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薬剤耐性ウイルスを駆逐する新型分子が開発される(英・スイス共同研究)

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(著) (編集)

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Jakub Rupa/iStock
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 ウイルスを殺すのはただでさえ難しいというのに、抗ウイルス剤の開発には、人体の細胞を傷つけてはいけないという厄介な制約まである。

 ウイルスを破壊できる化学物質のほとんどには、大なり小なり副作用が付きものである。だから、ウイルスに対する一般的な対処方法は、それを殺すのではなく、細胞への感染能力や複製能力を阻害するというアプローチになる。

 イギリスとスイスの研究グループがオリゴ糖類から開発したその新型分子は、ウイルスとの戦いにおける新たなる武器になるかもしれない。

ウイルスに耐性を発達させる時間を与えない

 新たにオリゴ糖から開発された新型分子は、細胞を傷つけないまま、ウイルスを殺すことができる。

 その凄いところは、従来の抗ウイルス剤よりもずっと早くウイルスを殺せる点だ。

 抗ウイルス剤がウイルスと接触してからそれを破壊するまでの時間差は、ウイルスにとっては抵抗力を発達させる絶好のチャンスである。しかし新型抗ウイルス剤はそのような間を与えることなく敵を駆逐する。

 しかもたった1種だけでなく、いろいろな種類のウイルスに対して効力を発揮してくれる。

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EPFL.

ヘルペス、HIV、C型肝炎ウイルスなど、様々なウイルスを撃破

 新型抗ウイルス剤は、「シクロデキストリン」という環状オリゴ糖の一種を、「ヘパラン硫酸」を真似して改変したもの。その結果、ウイルスの膜にくっつき、引き裂く能力を手に入れた。

 ヘルペス、HIV、C型肝炎ウイルス、ジカウイルス、RSウイルスなどを対象とした試験では、培養組織と生体のマウスどちらのケースでも、いずれのウイルスに対しても優れた効果を発揮したと報告されている。

 それでいて細胞組織への副作用は認められず、しかもウイルスが抗ウイルス剤に対する耐性を発達させられなかったことも確認された。

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新型抗ウイルス剤使用のビフォア・アフター(

EPFL.

薬剤耐性を発達させやすいウイルスの治療に

 研究グループによると、新型抗ウイルス剤は、他の治療法では耐性を身につけてしまうウイルスに対してもっとも有望であるそうだ。

 すでに特許出願しており、今後は新型分子を混ぜた軟膏や鼻腔スプレーといったタイプの薬剤を市販したいと考えているとのことだ。

 この研究は『Science Advances』(1月29日付)に掲載された。

References:New sugar-based molecule rips drug-resistant viruses to death/ written by hiroching / edited by parumo

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この記事へのコメント 20件

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  1. 抗生物質の乱用を控えようなんて動き、心配が無くなればよいんだが

    • +4
  2. 必殺仕事人のようにスゴいやつだ
    敵に回したくないな

    • 評価
  3. ワァオ!素晴らしい!
    サンプルのウイルスはどれもエンベロープウイルスなので
    そもそもアルコール消毒OKです…が、アルコールは生体適用が限られるのが難点です。
    それが生体に使えるなら、ヘルペスなどの難治性感染症にも効果があるかもしれませんね。
    (ノロウイルスやアデノウイルスはエンベロープのないカプシドウイルスです)

    • +7
  4. 余計なことをしてウィルスの進化を助けちゃったりして、イギリスだし

    • 評価
  5. ウィルスのAfterの写真が「ひでぶっ!!」と言って破裂しているかのように見えるw

    • +6
  6. ウィルスは 変化(異種感染ほか)して暴れる→感染が広がる→変異して株が増える
    →強毒種は寄生主を殺して自滅・共生型は宿主と共存 という流れかな。
    この薬には期待するけど、いなくなって困るウィルスにはどうだろう?
    常在菌に対する抗生物質のような障害も出るだろう。
    長所を生かしてうまく使って欲しい。

    • +6
  7. 大自然の驚異に人間は基本勝てない。
    人間に許されたたった一つの手段は知恵を持ち足掻く事。

    • +2
  8. 暫くは強い味方になると信じてるがウィルスがどんな反撃に転じて来るか怖くもある
    黙って殺され続けるとは流石に思えん

    • +2
  9. 磁気を帯びた金属粒子で物理的に壊すやつかと思ったら違った

    • 評価
  10. 薬とかって
    体内で発生したものではないから
    異物といえば異物だけど
    ウィルスや細菌とかも異物だし
    そうするとなると
    異物を駆逐する異物だよね

    • +3
  11. シクロデキストリンは触媒反応なんかに使われるカゴ型分子だから、ウイルスのチャンネル突起部分をふさいで壊してしまうのかね。

    • 評価
  12. そんな都合よく人間にとっての敵だけに作用するのかね?

    • 評価
  13. 抗菌薬で言うβラクタム系と作用機序が似てるね。
    細菌が相手ならβラクタマーゼ産生菌がいわゆる耐性菌になるけど、ウイルスならどうかな。細菌と違って非生物だからね。
    MRSAみたいに結合部位が変異することでの耐性獲得はあるかもね。

    • +1
  14. 早くヘルペスの根治できる薬が市販されるほどこの研究・成果が実って欲しいな・・・
    体力落ちるとすぐ口の周りピリピリしてきて辛い

    • +1
  15. 日本では検査段階でふるいにかけて、加速度的に感染者数・死亡者数が中国で増えていて、しかも武漢で日本人が1人亡くなりましたが、日本の対策は成功だそうです!?
    以下は2月5日神戸大学教授で感染症の専門家・岩田健太郎医師のレクチャー「メディカルジャーナリズム勉強会」より

    武漢での感染拡大は深刻な状況にあると言えます。ですが、他の地域では感染者は見つかっているものの死亡者はほとんど出ていません。新型コロナウイルスの感染拡大はもっぱら武漢もしくは湖北省の大きな問題と言えるでしょう。
    リスクを過大に評価しすぎると、やらなくてもいいことをやってしまう。実際、今もアジア人お断りといったリスクを過大評価することによる誤った対応が見受けられています

    • 評価
    1. >>19
      確かに成功なんよ。成功なんやけど・・・
      2019-nCoV感染症は2019年11月頃から武漢で流行の兆しを見せて、中国が初期対応を誤った結果があの煉獄
      その間中国人観光客日本中に相当数入ってるのに、国内でスポット的に感染増加する例もなく患者の殆どが中国帰りか国内で濃厚接触した数名だけで、東京、京都、大阪で患者が急増しない時点で高い感染率に?が付く
      その上国内の劇症化例も少なくて、マスコミとネットに踊らされてマスク・除菌製品買い占めしやがったせいで町中でもマスクできる人が減ってしもたのにインフルエンザの罹患率まで下がる不思議。どちらかといえば普通にある酷くなる風邪レベル
      中国は見た目先進国並やけど実情の衛生環境・衛生観念は途上国の最下位レベルで日本とは天と地ほど違うから、昔からの衛生教化と環境整備の方が実は対策の根幹やったと言える
      これから怖いのは、なんか判らんし怖い、みたいな理由でパニックになることと、マスク・除菌製品を間違った使い方で逆に感染症を広げてしまうこと。

      • +2
  16. 要するにウィルスを生物ではなく特定タンパク質の物体と考えて変異対応とか一切関係なくぶっ壊す物質って事なのか

    • 評価

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