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太古のアフリカ大陸では、少なくとも3種の人類が共存していた(アフリカ)

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(著) (編集)

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1971yes/iStock
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 今、地球上の人間社会は、たった1種のヒトによって支配されている。現生人類であるホモ・サピエンスである。

 私たちにとっては当たり前の状況だが、実はヒトの進化の歴史においては、かなり珍しい事態であるようだ。

 たとえば、ある国際的研究グループによって、200万年前の南アフリカには、3種の人類が共存していたことが明らかにされている。

人類のゆりかごで発見された200万年前のホモ・エレクトスの頭蓋骨

 『Science』(4月3日付)に掲載されたその研究では、”人類のゆりかご”とも呼ばれる世界遺産「南アフリカの人類化石遺跡類」の一部、ドリモレン洞窟群で発掘された頭蓋骨を分析している。

 その頭蓋骨は、現生人類――すなわち「ホモ・サピエンス」の直接の祖先にあたるとされる「ホモ・エレクトス」のもの。

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Science

 この頭蓋骨を3種類の年代測定法(電子スピン共鳴法、古地磁気法、ウラン・鉛法)で分析したところ、200万年前のものであることが判明したという。

 過去にアフリカ内外で発見されたホモ・エレクトスよりも10万~20万年は古い頭蓋骨で、これによってこの種がアフリカを起源としていることが確認された形だ。

アフリカから旅立った人類——出発の地は南アフリカ?

 ホモ・エレクトスは、アフリカから旅立った最初の人類とされている。

 これまでアフリカで発見されたこの種の化石は、東アフリカのものが一番古かった。ところが、今回の発見によって、ホモ・エレクトスはまず南アフリカから東アフリカへ広がり、そこから北アフリカ、さらには世界の各地へ移動しただろうと推測できるようになった。

 また150もの断片から再現されたその頭蓋骨は、3歳から6歳の幼児のものと考えられており、初期人類の子供が成長する過程を観察できる貴重なサンプルでもあるという。

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ホモ・エレクトスの復元模型 / image credit:wikimedia commons

200万年前、南アフリカには少なくとも3種の人類がいた

 だが、より興味深い発見は、ドリモレンから別の種の頭蓋骨も発掘されていることだ。

 それは「パラントロプス・ロブストス」と「アウストラロピテクス・セディバ」のもので、厳密には私たち「ホモ属」とは別属に属する人類だ。

 研究グループのゲイリー・シュワルツ氏(アリゾナ州立大学/アメリカ)によると、この発見の素晴らしいところは、これらの頭蓋骨がおよそ200万年前の狭い期間の中から発見されたことであるそうだ。

 つまり、かつてその周辺には3種の人類が同時に存在していたのである。

 「彼らの間に直接的な交流があったのかどうかは分かりませんが、3種の人類が何らかのやり方で土地や資源を分け合い、近くにいながらも皆が生存できる戦略を進化させた可能性はあります」と、シュワルツ氏は話す。

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原始的なヒトの親戚パラントロプス・ロブストスの頭蓋冠 image credit:Science

人類の進化に関するもう1つの研究

 さらに『Nature』(4月1日付)に掲載された別の研究では、1921年にザンビア、カブウェ(旧名ブロークンヒル)の採石場で発見された頭蓋骨を最新の手法で分析した結果が発表されている。

 この頭蓋骨は、現生人類よりも原始的だが、ホモ・エレクトスよりは発達しており、およそ50万前に存在した現生人類とネアンデルタール人の共通祖先「ホモ・ハイデルベルゲンシス」のものだと考えられていた。

 ところが今回の分析の結果、それよりもずっと新しい32万4000年~27万6000年前のものであることが判明したのだ。

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ホモ・ハイデルベルゲンシスの復元像 image credit:wikimedia commons / Jose Luis Martinez Alvarez

30万年前にも複数の人類種が共存

 研究著者のクリス・スティンガー教授(ロンドン自然史博物館/イギリス)は、30万年前の化石であれば、ホモ・ハイデルベルゲンシスとホモ・サピエンスの中間の特徴があるだろうと予想していたそうだ。ところが意外なことに、ブロークンヒルの頭蓋骨からは私たち現生人類の特徴が一切確認されなかったという。

 これまでブロークンヒルの頭蓋骨は、アフリカ全土で徐々に起きた旧人類から現生人類への進化の証拠とみなされてきた。

 だが実際には、南・中央アフリカにホモ・ハイデルベルゲンシスが存在した一方、モロッコやエチオピアをはじめとする地域にも初期の人類が存在していたように思われるそうだ。

 これまで人類の進化は、私たちホモ・サピエンスを頂点とする直線的なものだと考えられてきた。しかし今や、それがそう単純なものではなく、もっと紆余曲折を経た複雑なものであったことが明らかになりつつある。

References:sciencedaily/ written by hiroching / edited by parumo

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この記事へのコメント 28件

コメントを書く

  1. 人間のアクティブさだと分化の後は集束(淘汰)なのかもね。

    • +3
  2. >これまで人類の進化は、私たちホモ・サピエンスを頂点とする直線的なものだと考えられてきた。しかし今や、それがそう単純なものではなく、もっと紆余曲折を経た複雑なものであったことが明らかになりつつある。

    言われてみりゃその通りだと思うんだけど、それを指摘もしくは証明できるだけの研究成果が出てきたというのはすごいね。
    できればそのあとには、現生人類がほかの人類種を淘汰してたったひとつの生き残りとなった理由に関する研究が進んでくれることを願う。まぁ鍵は言語の使用ということになるんだろうけれど、イスラエルの人類学者が言及しているところによれば、現生人類は遺伝子的に自分とほぼ無関係の生き物をあたかも家族のように認識して自己のグループに取り込んでしまう能力が極めて高いのだという。その最たるものが宗教や国家という現象として表れているわけだ

    • +4
  3. >200万年前、南アフリカには少なくとも3種の人類がいた

    その3種の人類の生活圏は重複していたのか?とか
    お互いに競合関係は有ったのか?等、詳しい解説が聞きたい
    (または協力関係とか、混血化なども有ったかも?)
    こういう事を解説し始めると、本が一冊書ける程だと思うが
    人類興亡史的な研究は、最も興味を引かれる内容だ

    • +3
      1. ※8
        でも例えば、現生人類とネアンデルタール人の間には
        長い間、同地域で棲息していた痕跡が見られるが、
        直接は抗争も多くはなかった様だし、混血も有ったらしいよね
        (私達の中にはネアンデルタール人由来の遺伝子も含まれている)

        ネアンデルタール人との間に有った事ならば、他の種族の間にも
        有ってもおかしくはないと、私は思うんだがな?

        • +3
        1. >>13
          奴隷制度としての名前は無くとも上下関係のある状況はあり得たんじゃないかな
          その中で混血児が産まれる事になんの違和感もないけどな

          • +2
      2. >>8
        そういう制度が存在しうる社会は、農耕が始まらないと無理。
        分業が存在しないからね。

        • 評価
        1. ※27
          そうでもないのでは
          何もしないで遊んで暮らす人と働いて貢ぐ人に分かれるのはありでしょ
          何もしない人は狩猟するより楽な特殊技能を持っていたり、とか

          • 評価
  4. はぁ…その他の2種の人種が今も生き残って現生人類みたいになってたらもっと面白い世界になってたかもなぁ…生き残ったのが我ら人類だけか…

    • +1
    1. ※10
      すでに我らの中に次の人類が発生していないとも限らないぞ。
      じわじわとやられている最中かも知れない。

      • +5
      1. ※12
        そんなあなたには「ホモデウス」という本がおすすめ。
        ホモサピエンスの次に現れるであろう人類種のことが書かれてますよ。

        • +1
        1. ※17
          ちょっとおもしろそう。
          世の中、いろんな本があるんだな。
          ここにも、いろんな人が居て助かる。

          • +1
    2. >>10
      厳密に言えば、ネアンデルタール人は絶滅してない。
      理由は、ヨーロッパorロシア系の人間と我々アジア系の人間はクロマニヨン人が95~98%+ネアンデルタール人が2~5%のハイブリッドである事が、遺伝子解析で最近になってわかったからだ。

      • +3
      1. ※21
        現生人類の遺伝子の2~5%位がネアンデルタール人由来…って有る意味では凄いと思う。だって、何万組みとか、何十万組みに一例とかの特殊な例じゃなくて、例えばカップルを100組集めたら、その内の5~2組は現生人類とネアンデルタール人が夫婦になっていました…で、それが結構と長く続いたので遺伝子上に定着しました。という事でしょ?『昔は別に珍しくなかった夫婦の組み合わせだった』訳で、個人的には何だかネアンデルタール人を凄く身近に感じる。

        • +1
  5. テラフォーマーが黒人に似ているとかいって批判している連中がいたが
    どう考えても似てるのはこっちだよな

    • +8
  6. これは
    おれの「じょうじ」火星から来ちゃったかも説なのかもしれんな

    • 評価
  7. 3種の人類の間で恋愛や友好もあっただろうし、競争や対立もあっただろう。

    異種間の憎しみ合いで、踏みにじられた愛や友情が存在したかも?と思うと切ない。

    • +4
  8. 現生人類の中にコーカソイド、ネグロイド、モンゴロイドが居るのは、それぞれホモサピエンスの亜種みたいなもん?
    子供に聞かれて困ったんだが、クワガタで言えば、ミヤマ、ヒラタ、ノコギリ…みたいに分かれてるって言えば大丈夫かな?

    • 評価
    1. >>20
      微妙。
      自分らアジア系とヨーロッパ系はクロマニヨン人とネアンデルタールのハイブリッドで
      アフリカ系は純粋なクロマニヨン人だからな亜種ではない。

      むしろ先祖のクロマニヨン人とネアンデルタールが亜種だったんだろう。
      もしも、ライガーやラバみたいに一代限りなら自分らは生まれてない

      • 評価
      1. ※22
        へーへー
        遺伝的にはネグロイドとコーカソイドは割と近くて(骨格の強さ、頭部の形など)
        アジア系は別種だとおもってたけどそうでもなかったのか

        • 評価
  9. テラフォーマーがホモエレクトスやん

    • +3
  10. ただ単に人種の違いは気候や地域(食べ物)の違いから生まれるだけなんだよ
    仮に統一されても、地球が丸い限り異なる人種が生まれ続けるのは絶対の理
    互いに認め合い尊重し合わなければならないね、優越差ではなく適応差を!

    • -1

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