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新型コロナウイルスで武漢に取り残されたペットの救助活動に奔走するボランティア(中国)

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(著) (編集)

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image credit:Wuhan Pet Life Online
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 新型コロナウイルス(COVID-19)の流行の中心地となっている中国中部湖北省武漢市では、現在、動物たちに別の被害が及んでいる。

 春節(旧正月)の休暇に市外へ出かけた住民のほとんどが、厳しい政府の規制が敷かれて市が閉鎖され、家に戻れない状態になっている他、急いで避難した飼い主もおり、多くのペットが取り残される事態になっているのだ。

 その数5万匹にものぼるとされ、ペットは餌や水がない状態で餓死するケースも少なくない。取り残された動物たちを救うため、複数の動物救助団体が獣医師らと協力し合い、ボランティアたちが動物の救済に奔走中だという。

Pets abandoned by people fleeing the coronavirus outbreak in China

武漢に取り残されたペットは5万匹にも

 自宅を離れた飼い主は現在、武漢に戻ることができない。その為、飼っているペットの犬や猫が餌や水を断たれる窮地に陥っている。

 人口1100万以上とされる武漢市は現在閉鎖中であり、1月26日にはおよそ500万人が市から去ったと市長の報告があった。

 その中には、誤った情報からペットを放棄して去った住民もいる。また、旧正月で市外に出た住民らも規制により家に戻れない事態となっているため、多くのペットが置き去り状態になっているのだ。

 誤った情報の詳細はこちらのサイトに書かれているので参考までに。

 ペットを心配する多くの飼い主は、中国で主流のSNS「Weibo」を使って動物救助団体に助けを求める声を寄せている。

 現時点で、10以上の動物救助団体のボランティアらが24時間体制で活動に携わっている。だが、ペットの救助は決して容易ではないようだ。

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image credit:Wuhan Pet Life Online

救助に行っても中に入れないケースも

 ペットを心配する飼い主らは、救助団体にアパートの鍵やパスワードを教え、餌や水を与えてほしいと依頼してくる。

 しかし、中には依頼はされても鍵を預けてもらえないケースもあり、ボランティアたちは飼い主宅の玄関を壊したり、窓からよじ登ったり、配管を伝ったりして救助に当たらなければならない。

 認可された動物救助団体とはいえ、当然他人の家にそのように侵入することを許可されているわけではないため、支援は非常に困難を伴う。

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家の中には餓死状態や病気のペットが取り残されている

 ペット支援組織『武漢小動物保護協会』を13年にわたりWeibo上で運営している獣医師ラオ・マオ(本名シュアイ・リファ)さんは、次のように話している。

同団体は、60人のボランティアにより既に500世帯以上からペットを救助しました。しかし、まだ700世帯の依頼に応えなければなりません。

緊急度に応じて対応していますが、家に入る前に既に餓死していたペットもいました。中には難産で死んでしまった猫もいました。

ある猫は血尿を出していたので、何キロも離れたクリニックまで運ばなければならない状態でした。

私たちに助けを求めてくるのは、通常出稼ぎでこの都市に住んでいる人や移民です。彼らは近くに頼れる人がいませんから。

市が閉鎖されてから多くのペットが室内で餓死しているため、大量のペットの死骸が腐敗すれば、深刻な公衆衛生問題になります。

 マオ氏いわく、餓死寸前で痩せ細ったペット以外に、飼い主に放置された精神的トラウマを抱えたペットも多く見られるという。彼らは、救助にきたボランティアたちを見るとかなり怯えるのだそうだ。

 異例の事態とはいえ、ペットたちが受けた心の傷は大きい。

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政府から獣医院閉鎖命令により厳しい状態に

 2月1日、政府は武漢の獣医院を全て閉鎖する命令を出した。これによって多くの獣医師らが動物を救済できない状況を強いられたのだ。

 だが、マオ氏のように医師免許剥奪を覚悟で今でも救済活動を行っている献身的で勇敢な獣医師も存在する。

 市内は、隔離措置のために自家用車の使用が禁止された状態で、ボランティアたちはリスクを承知で市内に留まり、ペット救助のために尽力している。

放棄されて餓死寸前のペットを思うと、放ってはおけません。救助を依頼してくる飼い主とも会ったことがなく、互いに知らない者同士ですが、私を信頼して鍵を預けてくれるため、それに応えて責任を果たさなければならないと思い、必死で活動しています。(マオ氏)

 ボランティアたちは、飼い主のリクエストに応じて、ペットを飼い主の友人宅やペットクリニックに一時的に預けることもあるそうだ。

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image credit:Wuhan Pet Life Online

引き取るスペースにも限界が

 しかし、飼い主に放棄されたペットたちは誰かが引き取らなければならない。この獣医師のもとには、既に100匹を超えるペットが保護されているが、スペースの都合上全てのペットを自宅へ引き取ることは不可能だ。

 そこで止む無く、現時点ではペットを飼い主宅に置き、排泄用トレイを綺麗にしてやり、1か月分の餌や水を与えてくるという処置を取っているという。もちろん、ボランティアたちは定期的にこれらのペットを確認しに行く。

 武漢では、ペットを飼っているほとんどの住民が所有しているのは猫で、その確率は99%、犬は0.5%、その他はウサギやハムスターということだ。

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image credit:Wuhan Pet Life Online

ペットに新型コロナウイルスが感染する証拠はない

 全体的な状況を悪化させているのが、「ペットに新型コロナウイルスが伝染する」という誤った認識だ。

 北京や上海ではこうした情報が流れているため、ペット用のマスクを大量購入する人もいるという。しかし、獣医疫学者は次のように苦言を呈している。

マスクを顔につけている犬の写真がWeibo上で出回っているようですが、これらのマスクがペットを感染症や大気汚染物質から保護しているという科学的証拠は何もありません。

また、犬の顔は人間の顔よりも多くのバリエーションがあるため、1種類の犬種に合うようデザインされたマスクは他の犬種に合うことはほとんどないでしょう。

更に、犬にしてみれば、なぜ不快や恐怖を感じるマスクを顔に装着されるのかもわかりません。

 世界保健機構(WHO)は、「犬猫その他のペットが、新型コロナウイルスに感染し得るという証拠はない」と述べている。

 とはいえ、閉鎖となった武漢には人の姿はほとんどなく、取り残されたペットたちは早急に救助と保護を欲している。

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image credit: youtube

 リスクを冒してまでも、少しでも多くのペットを救うために奔走しているボランティアや獣医師たちの姿は多くのメディアで報じられ、SNS上には世界中から「動物たちを救ってくれてありがとう!」「私が引き取ることができたら」「あなたたちに幸せが訪れますように」といった励ましや感謝の声が寄せられている。

References:Wuhan Small Animal Protection Association / Compassion For Animals / scmpなど / written by Scarlet / edited by parumo

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この記事へのコメント 32件

コメントを書く

  1. 現場うろうろして感染拡大させたらどうするの?
    あと誤った情報ってなんだよ有事には置いてくに決まってるだろ

    • -50
    1. ※1  全体的な状況を悪化させているのが、「ペットに新型コロナウイルスが伝染する」という誤った認識だ。 って記事の後半に書かれている。

      これはある専門家が、「ペットを飼っている家庭はペットもきちんと管理をして、ウイルスに触れないように注意してください」とテレビで話した内容が、SNSで拡散されていくうちに、いつのまにか「猫や犬はウイルスに感染しやすく、新型コロナウイルスを伝播する恐れがある」というデマに変換されたもの。

      その結果、猫や犬を死に追いやる行為が多発した。

      • +37
      1. >>8
        元々コウモリだとか市場で売られていた野生動物から広まった説があるからあながちウソには聞こえないよね

        例えデマでも万が一があるなら自分のペットもなんとか守りたいとは思うはず

        ウチは犬だから大量の置き餌にしたら後先考えずドカ食いしてしまうだろうな…

        • +8
      2. >>8
        イヌコロナ、ネココロナがあるし症状も違うから感染はせんのだろな。イヌコロナは軽~中程度、ネコは軽程度の消化器官の症状だそうだ。ウィルス変異で重くなる可能性もあるそうだが。
        ネットで見た程度の情報ではあるが、呼吸器系と違うってのはよくわからんが。

        • 評価
    2. ※1※21
      だからといって放置すれば、それこそ記事でも言っているが死骸が腐敗して深刻な公衆被害になるのは目に見えている
      どっちかのリスクを取らなきゃならんのなら、感染しないようにマスクとゴーグル装備して、ペットが死なないようにして、死んでいたら死骸も回収が最も被害が少ない合理的な手段だろう

      • +8
  2. 行かない方がいいと思うけど…
    ワクチンが流通するまで武漢から出ないつもりなら良いけどさ

    • -34
  3. ペット達にも心はある。

    ペットに心がないと思うなら飼うな

    • +33
  4. 動物を飼ったことがない人や深く接したことのない人には少し理解し難い感情だと思うけど、家に動物が来て接していると本当に認識が家族になるんだよ。
    人か犬か猫か何かはどうでもよくなる。もちろん食事や生態の配慮はするけれどね。

    もちろん置いていくのは措置として正しいことだし、そうしなきゃいけないんだろうけど、それを悲しみ心配する気持ちも少し汲んで欲しい。
    たかが一匹、と切り捨てるのは簡単だけど大切な家族とそれ以外の人間を天秤にかけさせた時、それが双方に良い結果を生むとは限らないからね。

    何はともあれ、早くコロナが収束するように予防しておかないと。

    • +25
    1. ※14
      放っておいて良いわけではないかもしれないけど
      自分だけでは済まないパンデミックのリスクを知りながら
      国内でも警告されている危険な地域へ飛び込むのは考えが甘いとしか言えない
      さらにその目的が動物コロナから守れというデマに踊らされている訳だし

      • -23
      1. >>21
        動物コロナから守れという誤った認識で活動してるのではなく、戻るに戻れない飼い主からのヘルプ要請が相次いでるから活動していると読めばわかるが?

        中には持病を持つ猫や何かしら発症してしまった猫もいて獣医の手が必要。ならば自分は武漢から出ずに獣医師免許を剥奪されてもいいから救えるだけ救っていこう、てなってるんでしょ。

        • +1
  5. そういえば福島は今どうなってるんだろう…と、ふと思い出したのである。

    • +10
    1. >>15
      ペット?実家が福島だが、田舎なので一軒家が多く、避難時窓をあけているので閉じ込められて餓死はあまりないと思うよ。立ち入り禁止区域で火事場泥棒が横行したらしいけど…直後に自衛隊が入っているし、早い段階で荷物を取りに一時帰宅させているのでその時に連れ帰ったりしている。避難所で飼えなかったり、野良が増えたがボランティア団体が保護した。現在は野性動物が繁殖して大変な事になっているみたいだけど。

      • +3
    2. >>15
      居住禁止区域の近くに住んで
      保護活動している人がいる

      • +4
    3. >>15
      実家が避難区域でした。
      直後は数日間連絡がとれず、親が津波に飲まれたのではないか、犬が置き去りにされたのではないかと毎日泣いていました。
      やっと連絡が取れたときに犬のことを聞いたら一緒に逃げていました。
      その避難所は運良く犬好きの高齢者ばかり集まっていて、アイドルのようにちやほや可愛がられて過ごしてたそうな。
      隣家の猫は2週間自力で生き延びた後に無事保護されました。

      • +12
  6. あー、そうか
    武漢は「被災地」になるものな

    >>獣医師ラオ・マオ
    漢字だと老猫医師になるのかな

    • 評価
  7. ペットも家族だと思う。
    ペットは感染しないって言われてるし、
    「人間だけ避難してペットは放置・餓死」は絶対にいけないと思う。
    ペットを飼ってる以上責任をもって行動してほしい。

    • +13
    1. >>17
      後で家に戻れなくなる事があるから
      一緒に連れて行かないとダメって
      災害対策の本に書いてあった❗️

      • +8
  8. 他山の石ですよね
    日本も災害が多いし全ての状況に備えるのは難しいかもしれないけれど
    万一に備えて準備をしておく事の重要性を考えさせられました

    • +8
  9. 封鎖されてるんだから出られるわけないでしょうよ…このままでは地図から消滅するしかないのではないかと思わされる地で暮らして、戒厳令という言葉も脳裏ちらつく制限のなかでよくこの活動ができるなと。もし市外・省外から駆け付けた人がいるなら命諦めた覚悟では。生きて出られる日はくるんだろうか。と諦めた考えを持ってしまう。ウイルス終息があったとしても体制や忌避込みで。

    二度この犬や猫たちのもとに来られないかもと、部屋で見つかるありったけと持ち込んだカリカリを置き餌にし、たらいに水を貯め、そこまでしかできずに去るのはつらいだろうな。あの頃(今でも?)日本でもあった光景ですね。なくなってしまった仲間の体を糧に生き延びえた子たちの写真などつらかったな。

    • +2
  10. 感染がとかリスクがとかそんなことよりも、普通の生活があって仲良く暮らして居たのにそれがこんな状況になっていることに涙出た。
    ボランティアの人も感染とか衛生とかは気をつけてると思うし、覚悟の上で放っとけないって活動してくれてるんだと思う。
    飼い主さんにとっては有り難い存在だと思うし、そうじゃない私も有り難う、って気持ちになるよ。

    • +13
  11. 悲しい
    飼い主が脳梗塞で長期入院し意識不明のため猫を飼っていることを伝えられず
    部屋で孤立した猫が亡くなった話があったね
    人間も右往左往する不測の事態にペットを援けようとする人に感謝したい

    • +20
  12. 今回は地震雷火事親父じゃないからね。原子力事故とも違うから、とっても難しい。残って助けるのは、動物ラブとしてはありがたいんだが、人から人にうつってパンデミックは避けたいところだ。予期せぬウイルスだと、どういう行動が一番なのか難しいなのだよ。

    • 評価
  13. そもそも武漢などは外出禁止で、人間ですら3日に一度程度、最低限の生活物資などが外部から届けられているって聞いたけど、このボランティアは何処で誰の許可を取って活動しているんだろう。

    単なる有志グループが「ペットを助けたい」などと言って外をフラフラしていれば、たちまち官憲に捕まると思うんだけど。

    • -11
    1. ※28
      そこは確かに気になる。
      この人は勿論、鍵を託した人のためにも上手いこと掻い潜ってくれていたらいいのだけど…

      • +1
  14. 避難先で使う為
    持ち出し用の猫用と犬用トイレ準備してある

    • +5
  15. コウモリが自然宿主だとしても
    そのウィルスはコウモリの捕食者にしか移らない

    自然宿主またはその捕食動物を最初に食べた人間が必ずいる
    その人間の体内でウィルスがRNA(遺伝情報)を進化させ
    そこで初めて人と人の間で感染するウィルスになる

    犬猫から人に感染するには人がその犬猫を食べるしかない
    食用の動物からはウィルスが感染するリスクがある
    だから鳥・豚・牛に新しいウィルスが見つかると大騒ぎする
    それ以外の動物をむやみに食うから中国は新型ウィルスの温床になってる

    ウィルスは細菌とは全然性質が違うのでそこもっと
    小中学校の理科または保健の授業でしっかり教えてほしいよ
    そうすれば風邪で抗生剤打てとか言う人間も減って
    耐性菌のできる時期も遅くなる

    • +3
    1. >>35
      先が見えないから当分餓死はしないと思う十分な量を置いてくしかないからなぁ。複数いるなら尚更その量は必要だわね

      • 評価
  16. 助かるペットがいるんだから
    こういうことをやってくれる人がいることに感謝しなきゃ
    室内で発症してないなら具合悪くなってない限り大丈夫じゃないか

    • +9
  17. うちも、自分以外の家族がそれぞれ欲しいと言って飼った犬2匹
    家族の一人は亡くなり、もう一人は生きているけど、犬の面倒を見ず、私が面倒を見ている。
    自分が欲しいと言って飼った犬ではないけど、家にいる以上、犬も家族だから自分の出来る限りは養うつもりだ。犬が欲しいと言っていた人は「犬を保健所連れて行けば良い」と言っていたけどありえないと思う。

    • +3

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