人から人に感染する新型の豚インフルエンザに子ども3人が感染（アメリカ）

　アメリカ・アイオワ州で、新しいタイプの豚インフルエンザウイルスに３人の子どもが感染していたことが判明した。いずれも豚と接触した形跡がないことから、アメリカの保健当局は、限定的にヒトからヒトに感染した疑いが強いとして、医療機関にウイルスの監視を強化するよう呼びかけている。

ソース：米 新タイプの豚インフル感染確認　NHKニュース

　関係者によると、３人は生後１１カ月と２、３歳の男女児。ＣＤＣによると、３人は１１月にインフルエンザの症状を発症、検査の結果、Ｈ３Ｎ２型の豚インフルエンザ感染が判明した。３人は同じ集まりに出たことはあるが、豚との接触歴はない。今のところ３人以外の感染は確認されておらず、米疾病対策センター（ＣＤＣ）は「広がりは限定的」とみている。

　新型のインフルエンザウイルスのストレイン 　３人は既に回復しているが、新しいタイプの豚インフルエンザウイルスへの感染が確認されたのはこれで４つの州の合わせて１０人となった。ＣＤＣは、医療機関にウイルスの監視を強化するよう呼びかけている。

　インフルエンザに詳しい東北大学の押谷仁教授は「今回の豚インフルエンザのケースでは、範囲が限定的とはいえ、状況からヒトからヒトへの感染があったことはほぼ間違いなく、このウイルスの特徴を詳しく調べてどの程度ヒトの間で感染しやすくなっているのかを見極める必要がある。今後さらにヒトに感染しやすくなる変異を起こすことも考えられるので、国内でもウイルスの監視を強めるべきだ」と指摘しているという。

　インフルエンザウイルス感染でもうひとつ、ショッキングなニュース。
鳥インフルエンザウイルス、単純な変異5回で致死的パンデミックに 　オランダのウィルス学者ロン・フォウチャーが、アメリカ国立衛生研究所（NIH）から依頼を受け、H5N1鳥インフルエンザウイルスの伝染力を人為的に強め、パンデミックを起こし得るかどうかの実験を行ったところ、従来の飛沫感染ではなく空気に触れただけで感染してしまうという強力な変異ウイルスができあがってしまった。

ソース：Ferreting out swine flu – virus causes slightly more severe disease than seasonal flu | Not Exactly Rocket Science | Discover Magazine
高病原性鳥インフルエンザ海外報道抄訳集より「鳥インフルエンザウイルス、単純な変異5回で致死的パンデミックに」

　5N1鳥インフルエンザウイルスは人を殺す能力を持っているが、容易に人の間で感染しないためパンデミックを起こすまでになっていなかった。しかし今回の実験により、二つの遺伝子で５回の変異が起きることでほ乳類の間で感染が拡大することが確かめられた。単純な変異5回で致死的パンデミックに陥れる危険性を秘めているのだ。

　1996年にウイルス免疫学の業績でノーベル賞を受賞したピーター・ドハーティ氏（Peter Doherty）は、今回の研究成果に関して次のように語っている。　「今回の研究結果は、H5ウイルスが変異により、人に感染して深刻な状態を起こす可能性があることを明確に示している。それは極めて恐ろしいことだ。」

　今回実験はフェレットを使って行われた。ウイルス遺伝子変異は3箇所は人為的に起こしたが、残りの２箇所はフェレット内で起きた。 　H5N1ウイルスは長期間存在してきた。しかし人の間で感染するような変異は未だ起きていない。実験はフェレットで行われたが、これが人間に適応されるかどうかは懐疑的な見方をする学者もいるが、「未だ人に適合していないことは、ウイルスが適合出来ないことを意味してはいない。単にこれまで適合してないことを意味するだけで、我々が幸運であっただけである」という学者もいる。

　何はともあれ、人為的に作られたウイルスがうっかり拡散とかいう事態にだけはならないように願いたいものだ。

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