人間の好き勝手に巻き込まれて放置、餓死させられるなんてむごいな
命を懸けて救出してくれるこの獣医師さんに心から感謝致します
2. 匿名処理班
医師の方のコメント内での避難が非難になってます
3. 匿名処理班
凄い人だな
4. 匿名処理班
日本でも戦時中に悲しい話があったことを憶えている方も多いでしょう
5. 匿名処理班
パルモさん、このような記事を本当にありがとうございます。
トルコの猫を保護するピアニストとか、私からイスラム世界への偏見を取り除いてくれました。いかに人々の中に愛が眠っているのか、そして文化が違えど優しい人はどこにでもいること、素敵な気付きを得ています。
6. 匿名処理班
こういう人たちにもっと手軽に募金できるようにならないものか。
7. 匿名処理班
>>6
ホントにそう思う…
そして間違いなくそれらの人の手に届く
ようなシステムが…
8. 匿名処理班
>>1
自分の命をかけて動物たちを救助する…
自分にはこのような人々は神様に思えます。
9.
10. 匿名処理班
イルカ放置されてる水族館跡地もどうにかならんかな?
11. 匿名処理班
戦争したいやつらはしたい奴らだけでやればいい。
無関係な人や動物を巻き込むな。
12. 匿名処理班
>>11
軍馬、軍犬に軍鳩のような使役もやめてほしいな。
危険物や不明者の捜索探知や警戒に犬は最適なのは承知してるが。
13. 匿名処理班
戦争は人間の為す
最も愚かで野蛮で悲しい行為だ
14. 匿名処理班
江戸東京博物館の一時的な催し物で
第二次世界大戦の展示があり
戦時中、上野動物園で
殺処分された動物達の剥製が沢山あって
それらを近くで見た
3頭の象だけじゃなかった事を
30歳過ぎて初めて知った
自分が生まれるずっと前の時代の事なのに
とても悲しくなった
その後「かわいそうなぞう」を買って読んだ
やはりとても悲しくなった
15. 匿名処理班
自分はかつて動物にそれほど興味も無かったし
どうでもよかった…猫に至っては苦手というか嫌いな位であった(飼ってた鯉を食べられた過去がある)。
しかし…
自分の車のエンジンルームに一匹の子猫が迷い込んでしまった。なんとか捕まえてダンボール箱に入れてしばらくしたら遠くへ放つつもりだったけど…嫁さんが1週間で飼い主探すから待ってくれとのこと。
案の定見つからなかった…しかし自分もそのあまりに純真で可愛いその子にしてやられ、もううちの家族に向かえ入れることにした。
一緒に暮らしていると猫にこれだけ豊かな感情と愛情そして何より人には無い純真さに驚き、感じいる毎日になった。
動物に対する考え方がホントに大きく変わる出会いであった…今では保護猫まみれになってしまった。
16. 匿名処理班
駅前とかで冊子を配る宗教の影響で(戦争について煽り人間の愚かさをクローズアップしまくり)人間が嫌いになりかけていた時、カラパイアでこういう、人間もすてたもんじゃないんだって記事に出会い感謝です。ここにコメントを残している方々にも癒されます。私も何かしたいです。
17. 匿名処理班
>>14
豹と兵隊でググってみて。
かわいそうな象もだけど、とても悲しくなる。
18. 匿名処理班
戦争は残念ながら無くならない
だけど今はもう動物も同じ尊い命として守られ救出されるようになって、それだけでも本当に凄いと思う
かつて日本でも戦争した時上野動物園の象の花子さんとか色んな動物が殺されてしまったけど、そんな悲劇は繰り返したくないと思っていたから…
19. 匿名処理班
>>12
米軍
ベトナム戦後
軍用犬置き去り